セルソース(4880)は9月8日、2026年10月期の営業利益予想を赤字から黒字へ修正しました。再生医療関連株の業績回復として注目しやすい材料ですが、最終損益は赤字予想のままです。「黒字転換」という見出しだけでは、株主に残る利益や株価の妥当性まで判断できません。
当ブログは、今回の修正を本業の採算改善として評価しつつ、受託件数の回復と来期以降の最終黒字定着を確認したいと考えます。売上増だけでなく費用抑制が利益を押し上げた一方、8月の加工件数は全体として前年をやや下回っています。利益改善と需要回復が同じ速さで進んでいるわけではありません。
本記事では、9月8日開示の決算短信、業績修正、月次KPI、本社移転と税金に関する資料を照合しました。株価の比較基準は発表前の9月8日東証終値334円に固定します。9月9日以降の取引価格を示すものではありません。500円超を考察する部分は、会社が公表していない将来利益を置いた当ブログの仮説であり、会社の目標株価ではありません。
出典:野村證券・セルソース株価情報(9月9日確認の前日終値334円)
業績上方修正の中身|営業黒字と最終赤字が同時に起こる
| 2026年10月期 | 7月29日時点の会社予想 | 9月8日の修正予想 | 読み取れる変化 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 33.20億円 | 33.67億円 | 約1.4%の上方修正 |
| 営業利益 | ▲2.21億円 | 0.82億円 | 本業の予想が黒字へ |
| 経常利益 | ▲2.10億円 | 0.76億円 | 通常の事業活動も黒字予想 |
| 当期純利益 | ▲1.07億円 | ▲1.24億円 | 特別損失等を含む最終損益は赤字 |
| 1株当たり純利益 | ▲5.41円 | ▲6.26円 | 今期予想PERによる評価は困難 |
売上の増額は0.47億円ですが、営業利益の改善幅は3.03億円あります。この差からも、今回の利益修正を販売数量の急増だけで説明できないことが分かります。会社は、加工受託サービスを中心とする売上の上振れと、事業の選択・集中による販売管理費の削減を理由に挙げています。
費用構造を見直して損益分岐点を下げられれば、今後の売上回復が利益へ反映されやすくなります。一方、費用削減だけには限界があり、将来の研究開発や営業活動まで弱めると中長期の成長力に影響します。今回の黒字予想は改善の出発点として捉え、その後の売上と利益率の両方を確認する必要があります。
修正後の営業利益率は約2.4%です。黒字という符号に変わった意味はありますが、多少の売上減や追加費用で変動し得る利益水準でもあります。0.82億円の営業利益が出ることと、安定して数億円の最終利益を稼ぐことの間には、まだ事業上の距離があります。
本社移転の特別損失|非現金費用でも無視はできない
会社は現在のオフィスの定期借家契約が2028年2月28日で終了することを受け、本社移転を決議しました。2026年10月期には、固定資産の減損損失2.49億円と事務所移転費用引当金繰入額0.40億円など、会社公表の合計で2.90億円の特別損失を見込んでいます。金額は開示の表示単位による丸めを含みます。
減損は資産の帳簿価額を引き下げる会計処理であり、その金額と同額の現金が計上日に流出するわけではありません。ただし、過去に投じた資金の回収可能性が帳簿上見直されるため、経済的な意味がない費用とも言えません。移転費用の引当金も、将来の支払いに備えたもので、現金負担が永久になくなるわけではありません。
このため「最終赤字1.24億円に特別損失2.90億円を足すと、実力純利益は必ず1.66億円」と扱うのは避けます。特別損失は税引前の金額で、税金の扱いや他の臨時損益も影響します。来期の家賃、移転費用、設備投資、営業上の負担がどう変わるかも未確定です。本業を見る際に一時費用を分けることと、費用を丸ごと存在しないものとすることは異なります。
移転先は、賃貸借契約の締結後に開示する方針とされています。現時点で特定の所在地、稼働日、削減できる固定費の金額を置く根拠はありません。将来の費用減を利益予測へ反映する場合は、追加の会社発表を待って更新するのが妥当です。
第3四半期の実績|通期予想から見える第4四半期の注意点
| 2025年11月〜2026年7月累計 | 実績 | 確認する意味 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25.57億円 | 通期予想に対する進捗は約76.0% |
| 売上総利益 | 15.07億円 | 粗利益率は約58.9% |
| 販売管理費 | 13.28億円 | 粗利益の多くを固定費等が吸収 |
