HMA(Hull Moving Average、ハル移動平均)は、Alan Hull氏が2005年に公開した、WMAを三段階で組み合わせる平滑線です。本記事では式、WMAの重み、期間の丸め、必要本数、オーバーシュート、方向転換、注文、撤退、数量、見送り、検証を一続きにします。例示する価格と成績は学習用の架空例で、特定銘柄の実績ではありません。
先に結論
- HMAは、2×WMA(n/2)-WMA(n)を作り、WMA(√n)で平滑化します。
- 平均との差を足し戻すため反応は速くなりますが、線が価格レンジを一時的に越える場合があります。
- n/2と√nの端数処理は実装差です。サービス名、期間、入力価格、丸め方をセットで記録します。
- 考案者は2本のHMAの交差ではなく、HMAの方向転換を用途として説明しています。
- 方向転換は確定足で判定し、支持抵抗や値動きの強さ、流動性を別に確認します。
- 次の取引時の買値と撤退価格で数量を再計算し、最小単元で損失予算を超えるなら0株です。
HMAは「速い平均線」ではなく、差を足し戻す線
一般的な移動平均は、過去価格をならす代わりに転換への反応が遅れます。Alan Hull氏は、0から9まで増える10個の値の単純平均が4.5、後半5個の平均が7になる例を使い、短い平均と長い平均の差2.5を短い平均へ足すと9.5となり、現在値9をわずかに行き過ぎることを説明しています。この「行き過ぎ」が、入れ子の平滑化で生じる遅れを相殺する発想です。
氏の公式解説はHMAを、Integer(√period)期間のWMA[2×Integer(period/2)期間のWMA(price)-period期間のWMA(price)]と示しています。目的は遅れを減らしながら滑らかさを保つことであり、未来価格を当てる式ではありません。出典:Alan Hull「The Hull Moving Average」(2026年9月25日確認)。
| 段階 | 計算 | 役割 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 1 | WMA(n/2)とWMA(n) | 短期と長期の平滑値を作る | n/2の丸めを固定 |
| 2 | Raw=2×WMA(n/2)-WMA(n) | 遅れを相殺する差分を足す | 価格帯外へ出る場合 |
| 3 | HMA=WMA(√n, Raw) | 生のHMAを再びならす | √nの丸めを固定 |

まずWMAの重みを確認する
HMAの材料となるWMA(加重移動平均)は、直近ほど大きい線形の重みを置きます。期間m、古い順に価格P1…Pmとすると、WMAm=Σ(i×Pi)÷Σiです。分母はm(m+1)÷2です。期間5なら重みは1、2、3、4、5で、最新価格の重みは最古価格の5倍です。
価格100、101、102、103、108円なら、5日WMAは(1×100+2×101+3×102+4×103+5×108)÷15=104円です。同じ5値のSMAは102.8円なので、上昇した最新価格へWMAが強く反応します。ただし価格が反落すれば、同じ性質によってすばやく下がります。詳しいSMAの基礎は移動平均線の記事、EMAとWMAの違いはEMA・WMAの記事で確認できます。
| 日 | 価格 | 重み | 価格×重み |
|---|---|---|---|
| 1(最古) | 100円 | 1 | 100 |
| 2 | 101円 | 2 | 202 |
| 3 | 102円 | 3 | 306 |
| 4 | 103円 | 4 | 412 |
| 5(最新) | 108円 | 5 | 540 |
| 合計 | — | 15 | 1,560 |
| 線 | 同じ5値での値 | 直近価格への反応 | 履歴 |
|---|---|---|---|
| SMA | 102.8円 | 均等 | 有限5本 |
| WMA | 104.0円 | 線形に大きい | 有限5本 |
| EMA | 初期値で変わり得る | 指数的に大きい | 再帰的 |
| HMA | 複数WMAから算出 | 速いが行き過ぎ得る | 有限窓の組合せ |
HMAの三段階を期間16で計算する
期間n=16なら、半分は8、平方根は4で端数がありません。まず終値のWMA(8)とWMA(16)を計算し、生の値Raw=2×WMA(8)-WMA(16)を作ります。仮にWMA(8)=2,040円、WMA(16)=2,010円なら、Raw=2×2,040-2,010=2,070円です。現在値が2,055円でもRawが2,070円になることがあり、ここが単純な平均との違いです。
次にRawの直近4本へWMA(4)を適用します。Rawが2,020、2,035、2,050、2,070円なら、HMA=(1×2,020+2×2,035+3×2,050+4×2,070)÷10=2,052円です。最後のWMAでRawの凸凹をならしつつ、長いWMAだけより転換へ近づけます。
