銘柄研究:2025/6/19(木)いま注目のバイオベンチャー「ハートシード(証券コード:219A)に関して

先日の決算では黒字転換を発表し、一気に株価を押し上げつつ、その後わずか3日で約25%の下落をするという、とんでもないボラティリティの株価推移を見せているハートシード社ですが、以前からX界隈ではかなり期待できる本物のバイオベンチャーだと注目を集めています。

実際グローバル企業のノボノルディスク社との契約内容は破格であり、未だかつてこのような提携を成し得た日本発のバイオベンチャーはありません。

伴って、株価も相当な上昇が期待できるハートシード社ですが、詳しい事業内容やポテンシャルはあまり理解が進んでいないように思います。

そこでこの記事ではハートシード社の事業概要や、今後1年以内に達成可能な株価などについてまとめてみました。

目次

1. 開発中の治験パイプライン概要・成功確率・リスク要因

パイプラインと治験フェーズ
ハートシードは現在、重症心不全向けの再生医療製品「HS-001」の開発に注力しています。HS-001は他家iPS細胞由来の心筋細胞を球状クラスター(心筋球、約1,000個の心筋細胞の集合体)として移植する細胞治療です。2021年後半に国内でPhase1/2の治験「LAPiS試験」を開始し、2023年2月に第1例目の移植を実施。LAPiS試験は虚血性心疾患に伴う重症心不全患者10例を対象とした52週間のオープンラベル試験で、低用量群(0.5億個の心筋細胞)5例、高用量群(1.5億個の心筋細胞)5例に分かれ、安全性と予備的有効性を評価しています。2025年2月時点で10例すべての登録が完了し、現在フォローアップ中です。今後は本治験データをもとに条件付き承認申請を行い、早期実用化を目指す計画です。また、次世代パイプラインとしてHS-005(心筋球のカテーテル経皮的投与)を前臨床段階で開発中です。HS-005はカテーテルを用いて低侵襲に心筋球を投与する治療法で、心臓外科手術が困難な患者やより広範な心不全患者にも適用可能な手法として、ノボノルディスクとの提携下で開発が進められています。さらに将来に向けて、非虚血性心筋症(拡張型心筋症など)への適応拡大や、HLA(ヒト白血球抗原)発現をなくした“ユニバーサル”な心筋球(開発コード: HS-030)の基礎研究にも着手しています。

成功確率
再生医療等製品という新規領域でありながら、HS-001の初期臨床では有望な結果が報告されています。2022年末~2023年初頭に実施された初回患者の移植後6か月評価では、重大な副作用や不整脈の発現はなく、移植細胞の腫瘍化も確認されませんでした。心機能指標では左室駆出率(LVEF)が26%→28%、別の患者で17%→38%に改善し、心不全バイオマーカー(NT-proBNP)も大幅低下するなど有効性を示唆するデータが得られています。こうした初期成績から、日本国内での承認取得に向けた成功確率は比較的高いと考えられます。とりわけ、本邦の条件付き承認制度を活用すればPhase3試験を経ず早期実用化が可能であり、2025年前後での製品化が視野に入っています。一方、グローバル開発に目を向けると、米欧当局は原則として大規模Phase3試験による有効性検証を求めるため、海外展開の成功確率はなお不透明です。他社事例では、たとえば米国Cytokinetics社の心不全治療薬(オメカムチブ メカルビル)はPhase3で十分なデータが得られずFDA専門委員会が承認を否推奨する結果となっています。同様に、心不全領域の新治療はエビデンス確立が難しく、グローバル展開には慎重な検証が必要でしょう。

リスク要因
主なリスクとして

(1) 安全性上の懸念
(2) 有効性証明の不確実性
(3) 製造・規模拡大上の課題

が挙げられます。安全性面では、心筋細胞移植に伴う重篤な不整脈や腫瘍形成のリスクが懸念されます。しかしハートシードは独自の高純度精製技術で未分化細胞や非心筋細胞を除去し、腫瘍化リスクや不整脈リスクを最小限に抑制しています。実際、LAPiS試験の低用量群では前述の通り重篤な不整脈発生は報告されていません。とはいえ高用量群で予期せぬ安全性課題が顕在化する可能性はゼロではなく、全例での安全性確認が完了する2025年前半までは注意が必要です。

