株価が何週間もかけて下げ止まり、底が丸く見えてきた。「ラウンディングボトムだから、そろそろ買い」と考えた直後に、株価がもう一段下がる――。このパターンで起きやすい失敗は、なだらかな曲線を見つけた時点で反転が完成したと扱うことです。
ラウンディングボトムは、下落の勢いが徐々に弱まり、横ばいを経て上昇の勢いが強まる過程をU字形として読む反転候補です。ラウンディングトップはその反対で、上昇の勢いが鈍り、天井圏を経て下落へ移る過程を逆U字形として見ます。ただし、円弧を正確に描けることが売買条件ではありません。先行トレンド、形成期間、戻り高値や支持帯、突破の定義、注文、撤退、数量まで分けて初めて実行可能になります。
この記事では、丸い底と天井を「候補」「完成」「注文後」に分解します。図と数値例はすべて当ブログが作成した架空例で、特定銘柄の実績や将来の勝率ではありません。
先に押さえる5点
- ラウンディングボトムは下落後のU字、トップは上昇後の逆U字が候補です。
- 丸く見えるだけでは未完成。ボトムは戻り高値、トップは支持帯の突破を確認します。
- 出来高は補助材料です。価格条件を満たさない段階で、出来高だけから完成と決めません。
- 目標値はパターンの深さを投影した計算目安で、到達や利益を保証しません。
- 完成後でも、撤退幅・単元株・決算・流動性が合わなければ0株です。
ラウンディングボトム・トップとは何ですか?
ラウンディングボトムは、長く続いた下落が急反発ではなく、少しずつ傾きを緩めて底ばいへ入り、その後に上昇の傾きを強める形です。英語ではRounding Bottom、Saucer Bottomと呼ばれます。重要なのは左右対称の半円ではなく、「売り優勢から均衡、買い優勢へ」という変化が時間をかけて進む点です。
ラウンディングトップは逆です。先行する上昇が徐々に鈍化し、高値圏で傾きが平らになり、次第に下向きの傾きが強まります。ボトムの上下を反転したように見えますが、買いと空売りでは損失構造、配当、貸株、逆日歩、注文可能性が同じではありません。
StockChartsのChartSchoolは、ラウンディングボトムを長期の反転パターンとして説明し、下落、底、上昇という段階、左側高値付近の抵抗突破、出来高の変化を確認項目に挙げています。一方で、理想形を求めすぎずパターンの本質を捉える必要があるとも述べています。出典:StockCharts ChartSchool「Rounding Bottom」。
| 確認項目 | ラウンディングボトム | ラウンディングトップ |
|---|---|---|
| 先行トレンド | 下落 | 上昇 |
| 形の候補 | U字・受け皿型 | 逆U字・ドーム型 |
| 完成を測る節目 | 形成前半の戻り高値・抵抗帯 | 形成前半の押し安値・支持帯 |
| 典型的な確認 | 抵抗帯の上抜け | 支持帯の下抜け |

形成過程は、減速・均衡・加速の3段階で読みます
ラウンディングボトムの左側では、安値を更新していても、一回ごとの下げ幅や移動平均線の下向き傾斜が緩むことがあります。中央付近では値幅が縮まり、売り買いが均衡します。右側では高値と安値が少しずつ切り上がり、上昇の傾きが強まります。底値一日だけを探すのではなく、傾きの変化を連続した過程として観察します。
トップでは、上昇幅の縮小、高値更新の停滞、横ばい、安値切り下げへ進みます。ただし、上昇途中の小休止も同じように見えます。先行上昇を反転させる規模があるか、形成期間と値幅を固定して比較します。
| 段階 | ボトムの観察 | トップの観察 | まだ分からないこと |
|---|---|---|---|
| 前半 | 下落幅が縮小 | 上昇幅が縮小 | 反転するか |
| 中央 | 底ばい・値幅縮小 | 高値圏・値幅縮小 | 均衡がどちらへ崩れるか |
| 後半 | 高値・安値切り上げ | 高値・安値切り下げ | 節目を突破できるか |
左右が完全に対称である必要はありません。底の右側が急に立ち上がる場合も、トップの下落が左側より速い場合もあります。対称性を必須にすると、完成後のチャートだけを選びやすくなります。検証するなら「形成期間20~120営業日」「深さは抵抗価格の10~35%」のように仮定を先に記録し、結果を見て変えません。ここでの数値は設計例で、普遍的な基準ではありません。
円や放物線をぴったり当てはめる必要はありません