計算途中の値を丸めると誤差が蓄積します。表示は小数2桁でも、内部計算は十分な精度を保ち、最後に表示桁へ丸めます。分割調整済み終値を使うか、未調整終値を使うかも固定します。日足HMA(16)と5分足HMA(16)は同じ16本でも時間の長さが異なり、同一指標ではありません。
| 計算 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| WMA(8) | 2,040円 | 直近8本を線形加重 |
| WMA(16) | 2,010円 | 直近16本を線形加重 |
| 2×WMA(8) | 4,080円 | 短期の位置を強調 |
| Raw | 4,080-2,010=2,070円 | 遅れを補正した生値 |
| WMA(4, Raw) | 2,052円 | 最終HMA |
| 入力 | 選択肢 | 記録事項 |
|---|---|---|
| 価格 | 終値・典型価格・加重終値 | 列名と式 |
| 株価調整 | 分割・配当調整の有無 | データ提供元の仕様 |
| 足 | 日・週・分 | 市場時間とタイムゾーン |
| 途中精度 | 浮動小数点・表示丸め | 丸める段階 |
| 欠損 | 休場・売買停止 | 前値埋めをするか |
期間11で線がずれる理由:端数処理は仕様
n=11ではn/2=5.5、√11=約3.317です。Alan Hull氏の数式はIntegerを明記しますが、StockChartsのChartSchoolは、11/2を最も近い整数6へ、√11を最も近い整数3へ丸める実装例を示しています。整数切り捨てなら短期WMAは5、四捨五入なら6になり、同じ「HMA(11)」でも値が一致しません。出典:StockCharts ChartSchool「Hull Moving Average (HMA)」(2026年9月25日確認)。
切り捨て、四捨五入、切り上げのどれが普遍的に正しいというより、利用環境の定義を再現することが重要です。コードで検証するなら、half=round(n/2)なのかfloor(n/2)なのか、root=round(√n)なのかを設定値として保存します。期間16、25、36のような完全平方数なら√nの曖昧さを避けやすいものの、最適な期間を保証するわけではありません。
| 期間n | n/2 | √n | 四捨五入例 | 切り捨て例 |
|---|---|---|---|---|
| 11 | 5.5 | 3.317 | WMA(6)→WMA(3) | WMA(5)→WMA(3) |
| 15 | 7.5 | 3.873 | WMA(8)→WMA(4) | WMA(7)→WMA(3) |
| 16 | 8 | 4 | WMA(8)→WMA(4) | 同じ |
| 20 | 10 | 4.472 | WMA(10)→WMA(4) | 同じ |
| 25 | 12.5 | 5 | WMA(13)→WMA(5) | WMA(12)→WMA(5) |
| 照合項目 | 一致させる内容 | ずれた場合の確認 |
|---|---|---|
| 期間 | 表示n | 半分と平方根の実期間 |
| 入力価格 | close等 | OHLCのどれか |
| 株価調整 | 分割・配当 | 調整履歴 |
| 取引時間 | 立会・時間外 | 日足確定時刻 |
| 欠損処理 | NA・前値 | 休場と停止 |
| 精度 | 内部桁数 | 途中丸め |
「遅れが少ない」は「オーバーシュートしない」ではない
Raw=2×短期WMA-長期WMAは、長期平均との差を短期側へ足し戻す形です。係数にマイナスが含まれるため、HMAは価格を正の重みだけで平均した線ではありません。急上昇後には現在価格より上、急落後には現在価格より下へ一時的に出る場合があります。この位置を「強気が100%」「割安」と解釈せず、計算上の補正として扱います。
トレンドが滑らかに続けば、HMAの傾きはSMAより早く変化を捉えやすくなります。しかし価格が狭いレンジを往復すると、HMAの傾きも上・下へ頻繁に切り替わります。反応速度を上げることはノイズを消すことではありません。期間を短くすれば早さと誤反応がともに増え、長くすれば滑らかさと遅れがともに増える傾向があります。

| 状態 | HMAの見え方 | 誤読 | 追加確認 |
|---|---|---|---|
| 滑らかな上昇 | 早めに上向く | 上昇継続を保証 | 高値・安値の切上げ |
| 急騰後 | 価格上へ行き過ぎる場合 | 目標価格と誤認 | 出来高・イベント |
| レンジ | 傾きが頻繁に反転 | 毎回売買 | 支持抵抗・CHOP |