また、移植に際しては免疫拒絶のリスクもあります。他家iPS細胞由来のため本来はHLA型不適合となりますが、心筋細胞自体のHLA発現が極めて低いこと、術後一定期間のみ免疫抑制剤併用するプロトコルで対処しており、大きな拒絶反応は今のところ報告されていません。(LAPiS試験では免疫抑制剤3剤から開始し徐々に減らし、6か月以降は1剤のみ低用量とする方針。)有効性面では、少数例での改善が確認されたとはいえ、プラセボ対照下で有意な臨床アウトカム改善を示せるかは今後の大規模試験次第です。条件付き承認取得後には60例以上の患者データ収集が課される見込みで、そこで有意なエンドポイント達成ができなければ最終的承認に至らないリスクがあります。製造・スケール面では、iPS細胞から安定して高品質な心筋球を大量生産する技術やコスト面の課題があります。他の再生医療品でも生産コスト高騰が収益圧迫要因となりがちであり、ハートシードも製造プロセスの最適化が事業成功の鍵となるでしょう。このように、現時点でHS-001は画期的治療となる可能性を持つ一方、臨床開発の行方や市場浸透には一定の不確実性が残っています。

《治験パイプライン&スケジュール表》(今後1年程度の主要マイルストン)

製品 (適応)治験フェーズ今後の予定成功確率/リスク
HS-001 (虚血性心疾患に伴う重症心不全)国内Phase1/2 (LAPiS試験・10例)
(2021H2開始~2025完了)
2025年 mid – 主要評価項目(26週安全性)評価完了。
2025年 late – 条件付承認申請(予定)。
2026年 – 国内で条件付早期承認・販売開始を目指す(予定)。
高め(初期データ良好、安全性概ね担保)
*リスク:高用量での不測の安全性問題、有効性エビデンス不十分の可能性。
HS-005 (重症心不全、経カテーテル投与版)前臨床開発中
(カテーテル投与デバイス開発段階)
~2025年 – 前臨床試験(大型動物モデル等)で安全性・送達効率検証。
2026年以降 – Phase1開始準備(治験計画策定、当局協議)※ノボ社と共同開発。
未知数(HS-001成功が前提)
*リスク:カテーテル投与による細胞生着率低下や手技上の課題、デバイス開発遅延。
承認後確認試験 (条件付承認後)N/A (市販後臨床試験)承認取得後5年以内に60例超の患者+120例対照のデータ収集・解析。
有効性を従来のPhase3相当の厳密さで検証し、本承認可否判断。
不確実
*リスク:必要症例集積の遅延、市販後に期待ほどの臨床効果が得られない場合、承認取消しリスク。

2. 治験完了から製品化・承認までのプロセスと規制対応

国内(日本)における承認プロセス
ハートシードはHS-001について、日本で制定された再生医療等製品の条件及び期限付き承認制度の適用を念頭に開発を進めています。この制度は、再生医療の実用化を促進するため2014年薬機法改正で導入されたもので、有効性が完全には確立されていなくても、一定の安全性と有望な効果が示された段階(概ねPhase2相終了時)で条件付き承認を許可し、早期に患者へ提供することを可能にします。承認後は企業に対し一定期限内(通常5~7年)に追加の有効性検証データを収集する条件が課され、最終的に有効性が確認できなければ承認取消しとなる仕組みです。テルモ社のハートシート(自家筋芽細胞シート)は2015年にこの制度下で世界初の承認例となり、7例のPhase2データで条件付き承認を取得しました。ハートシードはこの先例にならい、現在実施中のLAPiS試験(Phase1/2)を「承認申請に直結する最終段階の治験(主たる治験)」と位置付けてPMDAに届け出ており、治験終了後ただちに承認申請する方針です。具体的には2025年後半にもPMDAへの条件付き承認申請を目指し、2026年前後の承認取得・製品上市をターゲットにしています(治験状況や当局審査期間により前後の可能性あり)。PMDAとも初期から適宜対話を重ねており、LAPiS試験計画は既に承認済み(2021年3月治験計画届受理)です。当局からは本治験完遂後の申請が見込まれる「重点審査対象」の一つとして認識されており、審査迅速化のための優先的取扱い(審査期間の短縮等)がなされる可能性があります。なお、条件付き承認後は5年以内に少なくとも60例以上の患者と120例の対照データを収集し有効性を実証することが求められます。この条件付き承認下の市販後試験は、従来のPhase3治験と同等の厳格さで評価される予定で、ハートシードも大学病院等と連携して早期に必要症例を登録できる体制を整える必要があります。