名称に「ラウンディング」と入りますが、価格を幾何学的な円へ一致させる手法ではありません。終値へ二次曲線を当てはめれば、どの期間にもある程度のU字や逆U字を作れます。期間の始点と終点を完成後に動かせば、見栄えのよい曲線を選べてしまいます。
実務では、短いローリング回帰や移動平均の傾きを使い、下向きからほぼ水平、上向きへ変わったかを補助的に記録できます。たとえば20日移動平均の5日前との差を傾きの代わりに使うなら、計算期間20日と比較間隔5日を固定します。ただし平均線は価格から遅れるため、抵抗突破の代わりにはしません。
傾きがゼロに近い日を一日だけ底と決めるのも避けます。数日続く横ばい、直近安値を更新しないこと、右側で戻り高値へ近づくことを別々に記録すると、偶然の一日と形成過程を区別しやすくなります。
安値だけを滑らかに結ぶ方法、終値を使う方法、週足へ集約する方法でも形は変わります。どれが正解かを完成後に選ぶのではなく、検証前に入力系列を決めます。曲線は「減速と加速を同じルールで測る道具」、節目は「取引仮説が完成・否定されたかを測る道具」と役割を分けます。
| 測り方 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 高値・安値の切り上げ | 価格構造の変化 | 突破後の利益 |
| 移動平均の傾き | 平滑化した方向 | リアルタイムの転換点 |
| 抵抗・支持の突破 | 完成条件の成立 | 目標到達の保証 |
どの時間軸で丸いかを固定します
週足では一年かけた底に見えても、日足では複数の急落と反発の集合かもしれません。日足の100本と5分足の100本は、形成にかかる実時間、材料、取引費用、窓の影響が違います。候補を記録するときは、足種、調整株価の有無、対数・線形目盛を一緒に保存します。同じ本数でも流れている時間が違います。長期間の底形成と短い足の値動きを混同しないために、時間軸の違いを記録します。
対数目盛では同じ割合の変化が同じ距離になり、線形目盛では同じ金額の変化が同じ距離になります。長期で株価水準が大きく変わると、見た目の丸さが変わります。表示条件の違いは、対数目盛・株式分割・配当調整の記事で確認できます。
| 固定する条件 | 理由 | 記録例 |
|---|---|---|
| 足種 | 保有期間とノイズが変わる | 日足、終値判定 |
| 目盛 | 曲率の見た目が変わる | 対数目盛 |
| 価格系列 | 分割・配当で連続性が変わる | 分割調整済み終値 |
| 形成期間 | 小さな振動との混同を防ぐ | 20~120営業日 |
完成条件は、左側の節目を価格帯として引きます
ボトムでは、下落前半の戻り高値や、下落が加速する前に支持だった価格帯が抵抗になりやすい場所です。トップでは、上昇前半の押し安値や、上昇が加速する前の抵抗だった価格帯を支持として見ます。一本の細い線より、複数回反応した終値とヒゲの範囲を帯にすると、数円の差で完成・未完成を入れ替える誤りを減らせます。
突破の定義は、場中に一度触れた、終値で越えた、終値で1%以上越えた、2日連続で維持した、出来高が直近平均を上回った、など複数あります。厳しくするほど誤反応は減る可能性がありますが、約定価格は不利になりやすくなります。検証と実行で同じ定義を使います。
| 突破条件 | 長所 | 残る問題 |
|---|---|---|
| 場中に到達 | 早く反応 | ヒゲだけで戻る可能性 |
| 終値で突破 | 確定足で再現しやすい | 翌日の窓 |
| 余裕幅付き終値 | 小さな往復を除外 | 追いかけ幅が増える |
| 日数+出来高 | 複数条件で確認 | 機会減少と条件の複雑化 |
支持線・抵抗線を帯で扱う方法と、突破後に節目の役割が入れ替わるロールリバーサルも併せて確認すると、完成後の再試験を整理しやすくなります。
出来高は、価格の完成を補助する材料です
古典的なラウンディングボトムでは、左側の下落で出来高が減り、底付近で静まり、右側の上昇や抵抗突破で増えるU字状の出来高が理想形とされます。StockChartsも出来高を確認材料として扱います。ただし、日本株の個別銘柄では、指数入替、決算、自己株式取得、立会外取引、浮動株比率などで出来高が変化します。価格が抵抗帯を超えていないのに、出来高の形だけで完成とはしません。
ボトム中央で出来高が少ないことも、必ず「売り手が消えた」証拠ではありません。単に関心が薄れ、買い手も少ない可能性があります。売買代金と板の厚さを確認し、必要株数を実際に約定できるかを別に考えます。