| 営業利益 | 1.79億円 | 通期予想0.82億円をすでに上回る |
| 経常利益/四半期純利益 | いずれも約1.74億円 | 特別損益・税金も分けて確認する |
累計営業利益が通期予想を上回っているので「もう一段の上方修正が確実」と考えたくなります。しかし、通期予想から累計実績を引くと、第4四半期の売上は約8.10億円、営業損益は約0.97億円の赤字を織り込む計算です。会社は通期予想の中で、足元の四半期とは異なる費用や採算を見ている可能性があります。
本社移転の2.90億円は特別損失なので、この営業赤字の差額をすべて本社移転の減損で説明することはできません。営業利益に影響する費用と、営業利益より下で処理される特別損失を混ぜないことが大切です。差額の要因が十分に分からない段階では、第3四半期の利益率がそのまま続くと置くより、会社の通期予想を基準に考えます。
また、累計純利益には吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益約0.66億円などの特別利益も含まれています。一方、法人税等調整額約0.39億円の負担も計上しています。純利益1.74億円だけを取り出して年率換算すると、こうした通常の営業活動以外の要因まで反復する前提になってしまいます。
税金について会社は、純利益の増加で繰越欠損金が減少したこと等により、繰延税金資産を取り崩したと説明しています。これを直ちに業績悪化による税資産の否認と決め付けるのは適切ではありません。税額の変動は、営業の需要回復とも移転費用とも別の論点として読んだ方が、決算を整理できます。
連結から単体へ|前年との比較条件をそろえる
セルソースは2026年7月1日にハイブリッドメディカルを吸収合併し、第3四半期から単体決算による開示へ移行しています。短信の前年同期比が空欄になっているのは、この比較条件の変更によるものです。前年の連結売上と今年の単体売上をそのまま比べ、「何%成長した」と断定しないようにします。
サービス別の四半期推移も、2025年10月期第4四半期までは連結、2026年10月期第1四半期からは単体という注記があります。特に医療機関支援サービスの売上には合併の影響があるため、直前四半期比の増加をすべて新規需要の増加と解釈するのは危険です。売上の比較では、実際に外部から増えた注文と、決算範囲の変化を分けて考えます。
加工受託件数や提携院数のような業務指標は、売上だけでは見えにくい動きを補います。ただし、件数にも対象サービスの定義があるため、どの数字でも足し合わせられるわけではありません。本記事では短信にある血液由来加工と脂肪由来幹細胞加工の合計、および月次資料の診療科別の血液由来加工を、それぞれの定義のまま扱います。
事業の強み|加工設備と医療機関との関係を注文へ変える
同社は、血液や脂肪由来幹細胞などの加工受託・保管サービス、医療機関支援、医療機器販売、化粧品販売などを手掛けています。医療機関から加工を受託し、施設運営や品質管理、物流、関連する手続きの支援を組み合わせる点が事業の基盤です。研究段階の技術だけでなく、すでに売上が発生するサービスがあることに特徴があります。
2026年7月末の提携医療機関数は2,218院で、前期末から116院増えました。医療機関との接点が広がることは、加工サービスを知ってもらい、注文を増やすための土台になります。自社で一から加工設備と運用体制を整える負担を外部へ委託できる点には、サービス事業としての価値があります。
ただし、契約を結んだ院が毎月一定の件数を発注するとは限りません。導入したサービスが院内で使われるまでには、担当者の理解、患者への適切な説明、院内の運用、価格設定などが関わります。提携数が伸びても稼働率が低いままであれば、営業コストだけが先に発生する可能性があります。
競争力は「再生医療」という名称だけでは決まらない
加工受託では、価格に加え、品質の安定、納期、検体の管理、問い合わせへの対応、医療機関の業務負担が比較されます。蓄積した運用経験や継続的な取引関係は強みになり得ますが、顧客が他の加工手段を選ぶ可能性まで排除するものではありません。本記事では、確認していない市場シェアや独占性を根拠に高い株価倍率を置きません。
投資の観点では、設備や許認可の保有と、個々の治療法の有効性も区別する必要があります。会社の加工実績の多さだけをもって、すべての治療に同じ効果があるとは言えません。ここでは医学的な効果を評価せず、受託件数、売上、継続利用、費用構造という決算で追える項目を中心に検証します。
加工件数の実態|提携院は増えても全体需要はまだ弱い
| 短信の業務指標 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|