承認取得までの目標時期
上記プロセスが順調に進んだ場合、2026年頃にはHS-001が日本で条件付き販売承認を取得し、実診療で提供開始される見通しです(ハートシード福田CEOは「2025年頃の実用化」を目標に掲げています)。その後、市販後試験データ提出・審査を経て正式承認(条件解除)が得られるのは早くとも2030年前後になると推測されます。もっとも、これはあくまで理想的なシナリオであり、実際には追加試験の症例集積状況や得られるエビデンス次第で時期は前後し得ます。仮に有効性データが不十分な場合、PMDAが更なる延長試験や追加治験を指示し、フル承認が遅延するリスクもあります。極端な場合、テルモのハートシートのように期限内に有効性証明が困難で製造販売承認申請を取り下げざるを得なくなるケースも想定されます。実際、ハートシートは条件付き承認取得後も普及が進まず予定症例を集めきれなかったため、2022年に承認を更新できず保険償還から削除され、市場撤退となりました。ハートシードはこの反省を踏まえ、早期から症例確保の計画や実効性あるエンドポイント設定に注力するとみられます。

海外当局との関係・規制対応
ハートシードは2021年にノボノルディスクと提携して以降、グローバル開発はノボ社が主導する体制です。日本以外の全世界におけるHS-001/HS-005の開発・製造・販売権はノボ社が持つため、今後FDA(米国食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)との折衝は主にノボ社が担います。米国ではIND(治験申請)の提出・Phase1開始が次のステップとなりますが、現時点でハートシード/ノボが米国IND取得したとの公表はありません。一方、中国のHelp Therapeutics社が類似のiPS心筋細胞製剤(HiCM-188)について2024年10月にFDAからIND承認を取得し、米国で世界初のiPSC心筋細胞の臨床試験開始を発表しており、ノボ社としても追随して早期に米国治験開始を目指す可能性があります。グローバル試験では日本のLAPiS試験のデータが初期安全性情報として参照される見込みですが、米欧当局はエンドポイント明確なプラセボ対照試験を要求するため、2025~2026年頃にノボ主導で国際Phase2b/3試験を開始し数年かけて有効性を検証すると予想されます。心不全領域ではFDAのRMAT指定(再生医療先端治療品の優先審査制度)やEMAのPRIME指定など、画期的新療法に対する支援制度も存在します。HS-001がPhase1/2で顕著な臨床ベネフィット(例えば入院率や死亡率の改善傾向)を示す場合、ノボ社はRMAT申請等を検討する可能性があります。もっとも、現段階では有効性データは限られるため、まずは早期に海外規制当局と対話(科学的助言)を行い、必要試験規模やエンドポイントの合意形成を図っていく段階です。欧州でも同様に、ノボ社が中心となってEMAと開発計画を協議するでしょう。

規制当局との関係
日本においてハートシードは慶應大学発ベンチャーとして厚労省・PMDAとも比較的良好な関係にあり、国主導のAMEDプロジェクトにも採択されています(2023年、慶應大と共同で「自家iPS心筋球移植療法」がAMED再生医療プロジェクトに選定)。政府の再生医療推進戦略にも合致する最先端事例として注目されており、承認審査や保険適用においても前例(ハートシート等)を踏まえた柔軟な対応が期待されます。一方、海外当局とはまだ関係構築の途上ですが、提携相手のノボノルディスクは世界的製薬企業であり、ノボ社の既存ネットワークと信頼関係が開発推進の追い風となるでしょう。例えばノボ社は糖尿病・肥満領域でFDA・EMAとの豊富な折衝経験があり、近年は心血管領域にも注力しています。細胞治療の分野でもノボは独自の幹細胞R&D部門を有しており、規制当局との技術的議論をリードできる体制です。ハートシード単独では難しかったグローバル治験の設計・当局交渉も、ノボ社のリソースを背景に進められる点は大きな強みです。総じて、国内では制度を最大限活用して早期承認を目指し、海外では大手パートナーと協働して段階的に規制ハードルをクリアしていく戦略が取られています。