| 急落後 | 価格下へ行き過ぎる場合 | 割安と断定 | 下げ止まり価格 |
| ギャップ | 一度に大きく変化 | 通常足と同じ扱い | 決算等の材料 |
方向転換を売買候補へ変える
Alan Hull氏は、HMAの主用途として方向転換を挙げ、HMA同士のクロスは推奨していません。クロスオーバーは二本の遅れを利用する方法であり、遅れを減らすHMAの思想と合わないためです。これは「HMAが上向いたら必ず買う」という意味ではありません。方向転換は候補抽出であり、価格構造、相場環境、発注条件を別にします。速さを求めた道具の考え方を知ると、同じ移動平均だからとクロスだけを見る使い方も見直したくなります。
最小の定義は、Slopet=HMAt-HMAt-1です。Slopeが負から正なら上向き転換、正から負なら下向き転換です。しかし差が0.01円でも反転になるため、①2本連続、②SlopeがATRの一定割合以上、③HMAの3本回帰傾き、などを別戦略として検証します。現在足のHMAは価格とともに変わるので、日足戦略なら引け後の確定値だけで判定します。
上向き転換を買い候補にするなら、価格が事前の支持帯上、長めのHMAが上向き、直近高値まで余地がある、売買代金が十分、決算直前でない、などを加えます。横ばい判定にはCHOPの記事、トレンドの強弱にはADXの記事を組み合わせられます。ただし、すべて価格由来の指標なので独立した証拠が増えるわけではありません。
| 判定方法 | 上向き条件例 | 利点 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 1本差分 | Slope前日≤0、当日>0 | 早い | 小さな揺れに反応 |
| 2本確認 | 上向きを2本連続 | ノイズを減らす | 一日遅れる |
| 最小傾き | Slope>0.1×ATR等 | 小反転を除外 | 閾値最適化 |
| 価格構造併用 | 戻り高値を終値超え | 実価格で確認 | 買値が上がる |
| 長期環境併用 | 長期HMA上向き | 逆張りを減らす | 同じ価格情報の重複 |
| 条件 | 買い候補 | 見送り |
|---|---|---|
| HMA | 負→正、確定足 | 未確定・差が極小 |
| 価格 | 支持帯上・高値切上げ | レンジ中央 |
| 環境 | 上位足と同方向 | 上位足が急落 |
| 流動性 | 売買代金基準を満たす | 気配が薄い |
| イベント | 重要発表後に再評価 | 決算直前 |
| 余地 | 次の抵抗まで十分 | 損益比不足 |
期間と時間軸:数字を探す前に役割を決める
期間20が標準、期間16が最適という普遍値はありません。短い期間は短期の折り返しへ反応し、長い期間は大きな流れをならします。候補を5、10、16、20、25、50と大量に試し、最も成績が良いものだけ残すと過剰適合になります。まず「日足の数週間の方向」「5分足の午前中の折り返し」など役割を決め、少数の期間を未見データで比較します。
複数時間軸では、週足HMAが上向きのときだけ日足HMAの上向き転換を使う、という分担ができます。ただし週足が金曜引けで確定するなら、月曜より前には使えません。週の途中の暫定HMAを確定週足として扱わず、日足へ変換するときの祝日や短縮取引も記録します。
| 役割 | 期間例 | 確認する性質 | 固定事項 |
|---|---|---|---|
| 短期転換 | 8〜16本 | 早さと誤反応 | 丸め・確定足 |
| 数週間の流れ | 20〜25本 | 押し戻りへの耐性 | 日足・調整価格 |
| 中期環境 | 50〜75本 | 大きな傾き | 履歴本数 |
| 週足環境 | 13〜26週 | 日足より大きな流れ | 週の確定時刻 |
| 分足 | 20本等 | 場中の反応 | 昼休み・時間外 |
| 短くする効果 | 長くする効果 |
|---|---|
| 方向転換が早い | 転換が遅い |
| レンジの反転回数が増えやすい | 小さな揺れをならしやすい |
| 費用・滑りの影響が増えやすい | 機会数が減りやすい |
| イベント足の影響が大きい | 古い価格の影響が残る |
注文はシグナルの次の取引時に出す
日足HMAの上向き転換を終値で確認するなら、当日の終値は市場が閉じるまで分かりません。バックテストで同じ終値に買ったことにせず、次の始値、上限指値、直近高値の買いストップなど実行可能な注文へ変えます。翌朝にギャップすれば、HMAの形が同じでもリスクと数量は変わります。
Investor.govは、成行注文は執行を優先するが価格を保証せず、指値は指定価格または有利な価格を狙うが約定を保証しないと説明しています。ストップ注文は基準価格到達後に成行となり、急変時にはストップ価格と約定価格が離れる場合があります。出典:Investor.gov「Types of Orders」(2026年9月25日確認)。日本の逆指値、有効期限、執行条件は利用する証券会社の仕様を確認します。
