SMIとは?ストキャスティクスと違う「中央」の見方、±40・クロス・売買設計

SMIの見方と売買設計

指標は改善しているのに、株価はまだ抵抗線を越えていない。そんな場面をどう読めばよいのでしょうか。私は損切りがかなり早く、早すぎて負けることもあります。判断の助けを探して指標を調べていますが、線の動きに合わせて慌てるなら逆効果かもしれません。今回はSMIが何を表し、価格とどう組み合わせて読むのかを確かめます。

ここで扱うのはStochastic Momentum Indexです。同じ略称のSMI Ergodicとは計算対象が違います。まず名前と式を照合し、通常のストキャスティクス、RSI、StochRSIとの違いを整理します。終値が一定期間の高値・安値の中央からどれだけ離れたかを平滑化する道具だと分かったうえで、注文・撤退・株数の計画まで考えていきます。

先に要点を示すと、ゼロは平滑化した相対距離の分子がゼロである状態、プラスは上側への偏り、マイナスは下側への偏りです。±40は監視の目安として使われる水準で、40を超えたら必ず売る、マイナス40を割ったら必ず買うという命令ではありません。以下の売買条件と数値例は当ブログの説明用の仮定です。

目次

SMIは何を測る指標ですか?

通常のストキャスティクスは、期間内の安値から高値までを物差しにして、その中の終値の位置を0〜100へ変換します。SMIは期間内高値と安値の平均を中央として、終値が中央より上か下か、その偏りがどれくらいかを考えます。さらに分子と分母の両方を平滑化するため、一日の価格位置をそのまま表示するわけではありません。

ここでいう中央は、高値と安値を足して2で割ったレンジの中点です。すべての約定価格の中央値でも、出来高加重平均価格でも、期間中の平均終値でもありません。高値1,100円、安値900円なら中央は1,000円です。その期間で最も多く取引された価格が960円だったとしても、計算上の中央は変わりません。

TradingViewの公式仕様は、この中央からの距離とレンジ幅をそれぞれ二重のEMAで平滑化します。EMAは新しい値へ大きな重みを置く移動平均です。分母にも過去の値が残るので、「今日の終値が今日のレンジ中点より上だからSMIも必ずプラス」という読み方はできません。指標の状態は過去を含めて決まります。

役割を言い換えると、SMIは価格の偏りの変化を観察する補助線です。企業の利益成長や割安さは計算に入っていません。また出来高そのものも基本式に含まれません。SMIが上がったことを、機関投資家の買いが増えた証拠や、会社の価値が高まった証拠として扱わないようにします。

計算式を四つの段階に分けます

この記事はTradingViewの公開式を基準にします。期間nの最高値をHH、最安値をLL、最新終値をCとします。最初にR=HH-LLという全レンジ幅を求めます。次にD=C-(HH+LL)÷2という中央からの距離を求めます。このDには符号があり、上側ならプラス、下側ならマイナスです。

第三段階でDとRをそれぞれ同じ期間mのEMAに二回通します。これをE2(D)、E2(R)と表します。第四段階でSMI=200×E2(D)÷E2(R)を計算します。半レンジ幅を分母にして100倍する表し方とも同値です。式の200だけを見て、表示範囲が必ずマイナス200〜200だと考えないでください。

EMAの更新係数はα=2÷(m+1)です。mが3ならαは0.5になります。最初のEMA値へ新しい距離を半分、過去のEMA値を半分という形で反映し、その結果にさらにEMAを適用します。どの足からEMAを初期化するかによって、計算開始付近の値には差が出ます。充分な履歴を読み込んで比較する必要があります。

段階求めるもの意味
1HH-LL観測期間の全レンジ幅
2C-(HH+LL)÷2終値とレンジ中央の符号付き距離
3距離と幅を別々に二重EMA変化を滑らかにする処理
4200×平滑距離÷平滑幅大きさを相対化したSMI

一般に終値が観測期間の高低内にあり、平滑化が同じ正の重みなら、距離の絶対値は半レンジ幅を超えません。そのため値はマイナス100〜100の範囲として解釈できます。ただし異なる計算、データ欠損、独自の補正をした表示では、その前提を確認します。価格レンジがゼロで分母もゼロになった場合の扱いも、ソフトによって欠損・前値保持などの差があります。