3. ノボノルディスク社との提携内容・契約条件

提携の概要
ハートシードは2021年6月1日、デンマークの大手製薬ノボノルディスク社とHS-001に関する世界独占的な開発・販売提携契約を締結しました。本契約により、ノボノルディスク社は日本国外におけるHS-001および関連技術の開発・製造・販売の独占権を取得し、ハートシードは日本国内における開発権と製造販売権を維持する形となっています。日本市場についてはノボ社も参画し、国内商業化は両社の50:50利益・費用折半で共同販売(co-commercialization)を行うスキームです。対象となる技術には、現行のHS-001に加え将来開発予定のHS-005(投与方法や適応症を問わない他家iPS由来心筋球技術全般)が含まれており、ハートシードの心筋再生技術プラットフォーム全体をグローバル展開する包括的なライセンス契約と言えます。

契約金・マイルストン
本契約の財務条件として、総額最大5億9800万ドル(約660億円)の契約金がハートシードにもたらされる可能性があります。内訳は、契約締結時の一時金5,500万ドル(約60億円)および短期マイルストンから成り、2021年時点で一時金等の受領によりハートシードは営業収益を計上しました(実際2024年10月期上期に約19億円の売上を認識、黒字化達成)。残りのマイルストンは開発段階の進捗に応じて支払われる契約で、具体的な条件は非開示ながら、臨床試験の達成(例:Phase1/2完了、Phase3開始)や承認取得などに連動すると推定されます。最大総額から逆算すると、約5億4,500万ドルが今後のマイルストン(金額ベースでは一時金の約10倍)が残っており、これは近期の開発成功に大きな価値があることを示唆します。さらにロイヤルティ条項も設定されており、ハートシードは日本国外売上に対する段階的ロイヤルティ(High single-digit~Low double-digit%)を受領する権利を有します。具体的には売上高に応じて1桁後半~10%台前半の料率とみられ、もしHS-001がグローバルでブロックバスター製品となれば、ハートシードにとっても継続的な収益源となります。一方、日本国内事業は50%プロフィットシェアですので、営業利益ベースで折半ですが売上自体はハートシードとノボ社双方が計上する形になる可能性があります。製造は基本ノボ社がグローバルで担いますが、日本向けについてはハートシードが製造販売承認を保持するため国内生産体制(あるいは委託生産)にも関与していくと見られます。

提携範囲と役割分担
ノボノルディスク社は開発・商業化資金やグローバル臨床開発のノウハウを提供し、ハートシードの技術・知見と組み合わせる形です。ノボ社は本提携により「心不全領域の画期的細胞治療を獲得した」と位置付けており、自社の幹細胞研究開発力および製造技術と組み合わせて開発を加速させる意向を示しています。共同記者発表ではノボ社R&D責任者が「本提携でイノベーティブな資産とiPS細胞・心筋移植の深い専門知識にアクセスできた」と述べ、ノボの幹細胞プラットフォームと統合することで開発・製造を推進する考えを表明しています。実際、日本国内の臨床開発は引き続きハートシード主導で進めつつ、海外展開や次世代手法(カテーテル投与HS-005等)の開発はノボ社と協働しています。例えば免疫抑制剤使用のノウハウなど、ハートシードがLAPiS試験で蓄積した知見は順次ノボ社と共有され、グローバル治験の安全性管理に生かされています。ノボ社側も既に自社内に心筋再生医療の専任チームを設置し、Heartseed社と日常的に連携している模様です。製品上市後の日本市場販売については、ノボ社は循環器領域で自前の営業基盤が薄いため、ハートシード主導で販売しノボがサポートする形も考えられます(詳細未定)。契約上は共同販売ですが、実務上はハートシードが日本の医療機関とのリレーション構築、ノボ社が資金・物流面を補完する役割分担になる可能性があります。グローバル市場ではノボ社が豊富なマーケティング力を発揮できるため、HS-001/005の世界普及に向け強力な推進役となるでしょう。

この提携は国内バイオベンチャー史上最高額(総額660億円規模)のライセンス契約と言われ、ハートシードにとって大きな資金的裏付けと開発加速の機会をもたらしました。契約時に4億円規模のシリーズC資金調達も実施しており、ノボ社との協業で資金・人材両面の補強が図られています。

