はらみ足とは違う?インサイドバー・アウトサイドバーを高値・安値の包含関係で読む

インサイド・アウトサイド。高値と安値の関係。成人女性を配した記事カバー。

値幅が急に細くなった翌日、どちらへ飛ぶのか。逆に、前日の高値も安値も一日で更新した足は、上昇の勢いなのか、それとも乱高下の警告なのか。インサイドバーとアウトサイドバーは、ローソク足の色や実体ではなく、前後二本の高値・安値の包含関係を読むパターンです。

似た日本語として「はらみ足」「包み足」がありますが、比較対象が違います。バーはヒゲを含む全値幅、はらみ足・包み足は主に始値と終値でできる実体を比べます。この記事では定義を数式で固定し、同値の扱い、連続内包、上位足との関係、突破と再侵入、注文、撤退、数量、見送りまで一つの手順にします。

インサイドバーとアウトサイドバーの高値・安値の包含関係を比較した図
インサイドバーは二本目が一本目の高安内、アウトサイドバーは二本目が一本目の高安を外側から包みます。
目次

先に結論:形だけでは上昇・下落の方向は決まらない

項目インサイドバーアウトサイドバー
英語Inside BarOutside Bar
高値現在足<前足現在足>前足
安値現在足>前足現在足<前足
見た目現在足が前足に入る現在足が前足を包む
値幅収縮拡大
方向形だけでは未定形だけでは未定
重視する追加情報母線の突破方向と再侵入終値位置、背景、次足

二本を古い順に1、2とし、高値をH、安値をLとします。厳格なインサイドバーはH2<H1かつL2>L1、アウトサイドバーはH2>H1かつL2<L1です。インサイドバーの前足は母線、マザーバーとも呼ばれます。

TradingView公式のOutside Bar Strategyも、現在高値が前高値を上回り、現在安値が前安値を下回る足として定義しています。ただし同ページの売買方向は、陽線なら買い、陰線なら売りというその戦略固有の実装です。アウトサイドバー一般の普遍的な売買ルールではありません(TradingView公式ヘルプ)。

インサイドバーは値幅の圧縮を表しますが、上にも下にも抜けられます。アウトサイドバーは値幅の拡大を表しますが、高値更新後に売り込まれたのか、安値更新後に買い戻されたのかで意味が逆になります。「内側だから反転」「外側だから順張り」と決めず、終値、前の流れ、節目、次の足を足します。

同値を含めるかで検出数が変わる

実際のデータでは、前日と同じ高値、同じ安値が頻繁にあります。特に呼値が大きい銘柄や短い時間足では、同値を除くか含めるかが検出数を大きく変えます。厳格版、片側同値を許す版、両側同値を許す版を混ぜてはいけません。

定義インサイドアウトサイド注意
厳格H2<H1、L2>L1H2>H1、L2<L1完全な内外関係
片側同値許容H2≦H1、L2≧L1で片側だけ同値H2≧H1、L2≦L1で片側だけ同値実務でよく使う緩和
両側同値許容H2=H1、L2=L1も含む同じ二本まで含み得る分類が衝突する
推奨厳格版と緩和版を別タグ同左後から都合よく変更しない

両側が同値の足は、前足と全く同じレンジです。これをインサイドにもアウトサイドにも含めれば、一つの足が二分類へ入ります。少なくとも一方は厳格な不等号にする、あるいは「イコールレンジ」と別分類にするのが明快です。株価の小数誤差もあるため、比較には表示値ではなくデータ配信元の価格単位を使います。

はらみ足・包み足との違い

バーの包含関係は高値と安値を使います。はらみ足や包み足は、始値と終値の間にある実体を中心に判定します。したがって、ヒゲが前足の外へ出ている「はらみ足」や、実体は前足を包むが高値・安値は包まない「包み足」が存在します。

インサイドバーとはらみ足、アウトサイドバーと包み足の比較対象を整理した図
バーは全値幅、はらみ足・包み足は実体を比べます。似た見た目でも同じパターンではありません。

TA-Lib公式のCDLHARAMI実装は、二本目の実体上端・下端が一本目の実体内に入るかを調べます。高値・安値の完全内包は条件ではありません(TA-Lib公式Haramiソース)。CDLENGULFINGも、反対色の二本目実体が前の実体を包む条件です(TA-Lib公式Engulfingソース)。

組み合わせ起こり得るか理由扱い
インサイド+はらみある値幅も実体も内側二条件成立
インサイド+非はらみある実体の位置や色条件が不一致バーだけ成立
はらみ+非インサイドあるヒゲが母線の外へ出る実体だけ成立
アウトサイド+包みある値幅も実体も外側二条件成立
アウトサイド+非包みある高安は包むが実体は包まないバーだけ成立