平滑化前と後で、同じ数値を見ないようにします

高値1,100円、安値900円、終値1,040円という架空例を考えます。幅は200円、中央は1,000円、距離は40円です。まだ平滑化していない比率は200×40÷200=40です。同じレンジで終値が960円ならマイナス40になります。これは計算の入口を説明する数値で、実際の画面のSMIと一致するとは限りません。

固定レンジの中央から終値までの距離と平滑化前のSMI比率
固定レンジの中央から終値までの距離と平滑化前のSMI比率。本文に条件を示した架空の計算例です。

過去の平滑距離がマイナス側に残っていれば、終値1,040円になってもSMIはまだマイナスということがあります。逆に終値が中央より下へ戻った最初の足でも、以前の上側への偏りが平滑化に残り、SMIがプラスを保つ場合があります。この遅れは不具合ではなく、短い揺れを抑える処理の結果です。

同じ高値1,100円・安値900円の例終値中央からの距離平滑化前の比率
上端1,100円+100円+100
上側1,040円+40円+40
中央1,000円0円0
下側960円▲40円▲40
下端900円▲100円▲100

レンジの高値が古くなって観測期間から外れる場合にも、値は動きます。新たな高値を付けていないのに分母が縮むと、同じ距離でも比率は大きくなります。価格が上がった影響と、物差しが変わった影響を分けることが大切です。SMIだけを見て勢いの原因を確定せず、元の高値・安値も確認します。

設定値は、欄の名前まで確認します

TradingViewの公式説明では、%K Lengthが高値・安値を探す期間で、初期値は10です。%D Lengthは二重EMAの長さで、初期値は3です。さらにSMI自体へEMAをかけた補助線の期間を別に指定します。期間の順番や名称は他のソフトと一致するとは限りません。画面の「10・3・3」だけをコピーして別のソフトへ移すと、違う指標になる場合があります。

観測期間を短くすれば古い高低が早く抜け、物差しが細かく変わりやすくなります。平滑期間を短くすれば新しい偏りに反応しやすい一方、交差も増えやすくなります。長くすれば短い揺れは抑えられますが、価格が先に節目を抜けてから指標が追いつくことがあります。長い設定が安全、短い設定が儲かるという普遍的な関係はありません。

時間軸にも注意します。日足10本と5分足10本は違う価格履歴です。週足のSMIを日足画面へ表示している場合、週の途中の値は金曜の確定値と変わります。上位足の確定を待つ設定があるなら、そのオン・オフまで記録します。週末に確定したシグナルを、週の始めから分かっていたものとして検証してはいけません。

通常ストキャス、StochRSI、SMI Ergodicとの違い

指標入力と考え方混同しやすい点
通常ストキャスティクス高低レンジ内の終値の位置80・20はSMIの±40と同じではない
StochRSIRSI自身の期間内の位置株価レンジの位置ではない
本記事のSMIレンジ中央からの距離を平滑化単日の終値位置ではない
SMI Ergodic価格変化と絶対変化を平滑化中央からの距離とは別の式

通常ストキャスティクスについてはFast・Slow・Fullの違い、RSIの二次加工についてはStochRSIの記事で詳しく説明しています。本記事と合わせて、入力する系列が価格なのかRSIなのかを整理すると、同じような線の上下に違う意味があることが分かります。

SMI Ergodicの公式式は、前の価格との差と、その絶対値を二つの期間で平滑化する構造です。本記事の高値・安値の中央は使いません。検索結果にSMIという文字があるだけで同じ式を貼り付けないようにします。名前、ソフト、数式、倍率の四つを照合すれば、異なるSMIを比べて混乱することを防ぎやすくなります。

±40・ゼロ線・補助線の交差を別々に読みます

プラス40以上は平滑化した距離がレンジに対して上側へ偏っている状態です。強い上昇ではそのまま高い値を続ける可能性があります。マイナス40以下も下側への偏りを示しますが、反発の保証ではありません。数値の大きさを監視条件、実際の注文を価格条件と分ける方が、役割が明確になります。

ゼロ線の上抜けは、平滑化した距離がマイナスからプラスへ変化した状態です。上昇トレンドへの転換を単独で確定しません。高値・安値を切り下げる価格構造が残っていたり、大きな抵抗の直下だったりすれば、指標の変化だけでは買値からの余地を判断できません。価格構造を確認した後の補助情報として使います。