ノボ社は近年、糖尿病・肥満以外に心血管・幹細胞治療への事業多角化を進めており、本提携はその戦略の一環です。ハートシードとしてもグローバル展開には大手の力が不可欠であり、「世界トップ製薬企業との提携により成功確率が格段に上がった」とCOOはコメントしています。

今後、開発進捗に応じてマイルストン収入が入り、また最終製品売上からロイヤルティ収入が発生する流れとなるため、ハートシードの収益構造はノボ社との提携収入が柱となる見込みです。実際、2024年11月~2025年4月期決算でハートシードは約19億円の売上高・約9億円の営業利益を計上し黒字化しましたが、これはノボ社からの契約一時金・マイルストン収入によるものです。したがって同社業績や株価もノボ社との連携状況、開発マイルストン達成状況に大きく左右されるといえます。

これらのことから、ノボノルディスクとの提携は契約金・開発支援・将来収益分配の点でハートシードに極めて有利な内容であり、パイプライン価値の外部検証(バリデーション)にもなっています。今後の重要マイルストン(治験成功・承認取得など)達成時には多額の報酬が見込まれるため、その実現が株価評価の鍵となるでしょう。

4. 製品化時のビジネス規模(市場規模・価格戦略・保険償還)、競合比較、収益ポテンシャル

対象患者数と市場規模
心不全は国内外で患者数が年々増加している重大な疾患です。全世界で約6,500万人の患者がいると推定され、日本国内でも約120万人の心不全患者がいると報告されています。ハートシードの心筋再生治療(HS-001/HS-005)が標的とするのは特に重症の心不全(従来治療では改善困難なステージD相当)の患者層です。こうした末期心不全患者は本来心臓移植や補助人工心臓(左室補助人工心臓・LVAD)などが適応となりますが、ドナー不足や手術負担の問題でごく一部しか救えない現状があります。日本では年間心臓移植件数は数十例程度に留まり、大多数の重症患者は内科的治療で対症療法を行うしかありません。HS-001が実用化されれば、移植待機リストに載るような進行心不全患者に対し新たな治療オプションを提供できると期待されています。具体的な適応患者数は、まずは虚血性心筋症由来の重症心不全に限定されます。推定では、日本における同領域の重症患者は数千~1万人規模、米国では数万人規模に上る可能性があります。またHS-005(カテーテル版)が開発されれば、心臓手術適応のない重症患者や、中等度の心不全患者にも対象が広がり、市場規模はさらに拡大します。仮にカテーテル治療が確立すれば、循環器内科医が施術可能となり心臓外科医のいない施設でも提供可能になるため、潜在患者は飛躍的に増えるでしょう。一例として、米国では心不全患者約700万人のうち少なくとも10万~20万人が高度心不全に分類され移植適応を検討される層と推定されます。この一部でも本治療の対象となれば、米国市場だけでも数万人規模/年の潜在需要があると考えられます。世界全体で見れば、重症心不全患者は数十万人規模に達するため、HS-001/005が標準治療化すれば年間数万件以上の施術が行われる可能性もあり、極めて大きな医療需要に応えるポテンシャルがあります。

価格戦略と保険償還
再生医療等製品は高度先進的な治療であるため、治療費は高額になる傾向があります。比較例として、テルモ社の「ハートシート」は治療1回あたり約1,500万円(細胞採取・培養キットとシート5枚分の合計)という価格が設定されました。厚生労働省は2015年にハートシート治療を公的医療保険の適用対象とし、患者負担は一部(1~3割)に抑えられましたが、それでも患者自己負担が150万~450万円発生する水準でした。ハートシードのHS-001も、おそらく同程度もしくはそれ以上の価格帯が想定されます。iPS細胞を用いた心筋球製剤の製造コストや手術コストを考慮すれば、1治療あたり数百万円~1000万円超は避けられないでしょう。ただし、HS-001は他家iPS細胞の汎用ストックを用いることで自家細胞採取培養の手間を省いており、規模の経済が働けばコスト逓減も期待できます。大量生産により1例あたりの細胞製造費用が低減すれば、最終的な薬価も抑制される可能性があります。また、医療経済評価の観点では、本治療が心不全による入院や死亡を減少させQOLを向上するなら、高額でも費用対効果に優れると評価される余地があります。事実、心不全は入退院を繰り返す慢性疾患であり、一人当たり医療費が高騰する疾患です。例えば重症心不全患者がLVAD装着や入院治療を受ける費用と比較すれば、1,500万円の細胞治療は「必ずしも高すぎない」との指摘もあります。こうした点を踏まえ、ハートシードも承認取得時には中央社会保険医療協議会(中医協)に対し本治療の保険収載を申請し、公的保険下で患者負担を軽減させる戦略を取るでしょう。ハートシート同様、条件付き承認段階から保険適用となる可能性が高く(すでにハートシートで前例あり)、そうなれば患者負担は原則3割(高額療養費制度適用でさらに圧縮)となります。

