ピアズ(7066)は、2026年9月2日に未定だった期末配当を17円とし、前期の16円から1円増配すると発表しました。翌9月3日の株価は一時496円まで上昇し、14時32分時点では463円、前日比8.43%高となっています。
ただし、今回の投資判断で注目すべきなのは1円増配だけではありません。2026年9月期第3四半期累計の売上高、EBITDA、経常利益が過去最高となり、経常利益4.65億円は通期計画4.25億円をすでに上回っています。小型株としては配当利回りも3%台後半で、成長と還元の両方が評価され始めています。
一方、営業利益はM&Aに伴うのれん償却の影響を受け、通期では増収減益予想です。AI関連の名称だけで判断せず、実際に利益を生んでいる事業、買収効果、株価に織り込まれた期待、需給を分けて見る必要があります。
この記事の結論
- 3Q累計経常利益4.65億円は通期計画4.25億円に対して109.4%進捗です。
- 売上高は22.1%増、EBITDAは12.8%増で、買収後もキャッシュ創出力は伸びています。
- 17円配当なら463円時点の予想利回りは約3.67%です。
- 目標株価は弱気336円、中立560円、強気990円と算定します。
ピアズ(7066)はどんな会社か
ピアズは、通信キャリアショップ向けの販売支援・研修コンサルティングから出発し、現在はセールスプロモーション、オンライン接客、AIを使った人材育成、SES・システム開発などへ事業領域を広げています。
| 事業領域 | 主な内容 | 成長ポイント |
|---|---|---|
| セールスプロモーション | 通信店舗などの販売支援、研修、運営改善 | 長年の顧客基盤と現場ノウハウがあります |
| AIボーディング | AIを活用した接客・営業研修 | 人手不足と教育効率化の需要を取り込みます |
| オンライン接客・セールス | bellFace、ONLINX+など | 非対面営業と接客のDX需要が追い風です |
| ITソリューション | SES、受託開発、システム運用 | M&Aを通じて売上基盤を拡大しています |
同社の特徴は、単発のコンサルティングだけでなく、月額利用料、システム保守、ブース運営、事務局運営などの固定収益と、案件量・成果に応じた変動収益を組み合わせている点です。ストック型収益が増えれば業績の安定性が高まり、変動案件が伸びれば利益の上振れにつながります。
2026年9月期3Qは売上高・経常利益が過去最高
| 項目 | 3Q累計実績 | 前年同期比 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 54.98億円 | 22.1%増 | 過去最高 |
| 営業利益 | 3.96億円 | ほぼ横ばい | のれん償却の影響 |
| 経常利益 | 4.65億円 | 28.8%増 | 過去最高 |
| 純利益 | 2.58億円 | 18.9%減 | 税負担増の影響 |
| EBITDA | 6.17億円 | 12.8%増 | 過去最高 |
売上高は2割を超える増収で、経常利益も28.8%増えました。営業利益が横ばいなのは、買収した事業に伴うのれん償却など会計上の費用が増えたためです。買収効果を見る際には、営業利益だけでなくEBITDAと営業キャッシュフローを併せて確認する必要があります。
純利益が18.9%減った理由には、繰越欠損金の解消に伴う法人税等の増加があります。事業の収益力が急に低下した結果ではありません。ただし、税負担は今後も正常化するため、過去の低い実効税率を前提にEPSを推計しないことが重要です。
通期計画への進捗はどうか
| 項目 | 通期予想 | 3Q累計 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 78.0億円 | 54.98億円 | 約70.5% |
| 経常利益 | 4.25億円 | 4.65億円 | 約109.4% |
| 純利益 | 2.7億円 | 2.58億円 | 約95.6% |
経常利益と純利益は3Q時点で通期計画に近いか、すでに超えています。単純計算では上方修正余地がありますが、会社は第4四半期に成長投資や事業再編コストを計画している可能性があります。進捗率だけで「必ず上方修正する」と判断するのは早計です。