| 出来高の状態 | 可能な解釈 | 追加確認 |
|---|---|---|
| 底で減少 | 売り圧力の低下/関心低下 | 高安値の切り上げ |
| 右側で増加 | 参加者の増加 | 抵抗帯の終値突破 |
| 突破日に急増 | 材料・需給イベント | 決算・ニュース・翌日の維持 |
| 全期間を通じ低調 | 流動性不足 | 売買代金・スプレッド・板 |
V字反転、ダブルボトム、カップとは別に扱います
V字反転は急落から急反発へ短時間で切り返し、底で横ばいになる期間が短い形です。ラウンディングボトムは減速と均衡を時間をかけて作ります。ダブルボトムは二つの明確な谷と、その間の戻り高値を使います。ラウンディングボトムの底が小さく二度試されることはありますが、名称を無理に一つへ固定する必要はありません。
カップ・ウィズ・ハンドルは丸いカップだけでなく、右側高値付近の短い調整であるハンドルを条件に含む別の定義です。ハンドルがないラウンディングボトムを、完成後にカップ・ウィズ・ハンドルと呼び替えないようにします。
| 形 | 特徴 | 節目 |
|---|---|---|
| ラウンディングボトム | なだらかな減速・底ばい・加速 | 左側の戻り高値 |
| V字反転 | 急落と急反発 | 急落前の節目 |
| ダブルボトム | 二つの谷が明確 | 間の戻り高値 |
| カップ・ウィズ・ハンドル | カップ右側に短い調整 | ハンドル上限 |
二つの谷を使う完成条件は、ダブルトップ・ダブルボトムの記事、三つの山・谷との違いは三尊・逆三尊の記事で詳しく説明しています。
目標値は「深さ」を投影しますが、到達保証ではありません
架空のラウンディングボトムで、抵抗帯の中心Rが1,200円、底値Lが900円なら、パターンの深さDは300円です。終値1,230円で突破を確認した場合、上値目安Tを「突破価格B+D」として1,530円と計算できます。
D=R−L、T=B+Dです。トップでは上下を反転し、支持帯と高値の差を下抜け価格から差し引きます。ただし、節目が帯なら中心・上端・下端のどれを使うかで値が変わります。検証前に統一します。
目標値の役割は、利益を予言することではなく、現在価格から残る期待余地を、撤退までの損失幅と比較することです。突破後に1,400円まで窓を開けて始まり、撤退が1,160円なら一株リスクは240円以上になります。目標1,530円まで130円しか残らず、期待余地より損失幅が大きいなら、完成後でも見送れます。

| 購入候補 | 撤退 | 一株リスク+5円 | 目標まで | 判断例 |
|---|---|---|---|---|
| 1,230円 | 1,160円 | 75円 | 300円 | 数量を計算 |
| 1,330円 | 1,160円 | 175円 | 200円 | 数量縮小 |
| 1,400円 | 1,160円 | 245円 | 130円 | 追いかけを見送る |
注文・撤退・数量を一つの計画にします
ボトムを突破で買うなら、抵抗帯の上に買いの逆指値を置く方法、終値確認後に翌日の指値・成行を検討する方法があります。逆指値は条件到達後に成行となる場合、想定価格からずれて約定する可能性があります。逆指値付き指値なら許容価格を制御できますが、価格が指値を通過すると未約定になる可能性があります。証券会社によって発動条件と注文名称が異なるため、利用先の仕様を確認します。出典:Investor.gov「Stop, Stop-Limit, and Trailing Stop Orders」。
撤退は、ボトムなら突破した抵抗帯へ終値で戻った、右側の押し安値を割った、一定日数たっても進まない、などを候補にします。トップでは上下を反転します。どれを使うかで一株リスクが変わるため、注文後ではなく注文前に固定します。
損失予算15,000円、購入1,230円、撤退1,160円、手数料・滑りの余裕を一株5円とすると、一株の見積損失は75円です。15,000÷75=200株なので、100株単位なら最大200株です。ただし、決算で1,100円から始まれば1,160円では売れない可能性があり、15,000円は保証上限ではありません。
| 項目 | 架空例 | 価格が変わったら |
|---|---|---|
| 損失予算 | 15,000円 | 取り返すために増額しない |
| 一株リスク | 75円 | 購入-撤退+費用を再計算 |