| 第3四半期累計の加工受託件数 | 15,258件 | 前年同期15,881件から約3.9%減 |
| 第1四半期の加工受託件数 | 5,001件 | 回復の出発点 |
| 第2四半期の加工受託件数 | 5,113件 | 直前四半期から増加 |
| 第3四半期の加工受託件数 | 5,144件 | 直前四半期から31件増 |
| 第3四半期の加工受託売上 | 約5.86億円 | 直前四半期比6.0%増 |
件数は今年度の四半期ごとに緩やかに増えていますが、累計では前年を下回っています。「底打ちへ向かう動き」と「前年を上回る成長の定着」は分けて評価したいところです。提携院の増加がすぐに全体件数の増加率へつながっていないことからも、既存院の利用状況と新規院の立ち上がりが重要になります。
提携から利用開始までには時間がかかります。医院数だけでなく、既存院・新規院それぞれの利用状況が確認点です。
加工受託売上は件数より高い率で直前四半期から増えています。ただし、ここから全サービスの値上げが成功したと断定することはできません。サービスの構成や計上の時期によって、1件当たり平均売上は動くためです。今後は件数の増加と売上の増加が同時に続くか、粗利益率を維持できるかを確認します。
8月KPIは、成長している顧客層と弱い顧客層が分かれた
| 2026年8月の月次指標 | 実績 | 前年同月との関係 |
|---|---|---|
| 1日当たり平均加工受託件数 | 49.1件 | 前年同月をやや下回る |
| 自費診療特化型整形外科向け・血液由来加工 | 638件 | 15.6%減、118件減 |
| ハイブリッド型整形外科向け・血液由来加工 | 655件 | 7.0%増、43件増 |
| 産科婦人科向け・血液由来加工 | 増加件数10件 | 9.6%増 |
| 美容向け・血液由来加工 | 増加件数10件 | 90.9%増 |
美容向けの90.9%増という率は目立ちますが、増加した件数は10件です。自費診療特化型整形外科向けの118件減を、それだけで補えるわけではありません。小さな母数からの高成長率を会社全体の急成長と見誤らないために、増減率と実数を並べて読む必要があります。
ハイブリッド型の顧客内でも、会社が中核と位置付けるグループ1と、それ以外や新規提携院を中心とするグループ2で動きが異なります。月次資料の前年同期間比較では、グループ1が324件減、グループ2が1,133件増とされています。新たな顧客層への利用促進が寄与する一方、中核の利用回復には課題が残る構図です。
これらは資料に示された期間累計の比較で、8月単月の増減へ足し合わせるものではありません。また、月次KPIは速報値で、四半期決算などで修正される場合があります。1カ月の数字で回復が終わったと判断するより、数カ月続けて日次平均、診療科別件数、主要顧客層の利用状況が改善するかを見ます。
売上の構成と回復ロードマップ|機器販売だけで成長を判断しない
| 第3四半期累計のサービス別売上 | 実績 | 会社全体に占める概算比率 |
|---|---|---|
| 加工受託サービス | 17.03億円 | 約66.6% |
| 医療機関支援サービス | 0.58億円 | 約2.3% |
| 医療機器販売 | 6.10億円 | 約23.9% |
| 化粧品販売その他 | 1.86億円 | 約7.3% |
主力は加工受託ですが、医療機器販売も約4分の1を占めます。機器は導入や更新の時期で販売が変わりやすいため、その伸びをすべて毎期反復する加工需要と同じようには評価できません。売上総額が増えたときに、継続受託と機器販売のどちらが増えたのかを見ることが、将来予測の精度を上げます。
会社は2026年10月期を、細胞等加工技術を軸とした事業構造への転換を進める年度としています。第3四半期までに事業の選択と集中へ目途をつけたと説明していますが、それは翌年度以降の利益額を保証する発表ではありません。研究開発や新領域への展開は、中長期の可能性と目先の確定売上を分けて考えます。
| 段階 | 公表情報から確認すること | 次の段階へ進んだと判断する材料 |
|---|---|---|
| 2026年10月期の着地 | 営業黒字予想と最終赤字予想 | 通期実績、特別損失、追加費用の確定 |
| 次年度の会社計画 | 現時点で本記事は未公表の数値を置かない | 正式な売上・利益予想と費用構造の説明 |
| 加工受託の回復 | 新規院と既存院の利用を拡大する方針 | 件数と受託売上の持続的な増加 |
| 利益成長の定着 | 設備・営業体制を活用した収益改善 | 営業利益から最終利益まで継続して黒字化 |