SMIとそのEMAの交差は、SMIの現在値とその平滑線の関係が変わったことを示します。二つの線は同じ元データを加工したもので、独立した二つの証拠ではありません。SMI、RSI、MACDを全部表示しても、入力が価格で重複する部分は大きくなります。価格の節目、取引量、企業イベントなど別の情報を加える目的を考えます。

架空の終値と二重EMAで計算したSMIのずれ
架空の終値と二重EMAで計算したSMIのずれ。本文に条件を示した架空の計算例です。

相場ごとに、監視する理由を変えます

上昇相場でSMIがマイナス側へ下がる場合、押し目を監視する入口にできます。ただし上位足の安値切り上げが残り、価格が既知の支持帯へ近づいていることが前提です。SMIが反転する前に価格が支持帯を大きく割ったなら、当初の押し目仮説を否定します。指標の回復を待てばどんな下落も押し目になるわけではありません。

下降相場のマイナス40以下は、値下がりが続く途中の状態かもしれません。現物中心の個人投資家なら、下落構造が変わるまで新規買いを見送るという使い方ができます。空売りをしない人にも、買わないための分析は必要です。反転を早く当てることより、撤退価格を置ける場所で検討することを優先します。

持ち合いではSMIがゼロや補助線を何度も横切りやすくなります。線が動くと売買の機会が増えたように感じそうですが、交差の多さと利益の機会は同じではありません。レンジ中央で買えば、上端までの余地は短く、下端までの撤退幅は大きくなりがちです。線が動いたことより、どこで買い、どこで考えを変えるのかを先に決めておくことが確認点です。

状態SMIの使い方注文前の確認
上昇の押し目偏りの回復を監視支持帯・押し安値・次の抵抗
下降の戻り上向き変化を反転と決めつけない高値安値の切り下げが終わったか
持ち合い交差の頻発を点検レンジ端と中央を区別
イベント直後指標より窓と流動性を優先通常の撤退幅が実行できるか

買う・撤退する・株数を決める架空例

資金100万円、1回の計画上の損失予算を1万円と仮定します。これは推奨比率ではなく、計算のための設定です。架空銘柄の週足は安値を切り上げ、日足は1,000円付近の支持帯へ戻っています。SMIはマイナス45からマイナス20へ回復しました。この段階では監視候補で、注文はまだ決めません。

次に日足の小さな戻り高値1,030円を終値で回復したら、翌営業日に1,040円以下で買う仮説を考えます。支持帯の否定を980円とし、1株当たり60円の価格差へ、説明用の費用・ずれ余裕10円を加えます。1万円÷70円は約142株です。100株単位なら100株へ切り下げ、購入資金は104,000円、計画上の損失は7,000円です。

買値による1株の見積損失と購入できる株数
買値による1株の見積損失と購入できる株数。本文に条件を示した架空の計算例です。

翌朝1,080円へ窓を開けたら、同じ数量をそのまま発注しません。差額100円に余裕10円を加えた見積損失は1株110円で、100株でも11,000円になります。予算を超えるうえに購入上限も超えるため、この例では見送ります。SMIの形が前日と同じでも、実際の買値が違えば別の取引になるということです。

次の抵抗が1,120円なら、1,040円からの余地は80円です。撤退価格までの差60円と比較し、費用を含めた条件で引き受けるか判断します。抵抗の位置が曖昧なら、利益余地を都合よく広げません。重要なのは指標の信号よりも、買う価格、否定する価格、数量、時間の四つを取引前に書けることです。

逆指値を置いても980円で売れる保証はありません。悪材料で930円から始まれば、実際の損失は計画を超えます。出来高の薄い銘柄や値幅制限では、そもそも売れない場合があります。証券会社の逆指値が発動後に成行となるのか指値となるのかまで確認し、予定損失を最大損失と呼ばないようにします。

売却と時間切れも、指標だけで決めません

買った後にSMIが40を超えたら、最初の監視条件は役割を終えています。利益を伸ばす仮説なら、価格の押し安値を追う方法や、抵抗付近で一部を売る方法を別に検討します。SMIが下がっただけで全部売る方式を選ぶ場合にも、そのルールを先に固定して比較します。保有後に都合のよい出口を選び続けると検証できません。

時間条件も管理できます。例えば5売買日以内に抵抗へ向けて動かなければ再評価する仮定なら、5日後に何を確認するかを書きます。価格が支持帯を維持しているか、SMIの回復が続くか、出来高が枯れすぎていないかを点検します。期限のたびに保有期間だけを伸ばせば、当初の短期取引が根拠のない長期保有へ変わります。