| 数量 | 200株 | 売買単位で切り下げ |
| 単元未満 | 0株 | 撤退幅を狭めて無理に買わない |

研究結果は、曲線を見れば勝てるという意味ではありません
チャートパターンは、どの期間を切り取り、どこを底や天井と呼ぶかが観察者に依存します。Lo、Mamaysky、Wangは、カーネル回帰を使って価格系列を平滑化し、複数のチャート形状をアルゴリズムで認識する研究を行いました。米国株の1962~1996年データで、一部のパターン後の条件付きリターン分布に情報が含まれる可能性を報告しています。出典:NBER Working Paper 7613、Journal of Finance掲載論文。
この研究は、現在の日本株でラウンディングボトムを見つければ必ず利益になることを示していません。対象市場、期間、形の定義、売買費用、空売り可能性、上場廃止銘柄、検証後のデータ利用で結果は変わります。滑らかな曲線は平滑化の幅でも変わるため、移動平均期間や局所回帰の帯域を後から調整すると過剰適合になります。
| 記録時点 | 保存する内容 | 防ぐ誤り |
|---|---|---|
| 候補発見 | 足種、期間、目盛、節目、期限 | 成功例だけを選ぶ |
| 完成確認 | 突破時刻、終値、出来高、余裕幅 | 場中と終値の混同 |
| 注文前 | 注文種別、上限、撤退、株数 | 希望価格で約定した前提 |
| 終了後 | 約定値、費用、最大逆行、終了理由 | 形の成否と損益の混同 |
見送り条件は完成前に決めます
丸い底が完成しても、すべて買う必要はありません。決算や重要発表の直前、出来高が少なく必要株数を売買できない、突破時に大きく窓を開けて目標余地が小さい、100株でも損失予算を超える、抵抗帯を何度も引き直している場合は見送ります。
ラウンディングトップも、空売りだけに使う必要はありません。保有株の買い増し停止、逆指値の点検、利益確定計画の見直しに使えます。貸株不足や逆日歩、配当、買い戻しの窓を許容できなければ、空売りを選ばないことも計画です。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 丸いが節目を未突破 | 候補として監視。完成取引に数えない |
| 突破したが目標余地不足 | 追いかけず見送り |
| 単元株で予算超過 | 損失予算を広げず0株 |
| 決算・重要材料の直前 | 窓リスクを許容できなければ見送り |
| 節目を何度も引き直す | 旧候補を終了し、新候補として記録 |
まとめ:丸さではなく、形成・完成・実行を読みます
ラウンディングボトムは、下落が減速し、底ばいを経て上昇が加速するU字形の反転候補です。ラウンディングトップは、上昇が減速し、高値圏を経て下落が加速する逆U字形の候補です。きれいな半円を描くことより、先行トレンドと形成過程があるかを確認します。私には、底をきれいに描くことより、下げが鈍り、戻りが進む順番を読む方が役立ちそうです。長く待った形だから安全と決めず、そこから入る価格と撤退の場所を確かめたいです。
候補と完成を分ける価格帯を先に引き、場中・終値・余裕幅・日数・出来高のどれで突破を判定するか固定します。出来高は補助材料で、価格条件の代わりではありません。V字反転、ダブルボトム、カップ・ウィズ・ハンドルとは、形成速度と節目の定義を比べます。
最後に、深さから計算した目標値を期待余地の定規として使い、撤退価格との差、費用、損失予算から数量を計算します。完成後でも条件が合わなければ0株です。「丸いから反転する」ではなく、候補・完成・注文・撤退・数量を分けることが、後付けを減らす出発点になります。
資料確認・更新日:2026年9月24日。図表・数値例は当ブログ作成です。
免責事項
本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・売買を推奨するものではありません。チャートパターン、目標値、注文条件は将来の値動きや利益を保証しません。注文の不成立、価格のずれ、空売り特有の損失により、想定以上の損失が生じる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は、本文中に示した日付時点の決算短信・会社のIR資料などの公開情報に基づきます。最新の情報は各社の開示でご確認ください。
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