当ブログが想定する回復の順序は、費用構造の整理、加工件数の回復、売上の増加、最終利益の定着です。最初の段階だけでも株価は期待で動き得ますが、高い評価を長く維持するには後の段階が必要です。新技術の発表があった場合も、売上への寄与がいつ、どの程度始まるかを確認してから予測へ組み込みます。
財務とPBR|現金が厚くても株価の下限は保証されない
7月末の現金及び預金は約47.29億円、負債合計は約8.78億円、自己資本比率は85.8%です。現金は前期末から約2.67億円増えており、当面の事業立て直しを支える財務余力があります。ただし、この現金の増加をそのまま営業キャッシュフローと呼ぶことはできません。第3四半期累計のキャッシュフロー計算書は作成されていません。
純資産60.67億円のうち、新株予約権を除く自己資本は約59.58億円です。これを7月末の自己株式控除後株式数19,850,799株で割ると、BPSは約300.16円になります。比較基準334円のPBRは約1.11倍です。純資産の全額を使う計算より、普通株主の持分に合わせて読む方が適切です。
| 仮定するPBR | 7月末BPS約300.16円を固定した参考価格 | 留意点 |
|---|---|---|
| 0.7倍 | 約210円 | 赤字継続等への低い評価を置いた感応度 |
| 1.0倍 | 約300円 | 帳簿上の自己資本と株価を比較する目安 |
| 1.3倍 | 約390円 | 収益回復などを評価する仮定 |
これはPBRの感応度であり、210円が下値、300円が必ず戻る価格という意味ではありません。本社移転の損失や今後の赤字で自己資本が減れば、BPSも下がります。帳簿価格で資産を売れる保証もなく、現金には事業を続けるために必要な分が含まれます。「現金があるから損をしない」という結論にはつながりません。
また、現金47.29億円を時価総額と比べたあと、PERで求めた株価に現金相当額をそのまま足すと、評価方法によっては二重計上になります。本記事ではPERとPBRを別々の参考尺度として示し、足し合わせません。配当についても、前期実績5円ではなく今期会社予想の無配を前提とします。
株価500円超は可能か|利益回復を仮定した三つのケース
今期のマイナスEPSにPERを掛けて適正株価を出さない
2026年10月期会社予想EPSはマイナス6.26円です。ここへ通常のPERを掛けても、投資家が使う意味での妥当な株価評価にはなりません。将来の回復を考察するには、黒字になる年度、利益の水準、株式数、評価倍率を明示する必要があります。過去の高い株価へ戻ることを先に決めて、後から倍率を合わせる方法も避けます。
2028年10月期を仮置きした独自の売上・利益モデル
| シナリオ | 売上/営業利益/純利益の仮定 | EPS・評価の仮定 | 2028年時点の参考株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 30億円/0億円/▲0.2億円 | 最終赤字が続くためPER評価をしない | PERによる算定は行わない |
| 基本 | 36億円/2.88億円/2億円 | EPS10円、PER20〜30倍 | 200〜300円 |
| 強気 | 42億円/5.88億円/4億円 | EPS20円、PER25〜35倍 | 500〜700円 |
この表の将来業績はすべて当ブログの仮定であり、会社が公表した2028年の目標や予想ではありません。株式数は計算を追いやすくするため2,000万株と置き、現時点の約1,985万株から若干増える前提としています。大規模な増資や株式分割は想定していません。PERも同業平均を根拠にしたものではなく、成長性の評価が変わる場合を見るための仮定です。
基本ケースの売上36億円は、今期会社予想33.67億円から2年で約6.9%増、年平均約3.4%の成長です。一方、営業利益率8%を置くため、売上以上に採算改善の継続が必要です。今期の修正営業利益率約2.4%から回復し、営業利益2.88億円から税金等を負担して最終利益2億円が残る場合を想定しています。
強気ケースの売上42億円は今期予想比約24.7%増で、年平均約11.7%の成長です。営業利益率14%、最終利益率約9.5%と、売上と利益率の両方に高めの条件を置いています。新規院の利用拡大だけでなく、既存顧客の注文回復、設備の稼働効率向上、費用管理がそろわなければ、この水準には届きにくいと考えます。
第3四半期単独の営業利益率は11.5%ですが、これを超える14%を強気ケースに置いている点も意識したいところです。単独四半期の良い採算が年を通じて続くとは限りません。強気レンジは、現時点で確認できた実績そのものの評価ではなく、改善がさらに進む場合の到達条件を可視化したものです。