5期連続増配と配当利回り3%台後半
ピアズは2026年9月期の期末一括配当を17円としました。前期の16円から1円増配で、実現すれば5期連続増配です。2026年9月3日14時32分の株価463円に対する予想配当利回りは約3.67%です。
同社は短期的な配当性向の目安を30%とし、中長期ではそれ以上を目指す方針を示しています。今期予想EPS30円に対して17円配当なら、単純な配当性向は約56.7%です。これは株主還元への姿勢を示す一方、今期だけを見ると利益に対して高めの配当です。
増配を持続するには、来期以降のEPS回復が必要です。3Qの経常利益進捗からはその可能性がありますが、M&A費用、のれん償却、税負担を吸収して最終利益を伸ばせるかが重要になります。高配当株としてだけでなく、利益成長によって配当原資が増えているかを確認すべきです。
AIボーディングとbellFaceは何が強みか
ピアズが成長領域としているAIボーディングは、AIを使って接客や営業のロールプレイングを行い、従業員教育を効率化するサービスです。対話型AIロールプレイングサービス「mimik AI」はJ:COMへの本格導入が公表されており、実証だけでなく大企業の現場で使われる段階へ進んでいます。
従来の集合研修は講師の人数、会場、時間に制約があります。AIであれば従業員が繰り返し練習でき、応対内容の記録や評価も自動化できます。通信、金融、保険、小売など、説明品質が売上やコンプライアンスに直結する業界で横展開できる余地があります。
オンライン営業システムbellFaceは、非対面営業の定着を追い風にできます。ピアズの販売現場コンサルティングと組み合わせれば、ツール販売だけでなく、導入設計、研修、運用改善まで一体で提供できます。ソフト単体の競争ではなく、現場へ定着させる実行支援が差別化ポイントです。
M&Aは成長源であると同時にリスクです
ピアズはSES、受託開発、オンラインセールスなど、既存事業と隣接する領域をM&Aで取り込んでいます。2025年8月に取得したbellFace事業も売上成長へ寄与しています。中期計画では2027年9月期に売上高120億円、2028年9月期に180億円規模を目指す構想を示しています。
一方、2026年9月期の会社予想は未確定のM&Aを含まず、既存事業の積み上げで売上高78億円としています。これは計画の透明性という点では評価できますが、120億円、180億円へ到達するには追加買収や高い有機成長が必要です。
- 買収価格が高ければ、のれん償却や減損リスクが増えます。
- 売上高が増えても、低採算のSES比率が上がれば利益率は伸びません。
- 異なる企業文化や営業組織の統合に時間がかかる可能性があります。
- 株式交換などを使う場合は、1株利益の希薄化にも注意が必要です。
現在の株価・バリュエーション・需給
| 指標 | 2026年9月3日14時32分時点 | 見方 |
|---|---|---|
| 株価 | 463円 | 増配発表翌日に8.43%上昇 |
| 時価総額 | 約47.2億円 | 材料に反応しやすい小型株 |
| 予想PER | 15.4倍 | 表面上は極端な割高ではありません |
| PBR | 1.48倍 | 成長株としては中程度です |
| 予想配当利回り | 3.67% | 株価の一定の下支え要因です |
| 信用買い残 | 約29.5万株 | 売り残ゼロで買い長です |
時価総額は50億円未満で、好材料が出た際には資金が集中しやすい一方、出来高が減ると売買しにくくなります。9月3日の出来高は14時32分時点で約16.7万株、売買代金は約0.79億円です。大口資金が出入りすると株価が大きく振れやすい規模です。
8月28日時点の信用買い残は約29.5万株で、売り残はありません。信用倍率は算出不能なほど買いに偏っています。発行済株式数約1,019万株に対する信用買い残は約2.9%で、GOほど絶対額は大きくありませんが、小型株としては無視できない水準です。
株価は増配発表翌日に高値496円まで上昇した後、463円まで上げ幅を縮めました。短期では450円前後を維持できるか、500円の節目を出来高を伴って超えられるかが焦点です。増配だけを材料に追いかけるより、通期決算での利益上振れと来期計画を確認する必要があります。