陽線・陰線もバーの必要条件ではありません。赤いインサイドバーも緑のインサイドバーも成立し、赤いアウトサイドバーでも終値が前日安値より十分上に残る場合があります。実体の色は「その足の始値より上か下か」であり、包含は「前足の高安より内か外か」です。

連続インサイドバーはどの母線を使うか

一つの母線の範囲に二本、三本と足が収まることがあります。ここで基準を毎日更新する方式と、最初の母線を固定する方式を混ぜると、突破価格が変わります。

方式判定突破境界特徴
母線固定全て最初の母線内母線の高値・安値大きなレンジの圧縮
前足比較毎回直前足の内側直前足または連続群の外側入れ子が段階的
最狭レンジ連続群の高値最小・安値最大狭い箱の外早いがだましが増え得る
実務三方式を別ルール化発注前に固定母線を後から選ばない

母線固定なら、最初の母線高値が上側境界、安値が下側境界です。内側の足が何本増えても境界は動きません。前足比較では、二本目が一本目の内側、三本目が二本目の内側という入れ子を重視します。どちらも「圧縮」を表しますが、同じ候補、同じ入口にはなりません。

NR7は直近七本の中で当日の値幅が最小という別条件です。インサイドバーは直前足との包含関係だけを見ます。インサイドでも過去七本最小とは限らず、NR7でも直前足の内側とは限りません。値幅収縮を数値で比べるときは、NR7・NR4の記事と分けて記録します。

上位足のインサイドバーと下位足の動き

日足のインサイドバーは、一日の高値・安値が前日の範囲内だったという集計結果です。日中に一方向へ静かに進んだとは限りません。分足では往復していても、最終的な日足高安が母線内なら成立します。週足も同じで、週の途中では高値・安値が変わるため、確定前に判定できません。一日が静かだったという印象と、日足の高安が収まった事実は違います。集計された足から、その時間内の経過まで想像しすぎないようにしておきたいです。

時間軸確定時点未確定で起こること使い方
日足その市場の大引け後後場に母線高安を越える翌営業日以降に注文
週足週末の取引終了後金曜まで高安が拡張週確定を待つ
60分足各バー終了後残り数分で外へ出る次バーで執行
日足+分足日足確定後下位足だけで先回り翌日の入口精緻化に使用

上位足の母線高安は支持・抵抗の候補になり、下位足でその境界を越えた後の定着や再侵入を観察できます。ただし、日足終値で突破を定義した検証に、場中の一時突破を混ぜてはいけません。終値確認、一定時間維持、出来高増加などの条件は別々に検証します。

インサイドバー:突破より「突破後」を見る

インサイドバーの一般的な使い方は、母線高値の上抜けを買い候補、母線安値の下抜けを売り候補とするものです。しかし、境界へ一瞬触れて戻る「だまし」があります。次の三段階を区別します。

確認上抜け例利点弱点
場中突破母線高値+1呼値早い再侵入しやすい
終値突破終値が母線高値超え一時突破を減らす入口が遅い
突破+次足維持次足も境界の外定着を確認値幅を使い切る
突破後リテスト境界へ戻り反発撤退点を近づけやすい未約定が増える

上抜け後に終値が母線内へ戻れば、突破失敗です。すぐ下抜けに反転することもありますが、自動的にドテンするかは別ルールです。往復で二度損をする可能性があるため、「同一母線での再発注は一回まで」「両側を同日に越えたら見送り」などを決めます。

アウトサイドバー:終値の位置で中身を分ける

アウトサイドバーは前足の高値と安値を両方越えています。値幅拡大は共通でも、終値がどこにあるかで一日の攻防は変わります。終値位置を、CLV=(終値-安値)÷(高値-安値)で0~1に正規化できます。高値=安値なら計算できないため除外します。

CLVの例終値位置説明確認
0.8以上高値側安値から買い戻し優勢上側節目と次足
0.2以下安値側高値から売り優勢下側節目と次足
0.4~0.6中央両方向へ振れたが決着弱い即断しない
大きな窓を伴う価格発見が急材料の影響が強い決算・ニュース確認

CLVは説明変数であって勝率保証ではありません。高値圏で安値側へ引けたアウトサイドバーは反落候補、安値圏で高値側へ引けた足は反発候補として説明しやすい一方、強いトレンドでは一日の揺さぶりに過ぎないことがあります。直前の支持抵抗、出来高、ギャップ、次足の高安更新を合わせます。