334円と500円を説明するために必要な利益を逆算する
2,000万株、PER30倍なら、334円を説明する純利益は約2.23億円です。500円には約3.33億円、600円には4億円が必要になります。つまり基準株価334円であっても、今期の最終赤字が続く前提より、将来の一定の利益回復を見込む評価だと考えられます。価格が数百円というだけで、事業価値に対して安いとは判断できません。
| 価格を固定した逆算 | PER20倍なら必要な純利益 | PER30倍なら必要な純利益 |
|---|---|---|
| 334円 | 約3.34億円 | 約2.23億円 |
| 500円 | 約5.00億円 | 約3.33億円 |
| 600円 | 約6.00億円 | 約4.00億円 |
計算は「株価×2,000万株÷PER」です。市場が成長性を低く評価して20倍しか付けなければ、500円には純利益5億円が必要です。利益が回復しても倍率が縮むことはあり得るため、好決算と株価上昇を一対一では結び付けません。強気の条件を考えるときは、利益の額と、その利益が続くと判断される根拠の両方が必要です。
将来価格を現在価値へ置き換えると条件は厳しくなる
2028年10月末までは約2.14年あります。必要利回りを年10%と仮定し、配当を含めず将来価格を割り引くと、基本ケース200〜300円は足元換算で約163〜245円、強気ケース500〜700円は約408〜571円です。期間と割引率を置いただけの簡易計算で、実現確率を反映した期待値や、確定的な適正価格ではありません。
仮に株式数が2,000万株から10%増え、利益が同じなら、EPSと株価試算は約9.1%下がります。また、本社移転関連の費用が一巡しても、別の投資費用や損失が発生する可能性は残ります。「一時費用が消えるから強気ケースが確定する」という理解ではなく、最終利益を実際に積み上げられるかでモデルを更新します。
次に何を確認するか|売上の回復と利益の質を追う
| 確認する項目 | 前向きに評価する変化 | 仮説を見直す変化 |
|---|---|---|
| 加工件数 | 日次平均と主要顧客の利用が継続して増加 | 提携院数だけ増え、件数が回復しない |
| 売上の構成 | 加工受託が数量と売上の両面で伸びる | 機器販売の一時増だけに依存 |
| 営業利益 | 費用抑制を維持しながら売上が増える | 成長に必要な費用を戻すと赤字へ戻る |
| 最終利益 | 臨時損益を除いても利益を確保 | 移転以外の損失や税負担が利益を圧迫 |
| 次年度計画 | 数値予想と達成根拠が具体化する | 期待に対して正式な予想が弱い |
決算発表直後の値動きだけでは、こうした確認は完了しません。利益予想の修正を好感して買われることも、その後に成長の弱さや費用の不透明さが意識されることもあります。本記事の比較基準は発表前の終値なので、売買を検討する場合には、その時点の価格へ置き換えて同じ計算をし直す必要があります。
まとめ|営業黒字は一歩前進、500円超には最終利益の拡大が必要
セルソースの今回の業績修正は、加工受託の売上上振れと費用削減によって、営業損益の予想が赤字から黒字へ改善した点に意味があります。一方、本社移転に伴う特別損失で通期の最終損益は赤字予想です。累計利益には合併の特別利益や税金の影響もあり、数字をそのまま年率換算する見方には注意が必要です。
私が追いたいのは、費用を減らした改善と利用が広がった改善の両方です。営業段階の黒字と最終利益を分け、次の件数を読みたいです。
需要面では提携院数が増え、四半期ごとの加工件数にも緩やかな回復が見られますが、累計件数と8月の日次平均は前年を下回っています。財務余力は立て直しの時間を確保する支えになりますが、利益回復そのものを保証するものではありません。高い成長評価を与えるには、中核顧客と新規院の利用がともに増える姿を確認したいところです。
株価500円超は、2,000万株・PER30倍なら純利益約3.33億円が必要になる水準です。当ブログの強気ケースは最終利益4億円を置いていますが、今期会社予想からは大きな改善を要します。営業黒字という見出しを入口にしながら、加工件数、継続売上、営業利益率、最終利益へと確認を進めることが、期待と実績を結び付ける判断になります。
2026年9月9日更新
⚠ 免責事項
本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。記載した株価・指標等は執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。適正株価や目標株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