目標株価を3シナリオで算定
今期予想EPS30円は、成長投資とのれん償却、税負担の影響を受けています。3Qの経常利益進捗を考えると上振れ余地がありますが、第4四半期費用を考慮し、弱気28円、中立35円、強気45円のEPSを置きます。
| シナリオ | 想定EPS | 想定PER | 目標株価 | 463円比 |
|---|---|---|---|---|
| 弱気 | 28円 | 12倍 | 336円 | 約27%下落 |
| 中立 | 35円 | 16倍 | 560円 | 約21%上昇 |
| 強気 | 45円 | 22倍 | 990円 | 約114%上昇 |
弱気シナリオ:336円
第4四半期に投資費用が膨らみ、来期も最終利益が伸びないケースです。EPS28円に小型の受託・コンサル企業としてPER12倍を適用すると336円です。17円配当が維持されれば配当利回りは5%を超えますが、利益が低迷すれば将来の減配懸念が生じます。
中立シナリオ:560円
3Qまでの利益進捗を反映してEPS35円、AI・オンライン接客の成長を一定程度評価してPER16倍とします。目標株価は560円で、現在値から約21%の上昇余地です。売上高20%前後の成長と、のれん償却後の営業増益が必要です。
強気シナリオ:990円
AIボーディングの大口導入が増え、bellFaceとのクロスセル、M&A後の利益改善が進むケースです。EPS45円、PER22倍とすると990円です。現在値から2倍を超えますが、売上高120億円へ向かう成長が数値で確認でき、営業利益率も改善することが条件です。
株価上昇のカタリスト
- 通期業績の上方修正:3Q経常利益が計画超過のため、最終着地が注目されます。
- 来期の増収増益計画:今期の成長投資が利益へ変わることを示せれば評価が変わります。
- mimik AIの導入拡大:J:COM以外の大企業へ横展開できるかが重要です。
- bellFaceとのクロスセル:既存顧客へオンライン営業・研修を組み合わせる余地があります。
- 追加M&A:EPSを希薄化せず利益成長につながる買収なら評価材料です。
- 継続増配・自社株買い:小型成長株として資本効率を意識する姿勢が支えになります。
注意すべきリスク
- 通期利益の進捗率が高くても、第4四半期の投資費用で上振れが縮小する可能性があります。
- M&Aによるのれん償却や将来の減損が利益を押し下げる可能性があります。
- AI事業の売上規模がまだ限定的で、テーマ先行になる危険があります。
- 時価総額が小さく、出来高減少時には株価が急落しやすくなります。
- 信用取引が買いに偏り、短期資金の撤退で下落が加速する可能性があります。
- 高い配当性向が続けば、成長投資と配当の両立が難しくなる場合があります。
データ・出典
- ピアズ公式IR情報:決算短信、決算補足説明資料、事業計画
- 2026年9月期第3四半期決算短信
- 株探 ピアズ(7066)基本情報:2026年9月3日の株価、指標、信用残
- 2026年9月期の配当予想修正
まとめ:進捗率は魅力的ですが、次の焦点は来期の利益回復です
ピアズは、3Q累計で売上高54.98億円、経常利益4.65億円、EBITDA6.17億円を計上し、複数の指標で過去最高を更新しました。経常利益は通期計画をすでに超え、17円配当による5期連続増配も予定しています。現在のPER15倍台、PBR1.48倍、配当利回り3%台後半は、業績が上振れるなら再評価余地があります。
一方、今期は増収減益予想で、M&Aに伴うのれん償却と税負担が最終利益を圧迫しています。AIボーディングやbellFaceの話題性だけでなく、のれん償却後の営業利益が増えるか、来期EPSが回復するかを確認する必要があります。
中立目標は560円です。強気目標990円へ進むには、AIサービスの大口導入、M&A後の利益率改善、売上高120億円への道筋が必要です。反対に、投資負担が利益成長へ結びつかなければ336円までの下振れを想定します。決算では売上高だけでなく、営業利益、EBITDA、のれん、1株利益をセットで追うことが重要です。
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