架空のOHLCで判定する

次は計算方法を示す架空例で、実在銘柄のデータでも売買推奨でもありません。前足が始値1,020円、高値1,100円、安値980円、終値1,070円とします。

例現在足 O/H/L/C判定補足
A1,060/1,080/1,000/1,030厳格インサイド1080<1100、1000>980
B1,060/1,100/1,000/1,030片側同値のインサイド厳格版では除外
C1,050/1,120/960/1,105アウトサイドCLV約0.91
D1,050/1,120/960/975アウトサイドCLV約0.09
E1,060/1,115/1,000/1,100どちらでもない高値だけ更新

例CとDは同じ高値・安値なのに、終値位置が正反対です。Cは安値から買い戻され、Dは高値から売り込まれました。「アウトサイドバーが出た」という一語だけでは、この違いを捨ててしまいます。実体色、CLV、前日終値比も別列で保存します。

注文:確定前の足を完成扱いしない

インサイドバーもアウトサイドバーも、バーが閉じるまで高値・安値が変わります。日足確定で判定するなら、大引け前に「今日の高値・安値」で候補を作り、その日の終値で約定したことにするバックテストは先読みです。翌日寄り、翌日の逆指値、終値確認後の指値など、実際に出せる時点へずらします。

インサイドバーとアウトサイドバーを定義、確定、文脈、境界、注文、撤退、数量へ落とす七段階の図
包含関係を見つけた後、境界、再侵入、注文、撤退、数量を固定して取引計画にします。
注文案入口無効化候補主な弱点
母線上抜け買い母線高値+1呼値母線内への終値再侵入一時突破で約定
母線下抜け売り母線安値-1呼値母線内への終値再侵入空売り制約
終値確認突破日の翌日突破境界割れ・超え入口が遠い
リテスト指値母線境界への戻り母線反対側または構造未約定
アウトサイド次足外包足高安の突破外包足中央・反対側値幅が大きい

ストップ注文はトリガー価格へ到達すると成行注文になり、ストップ価格での約定は保証されません。ストップ・リミットは限度価格を制御できますが、急変で価格が通過すると未約定になり得ます(Investor.gov、2026年8月18日更新)。値幅の大きいアウトサイドバーでは、滑りと翌朝の窓を特に大きめに仮定します。

撤退と数量:母線が大きすぎるなら見送る

入口から母線反対側までを損切りにすると、母線が大きいほど一株リスクが増えます。インサイドバーが小さく見えても、母線が長大なら低リスクとは限りません。アウトサイドバーはそれ自体の値幅が大きいため、反対側を損切りにすると数量が極端に小さくなります。

株数上限は、一回の許容損失÷(入口-撤退の絶対値+滑り・手数料相当)で計算します。架空例で母線高値1,100円を1,105円で買い、撤退1,055円、滑り等5円なら1株リスクは55円です。許容損失22,000円なら上限400株です。翌朝1,145円へ窓を開ければ1株リスク95円、上限約231株なので、100株単位なら200株以下へ縮小します。

項目当初計画翌朝上窓判断
入口1,105円1,145円40円上振れ
撤退1,055円1,055円境界は維持
滑り等5円5円仮定値
1株リスク55円95円約1.73倍
22,000円の上限400株約231株単元なら200株
対応計画内縮小か見送り追いかけない

「再侵入で撤退」は終値基準か場中基準かを決めます。終値まで待てば損失が広がり、場中で切れば往復に振られやすくなります。価格損切りに加え、突破後3~5本で値が進まない時間切れ、出来高が急減した場合の縮小などを別ルールとして検証できます。

組み合わせる情報と、見送り条件

インサイドバーは、上昇トレンド中の小休止にも、重要抵抗直下の行き詰まりにも現れます。アウトサイドバーは、反転にもトレンド継続の乱高下にも現れます。形を方向へ変換するのは、位置と確認です。

条件意味使い方見送り
支持・抵抗突破余地直上・直下の節目まで測る利益余地<損失幅
先行トレンド継続対象高安、傾き、N本リターンレンジ中央
出来高参加の広がり20日中央値比など固定薄商い・気配差大
ATR通常値幅との比較母線・外包足をATR比にする撤退幅が過大
決算・材料価格発見の原因通常日と別集計内容未確認
上位足大きな方向と節目日足と週足の整合上位足境界直前

インサイドバーの後に上と下の両方を越える「両面ブレイク」、アウトサイドバーが直近平均の数倍、最小単元でも許容損失を超える、決算発表直前、売買停止や特別気配、貸借条件不明の空売りは見送ります。条件がきれいでも、実行できない取引は検証対象から分けます。

同じ値幅収縮でも、スクイーズ・エクスパンションの記事は複数期間のボラティリティ指標、上げ三法・下げ三法の記事は五本の継続パターンを扱います。今回の二本パターンと同じ名前で呼ばないことが、検証の第一歩です。