東京証券取引所では基準値段に応じて一日の制限値幅が定められています。ストップがあっても特別気配や値幅制限で希望価格に約定できない場合があります。出典:日本取引所グループ「制限値幅」(2026年9月25日確認)。
| 注文 | 使う時点 | 利点 | 保証されないこと |
|---|---|---|---|
| 翌日成行 | 確定足の次取引時 | 参加を優先 | 価格 |
| 上限指値 | 追いかける最大値を設定 | 買値を制御 | 約定 |
| 買いストップ | 高値超えを条件 | 突破と連動 | ストップ価格 |
| 押し目指値 | HMA近辺へ戻る場合 | リスクを抑えやすい | 反発・約定 |
| 取消 | 期限・HMA再下向き | 古い注文を残さない | 再機会 |
架空例:HMA上向きでも、54株なら0株
口座100万円、1回の許容損失0.8%=8,000円、売買単位100株とします。HMA(16)が下向きから上向きへ転じ、価格が支持帯1,960〜1,980円を維持し、直近高値2,010円を終値で超えたとします。撤退候補は支持帯下限より9円下の1,951円、手数料・滑りの保守的見積りを往復4円/株とします。
次の取引時に2,015円で買えるなら、1株リスク=2,015-1,951+4=68円です。8,000÷68=117株なので、100株へ切り下げ、予定損失は6,800円です。翌朝2,095円へギャップアップした場合、1株リスク=148円、理論数量は54株です。100株単位では損失予算を超えるため0株にします。HMAのシグナルを優先して100株へ切り上げません。
撤退価格はHMAそのものではなく、買いの仮説を否定する支持帯や直近安値から決めます。HMA下向き転換を追加の時間撤退にできますが、急落では線の反転より価格のストップが先に必要です。撤退幅を広げるなら数量を減らします。
| 項目 | 通常 | 上方ギャップ |
|---|---|---|
| 想定買値 | 2,015円 | 2,095円 |
| 撤退候補 | 1,951円 | 1,951円 |
| 費用等 | 4円/株 | 4円/株 |
| 1株リスク | 68円 | 148円 |
| 理論数量 | 117株 | 54株 |
| 採用数量 | 100株 | 0株 |
| 予定損失 | 6,800円 | 0円 |
| 判断 | 条件次第で注文 | 見送り |

初期値と必要本数:表示開始直後を信用しすぎない
WMA(n)には少なくともn本、生のHMAを√n本ならすには追加履歴が必要です。単純な欠損処理なら最初の最終HMAは概ねn+√n-1本目に現れます。n=16なら19本目、n=20で√nを4とすれば23本目です。サービスが途中値を短い窓で代用すれば、より早く線が表示されますが正式な窓と一致しません。
検証開始日ぎりぎりからデータを取得せず、十分なウォームアップ期間を前に付けます。上場直後、長期売買停止、データ欠損ではHMAを欠損とし、前値で埋めるか取引対象外にするかを固定します。異なるデータ取得開始日で同じ期間のHMAが一致することをテストします。
| 期間n | √nの採用 | 最初のHMA目安 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 11 | 3 | 13本目 | 半分期間の丸め差 |
| 16 | 4 | 19本目 | 端数なし |
| 20 | 4 | 23本目 | √20の処理確認 |
| 25 | 5 | 29本目 | n/2の丸め差 |
| 50 | 7 | 56本目 | 十分な前履歴 |
バックテスト:線の色より実装を保存する
検証では、銘柄、足、入力価格、調整方法、n、halfの丸め、rootの丸め、WMAの重み、途中精度、ウォームアップ、確定時刻を保存します。HMAの色が変わったバーを信号日、注文できる次のバーを約定日として分けます。日足終値を見て同じ終値で買う先読みを避けます。
上向き転換だけ、2本確認、支持帯併用、CHOP除外を別戦略として比較します。閾値を後から最も良い値へ調整し続けず、設計期間、検証期間、最後の未見期間を分けます。上場廃止銘柄を含む当時の母集団、分割、配当、売買停止、値幅制限、手数料、スプレッド、滑り、指値未約定を反映します。
評価は勝率だけでなく、期待値、平均利益・平均損失、最大ドローダウン、保有期間、売買回数、回転率、未約定率、ギャップ超過損失を見ます。期間15だけ突出し、14や16で崩れるなら過剰適合を疑います。銘柄群、上昇・下降・横ばい、低・高ボラティリティ別に分け、HMAがどの環境で役に立たないかを確認します。