価格設定においては類似技術との比較が参考にされますが、現時点でハートシード製品と直接比較可能な承認済み製品は存在しません。したがって中医協ではハートシートの価格実績や、治療効果(入院削減効果など)を評価して薬価算定するものと思われます。仮にハートシートと同水準の1,500万円と設定された場合、普及促進の観点から条件付き承認期間中は一部公定価格での償還など工夫がなされる可能性もあります(患者負担軽減策や医療機関への包括払制度等)。一方、米国では民間保険主体となるため、製品価格はより市場バリューに基づき高額になる可能性もあります。CAR-T細胞療法など他の細胞治療では米国で数千万円(数十万ドル)単価が容認された例もあり、HS-001が心不全死亡率を下げるなど明確なベネフィットを示せれば、1回治療あたり20万~30万ドル(数千万円)の価格設定も現実的かもしれません。ただし、広範な中等度患者へ使うにはコストがネックとなるため、大量適用時には価格引下げ交渉も予想されます。ノボノルディスクの戦略としては、まずは高価格でも重症患者向けに上市し、将来的にコストダウンと適応拡大で市場ボリュームを拡げる二段階戦略を取ると考えられます。

保険収載の見通し
前述のように、日本では再生医療製品でも保険収載が認められており(ハートシート、ジャパンティッシュエンジニアリングの再生皮膚など実績あり)、HS-001も承認取得時には薬価収載され保険適用となる公算が大です。厚労省も高額な再生医療を公的保険で支える姿勢を示しており、患者が治療費を理由に断念しないよう制度面の後押しが期待できます。ただ注意点として、条件付き承認品は有効性未確立であるため、一定期間後に承認取消となった場合は保険償還からも外れるリスクがあります(実際、2024年にハートシートは条件付き期間満了に伴い薬価リストから削除されました)。HS-001が条件付き承認を得た際には、国も継続的に有効性データをモニターし、適宜保険での扱いを見直す可能性があります。なお保険適用範囲(適応症など)も承認適応に準じますが、臨床研究段階で保険外併用療養として提供することは制度上困難なため、承認取得までは自由診療での提供も基本できません。したがって市場拡大は承認取得以降となり、それまでは収益はマイルストン収入等に頼る形になります。

競合製品・技術との比較
ハートシードの心筋球治療は世界的に見ても先駆的ですが、関連する競合技術がいくつか存在します。代表的な競合としてテルモ社の「ハートシート」が挙げられます。ハートシートは自家骨格筋由来筋芽細胞をシート状に培養し、開胸手術で心臓表面に貼付する治療法で、2015年に条件付き承認、2016年市販開始された世界初の心不全再生医療でした。効果機序としては貼付細胞からのサイトカイン分泌により血管新生を促し心機能悪化を抑制する「機能的再生」を目指すものでした。一方ハートシードHS-001は心筋内に細胞を直接移植し、移植細胞が生着・成長して実際に拍動に寄与する心筋組織を再構築する「組織的再生」を目指す点で一歩進んだアプローチです。実際、ハートシートでは移植細胞シートが約3か月で体内で分解吸収されてしまうため効果は一時的とされましたが、HS-001では移植心筋球が6か月後も約30倍に増殖・心組織と一体化し、移植部位の収縮力向上をもたらしたことが確認されています。このように持続的な心筋組織再生が可能な点がHS-001の大きな強みです。反面、ハートシートは患者自身の細胞を使うため拒絶反応リスクがなく倫理的ハードルも低いという利点がありました(ただし手技の複雑さや効果不確実性が課題となり普及しませんでした)。価格面ではハートシートが約1476万円であったのに対し、HS-001も同程度以上と予想されます。製品ライフサイクルを見ると、ハートシートは条件付き承認後、要求された追加試験を完遂できず2022年に承認を取り下げています。この背景には、7例のPhase2では有効性「示唆」止まりで統計的有意性を示せなかったこと、また販売症例も年間数例ペースと伸び悩んだことがありました。HS-001もこの轍を踏まないよう、Phase1/2段階からしっかりと有効性指標(LVEF改善やBNP低下など)を捉えられるかが重要です。