研究と検証:パターン名に固定の勝率はない

2017年のSAGE Open掲載研究は、タイのSET50構成銘柄について2006年7月から2016年6月までの日足を使い、複数のローソク足パターン、保有期間、出口、RSI・ストキャスティクス・MFIのフィルターを比較しました。多くの平均リターンはゼロと統計的に異ならず、フィルターも一貫した改善を示しませんでした(Tharavanij, Siraprapasiri & Rajchamaha, 2017)。

対象市場と足型が限定された研究なので、インサイドバーやアウトサイドバーが常に無効という証明ではありません。同時に、名称だけで普遍的な勝率を断定する根拠にもなりません。日本株で調べるなら、厳格・同値許容、日足・週足、母線固定・前足比較、場中・終値突破、再侵入、CLV、コストを別群にします。

検証項目固定する内容避ける偏り
定義厳格/片側同値分類衝突
時間軸日足/週足/分足確定時刻混在
連続内包母線固定/前足比較後付けの境界
突破場中/終値/次足先読み
アウトサイドCLV帯、色、前日比全候補を一括
約定翌寄り、逆指値、指値表示価格への即時約定
コスト手数料、気配差、滑り短期成績の過大評価
評価平均、中央値、連敗、最大不利変動勝率だけの選別

学習期間で閾値を作り、未使用期間で確認します。候補が少ないと数回の大幅変動だけで平均が動くため、中央値、信頼区間、最大連敗、最大不利変動も見ます。上抜け買いと下抜け売り、現物買いと空売りは執行条件が対称ではないので別集計にします。

よくある疑問

Q.インサイドバーが陽線なら上抜けしやすいですか。
陽線はその足の始値より終値が高いことしか示しません。母線高値を越えていなければ、上方向はまだ確認されていません。色ごとの成績を調べることはできますが、陽線だけで買い確定とはしません。

Q.アウトサイドバーは包み足と同じですか。
同じではありません。アウトサイドバーは高値・安値、包み足は始値・終値の実体を比べます。両方を満たす足も、片方だけの足もあります。スクリーナーの名称ではなく、実装がどの価格を比較するか確認します。

Q.母線は大きいほど突破の信頼度が高いですか。
大きな母線は境界が遠く、反対側までを損切りにすると一株リスクが増えます。通常値幅に対する母線幅、突破までの距離、次の節目までの余地を同時に見ます。大きさだけで優劣は決まりません。

Q.両側へ注文を置けば方向を予測しなくて済みますか。
上下の逆指値を置く方法はありますが、一方が約定したら反対注文を確実に取り消すOCO相当の管理が必要です。急変時には両方が約定する、片側が滑る、再侵入で連続損失になる可能性もあります。証券会社の注文仕様を確認し、両面ブレイク時の上限損失を先に計算します。

実践チェックリスト

  1. 比較する二本が同じ市場、同じ時間軸、同じ調整方法か。
  2. インサイドはH2<H1かつL2>L1、アウトサイドは逆か。
  3. 同値を除くか、片側だけ許すかを事前に決めたか。
  4. はらみ足・包み足と混同していないか。
  5. 連続内包では最初の母線を固定するか、前足比較か。
  6. バーが確定してから判定しているか。
  7. 先行トレンド、支持抵抗、上位足の位置を確認したか。
  8. アウトサイドバーの終値位置とCLVを見たか。
  9. 突破は場中、終値、次足維持のどれか。
  10. 母線内への再侵入をどう扱うか。
  11. 入口から撤退までの幅と滑りから数量を計算したか。
  12. 最小単元でも損失上限を超えるなら見送れるか。

まとめ

インサイドバーは現在足の高値が前足より低く、安値が前足より高い値幅収縮です。アウトサイドバーは現在足の高値が前足より高く、安値が前足より低い値幅拡大です。どちらも比較するのはヒゲを含む高値・安値であり、実体を比べるはらみ足・包み足とは別物です。私には、値幅の変化を見つけることと、方向を決めることを分ける意味が残りました。小さい足があるから買うのではなく、その範囲の外で次に何が起きるかを追う入口にしたいです。

インサイドバーは母線の上にも下にも抜けます。アウトサイドバーも終値が高値側か安値側かで中身が異なります。同値、連続内包、確定時刻、突破、再侵入、終値位置を別条件として固定し、実際に出せる翌日注文へ落とし込みます。包むか包まれるかを見つけるだけでなく、どの境界を越え、戻り、どこで取引を無効にするかまで決めて初めて、再現可能な売買ルールになります。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は、本文中に示した日付時点の決算短信・会社のIR資料などの公開情報に基づきます。最新の情報は各社の開示でご確認ください。本文で架空例・筆者想定と明示した数値は説明用の試算で、実績や会社予想ではありません。

インサイド・アウトサイド。高値と安値の関係。成人女性を配した記事カバー。

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