生活に合わない監視頻度にも注意します。日中に取引画面を見られない人が、5分足の反転をリアルタイムに追う方式を選ぶと、検証した条件どおりに執行できません。日足確定後に翌日の上限と数量を計算する方が再現しやすい場合があります。指標が短期的に動くからといって、売買まで短時間にする必要はありません。

ダイバージェンスは、価格転換の代用品ではありません

価格の二つの安値を比較して二番目が低い一方、対応するSMIの谷が高い場合を、強気のダイバージェンスとして観察できます。ただし、どの二点を比較するかは先に決めます。価格の谷と無関係な指標の谷を結んだり、時間軸を途中で変えたりすると、見たい形を作れてしまいます。対応する足と観測期間を記録します。

下落の速度が鈍っても、下落そのものは続くことがあります。SMIの谷が切り上がった後、価格が戻り高値を回復したのか、支持帯を取り戻したのかを別に確認します。価格による確認を待つと初動の一部は取れなくなりますが、それは手順の代償です。先回り方式と確認後方式を、後から混ぜて有利な部分だけ使わないようにします。

強気の形が出ても、直近の決算や資金調達で条件が変わる場合があります。ニュースをSMIから読み取ることはできません。企業イベントの予定、流動性、保有の集中を調べることは指標の欠点を埋める別の作業です。複数の指標が同時に反転したことを理由に、その作業を省かないようにします。

検証では、追加したSMIの価値を測ります

SMIを加えるなら、判断のどこを良くするためなのかを先に決めておきます。価格条件だけの方式と、同じ期間・銘柄にSMIを足した方式を比べます。取引件数、平均損益、最大逆行幅、保有日数、費用後の損益を見ます。勝率だけ良くなっても、機会が極端に減ったり一回の損失が大きくなったりすれば、自分に合う改善とは限りません。

買える価格は、条件が確定した後の価格を使います。日足の終値で条件を判断するなら、その日の安値で都合よく買ったものとしてはいけません。翌日の寄り付き、指値が実際に届いたか、注文上限を超えたかを分けます。未約定や見送りも記録し、取引した成功例だけを残さないようにします。

株式分割や配当調整、上場廃止銘柄、取引停止、初期値、欠損の扱いも揃えます。現在の強い企業だけを選んで過去へさかのぼると、未来に生き残ったという情報が混ざります。多数の設定を試したら、その中から選んだ設定の結果は独立した未使用期間でも確認します。過去の最適な設定が将来も最適とは限りません。

よくある質問と、最初に試す手順

SMIがゼロを上回ったのに株価が下がるのは矛盾でしょうか。矛盾ではありません。過去を含む平滑距離がプラスでも、新しい終値が前日より下がることはあります。SMIは前日比の符号そのものではありません。二重EMAによる履歴と、レンジの中点を合わせて考えます。

SMIとストキャスティクスを両方表示してよいでしょうか。比較学習には使えますが、同じ価格履歴から作る指標のため、二つの独立した投資根拠とは数えません。まずどちらか一つを同じ設定で記録し、役割が重なるなら画面を簡潔にする選択もあります。線の数と判断の質は比例しません。

初心者が最初に行うなら、売買を急がず、既存のテクニカル分析の全体像とポジションサイズの記事を併読し、日足の20場面ほどを同じ手順で記録してください。SMIの水準、価格の節目、確定した時刻、翌日の注文可能価格、撤退幅を並べます。20場面は学習用で、統計的な有効性を証明する標本数ではありません。

中央からの偏りを示す数字と、実際に買う理由は分けて考える必要があります。±40やクロスは、相場に応じて監視する入口です。その後に価格、購入上限、撤退、数量、時間切れを置きます。指標を増やした安心感で終わらせず、私自身の判断を本当に助けるのかを、記録しながら確かめていきます。

参照した公式仕様

資料確認・更新日:2026年10月1日。図表・売買例は当ブログ作成の架空例です。アイキャッチは生成イメージです。

免責事項

本記事は個人投資家向けの一般的な情報提供です。条件・指標・候補は将来の利益や株価上昇を保証しません。特定の売買を勧誘するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は、本文中に示した日付時点の決算短信・会社のIR資料などの公開情報に基づきます。最新の情報は各社の開示でご確認ください。

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