他の再生医療競合
大阪大学・澤教授らのチームもiPS細胞由来心筋シートを用いた心不全治療の臨床研究を2020年に世界初めて実施しています。こちらはiPS由来心筋細胞をフィブリンシート上に培養し、心臓表面に貼付する方法で、ハートシートの他家iPS版とも言えるものです。大阪大の報告では、貼付心筋シートが血管新生を促し心機能悪化を抑制する効果が示唆されましたが、やはり移植シートは数ヶ月で体内から消失する性質があり、根治的な筋再生には至りませんでした。この点、ハートシードの心筋球移植はより積極的に生きた筋肉を補う手法として期待されています。またメソブラス社(豪)など海外の再生医療企業も心不全向け細胞療法を開発してきました。メソブラス社の同種間葉系前駆細胞を用いた治療(Revascor)はPhase3試験まで進み、一部サブグループで心筋梗塞や不整脈減少効果を示したものの主要評価項目を満たせず、いまだFDA承認に至っていません。サンバイオ社(日米)は間葉系幹細胞で脳梗塞後の麻痺改善を狙う製品(SB623)を条件付き承認取得しましたが、確認試験で効果不十分となり計画変更に追い込まれています。このように、幹細胞治療の有効性実証は困難が伴っており、HS-001も世界で初めて「心筋再生」による明確な臨床ベネフィットを示せるかが勝負どころです。

新薬・デバイスとの関係
心不全治療分野ではここ数年、薬物療法の進歩(SGLT2阻害薬やARNIなどの登場)や機器療法の改善(植込み型補助人工心臓の改良)も進んでいます。しかし、薬物療法は病態進行を遅らせるに留まり根治できないのが現状であり、また機器療法は根本治療ではなく患者負担も大きいです。ハートシードの心筋再生治療はこれら従来療法を補完し、失われた心筋そのものを再生する唯一のアプローチとして位置付けられます。例えば、現行の新薬(エンパグリフロジンやダパグリフロジンなどSGLT2阻害薬)は心不全死亡リスクを一部低減するものの、重症例では効果が限定的です。また、Cytokinetics社の心筋収縮増強薬omecamtiv mecarbilは期待されましたがFDA承認を得られず頓挫しました。したがって今なお末期心不全に有効な新規治療は空白と言え、HS-001がそのニーズを埋めるポテンシャルは大きいです。他方、競合領域として遺伝子治療による心不全治療も研究されています。例えば遺伝子治療で心筋細胞内カルシウムハンドリングを改善する試み(SERCA2a遺伝子導入など)は過去に試験されましたが、効果が十分でなく停滞しました。こうした経緯から、細胞そのものを補充するアプローチが改めて注目されている状況です。

収益ポテンシャル
HS-001/005が商業化に成功した場合、ハートシード(およびノボノルディスク)にもたらす収益インパクトは極めて高いと予想されます。以下、いくつかのシナリオで潜在市場規模と収益を試算します。