| 検証項目 | 保存する値 | 防ぐ誤り |
|---|---|---|
| 計算 | n・half・root・入力 | 実装差の混同 |
| 信号 | 確定日時・Slope | 未確定足 |
| 発注 | 次バー注文・上限 | 同終値約定 |
| 費用 | 手数料・滑り | 理想約定 |
| 母集団 | 当時の上場銘柄 | 生存者偏向 |
| イベント | 決算・分割・停止 | 通常相場との混同 |
| 評価 | 期待値・DD・回転 | 勝率偏重 |
| 比較戦略 | 変えるもの | 変えないもの |
|---|---|---|
| A | HMAの1本転換 | 母集団・費用 |
| B | 2本連続確認 | 同上 |
| C | 支持帯を追加 | 同上 |
| D | CHOPで横ばい除外 | 同上 |
| E | SMA転換 | 注文・撤退・数量 |
見送る条件を先に決める
HMAが上向いても、レンジ中央、傾きが最小刻み程度、抵抗帯が近い、売買代金不足、スプレッドが広い、決算直前、上方ギャップで最小単元を持てない場合は見送ります。複数HMAのクロスを後付けして「確認が増えた」と考えず、役割の違う価格構造や流動性を確認します。
線を価格の支持抵抗そのものとみなすのも危険です。多くの市場参加者が同じHMA期間を見ているとは限らず、HMAは価格から導いた結果です。実際に反応した高値・安値、窓、出来高集中帯を別に記録します。HMAを外しても取引理由を説明できないなら、候補を見送る判断があります。
| 見送り条件 | 理由 | 再検討 |
|---|---|---|
| レンジ中央 | 傾き反転が往復しやすい | 支持・抵抗へ接近 |
| Slope極小 | 刻み程度の変化 | 2本確認 |
| 抵抗が近い | 利益余地不足 | 買値が改善 |
| 決算直前 | ギャップ超過 | 発表後 |
| 低流動性 | 表示価格で約定困難 | 売買代金基準 |
| 丸め仕様不明 | 再現できない | 仕様確認 |
| 最小単元超過 | 損失予算違反 | 0株 |
| 未確定足 | 色が変わり得る | 引け後 |
実践チェックリスト
| 時点 | 確認 | 記録 |
|---|---|---|
| 設定時 | n・half・root | 丸め方式 |
| データ | 終値・調整・足 | 提供元と時刻 |
| 計算 | WMA重み・ウォームアップ | 最初の有効日 |
| 候補 | 確定足のSlope | 転換日時 |
| 環境 | 支持抵抗・レンジ | 価格条件 |
| 注文 | 成行・指値・ストップ | 上限と期限 |
| 撤退 | 仮説否定価格 | 1株リスク |
| 数量 | 許容損失÷リスク | 単元切下げ |
| 見送り | イベント・流動性 | 0株理由 |
| 終了後 | 実約定・費用 | ルール逸脱 |
まとめ:速さは、定義と0株ルールがあって初めて使える
HMAは、短期WMAを2倍し、長期WMAを引き、平方根期間のWMAでならす三段階の線です。平均との差を足し戻すため、SMAや単独WMAより転換へ速く反応しやすい一方、価格レンジ外へのオーバーシュートや、レンジでの頻繁な傾き反転が起こり得ます。将来を予測する線ではありません。
期間11のようにn/2や√nが整数にならない場合、丸め方で値が変わります。期間だけでなく、入力価格、調整方法、時間軸、丸め、精度、ウォームアップを保存します。考案者の説明に沿うなら、二本のHMAの交差ではなく方向転換を候補にし、確定足と価格構造で確認します。
発注は信号確定後の次の取引時です。実際の買値と撤退価格から1株リスクを計算し、数量を売買単位へ切り下げます。ギャップで100株を持てないなら0株です。速い線を探すことより、実装を再現し、見送る条件を守り、費用込みの未見データで検証することがHMAを道具に変えます。私には、速い反応が自分の売買をどう変えるかが最後の問いです。機会が早く見えるだけでなく、早すぎる撤退が増えていないかも確かめたいと思います。
資料確認・更新日:2026年9月25日。図表・数値例は当ブログ作成です。
免責事項
本記事は情報提供を目的とし、特定銘柄、売買手法、金融商品を推奨するものではありません。HMA、方向転換、支持抵抗は将来の値動きや利益を保証しません。急変、ギャップ、値幅制限、売買停止、未約定、滑りにより想定以上の損失が生じる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は、本文中に示した日付時点の決算短信・会社のIR資料などの公開情報に基づきます。最新の情報は各社の開示でご確認ください。
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