  • 日本市場シナリオ
    条件付き承認取得後、年間200症例に本治療が実施されると仮定します。薬価1,500万円で患者1人当たり売上1,500万円、年間総売上300億円となります。このうちハートシードは50%の利益シェアを受け取る契約のため、売上ベースでは150億円相当が取り分(収益形態によりますが、実質的に営業利益に近い性質)となります。150億円の利益は現在のハートシードの時価総額(約750億円)の20%相当の年間キャッシュフローに匹敵し、理論上は株価に織り込まれる余地があります。日本国内だけでも適応が拡大し症例数が増えれば、例えば1,000症例/年で売上1,500億円(ハートシード取り分750億円)となり、日本市場だけでユニコーン級の価値創出が可能です。
  • グローバル市場シナリオ
    米欧中など世界で年間1万症例が実施されるとします。米欧では価格を日本の1.5倍(約2,250万円≒15万ドル強)と仮定すると、全世界売上は1兆5,000億円(約110億ドル)規模になります。ハートシードは日本分を除く海外分に対し高シングル~低ダブル桁%のロイヤルティ収入を得る契約です。仮にロイヤルティ率10%とすれば、海外売上1兆2,000億円(日本分差引後)に対し1,200億円/年のライセンス収入が発生します。これに日本事業分の利益シェアを合わせると、ハートシードの年間取り分は1,500億円超にも達し得ます。もちろん、この規模は心不全治療のパラダイムシフトが起き、HS-001/005が世界標準治療として定着することを前提とした楽観シナリオです。ただし可能性は否定できず、実現すればハートシード社の企業価値は数千億~1兆円規模へ飛躍するでしょう
  • ベースラインシナリオ
    保守的に見て、日本で条件付き承認取得→限定的患者に提供、海外は開発継続中という段階(2026~2028年頃)では、年間数十~100症例程度の売上に留まる可能性があります。例えば年間50症例(売上75億円)では、ハートシード取り分は利益シェア約37億円+マイルストン少々となります。研究開発費を差し引くとトントンか赤字継続の水準です。この段階では株価上限も現時点の時価総額に近い水準となるかもしれません。しかし、その後のPhase3結果や本承認取得が見えてくると株価は先取りして動くでしょう。国内外のアナリストはDCF(割引キャッシュフロー)法で潜在売上を評価するはずで、その際は上記ブルシナリオの一部確率を織り込むと思われます。例えば10年後に500億円のフリーキャッシュフローが得られる可能性50%と見るなら、その期待値現在価値は数百億円規模となり、現在の時価総額を上回る評価につながります。

類似企業との比較:
類似領域の上場企業としては、サンバイオ<4592>(脳梗塞向け細胞薬)やヘリオス<4593>(iPS網膜・急性期脳卒中など)が挙げられます。サンバイオは2019年に条件付き承認期待で時価総額数千億円に達しましたが、その後試験不調で急落しました。一方、製薬大手に買収されたケースでは、米ブルーロック社(Bayer傘下、Parkinson病向けiPS細胞療法開発)は最大10億ドル超で評価されています。ハートシードもノボ社との契約総額(5.98億ドル=約660億円)が一つの価値目安であり、これはあくまで開発段階の価値です。製品化に至れば契約総額を遥かに上回る収益が見込まれるため、その時点での企業価値は数倍規模に膨らむ潜在力があります。市場では既に契約一時金の計上を好感し株価が上昇する局面もありましたが、今後は臨床試験の成功・失敗に応じたボラティリティが高まるでしょう。特に2025年~2026年にかけて、国内承認の成否やPhase2相当の有効性データ開示が予定されるため、これがターゲットプライスを大きく左右します。

株価の上限見通し
総合的に、ハートシード社の株価ターゲットプライスを今後1年以内で考えると、ベースケースでは現状からやや上昇した水準、楽観ケースでは大幅上昇の余地があると推定されます。ベースケース(Phase1/2無難に終了、承認申請準備中)では時価総額1,000億円前後(株価4,500~5,000円程度)を目安に、楽観ケース(初期有効性データが極めて良好で承認に弾み)では時価総額2,000億円超(株価1万円超)も射程に入る可能性があります。

逆に万一治験で問題が発生した場合や承認申請が遅れる場合、時価総額は契約一時金部分を下回る500億円以下まで低下するリスクもあります。DCF評価やNPV計算では前述のように大きな幅がありますが、ノボ社契約総額660億円+将来ロイヤルティ期待を下支えと考えると、大きくそれを割り込む場面では割安感が意識されるでしょう。従って、ネガティブシナリオでも現株価(約3,500円)の半分程度が一つの下値メド、ポジティブシナリオでは数倍以上というハイリスク・ハイリターンな状況といえます。投資判断としては、短期的にはマイルストン収入や国内承認審査のニュースフロー、長期的にはグローバル開発の帰趨を注視する必要があります。目先1年のターゲットプライスとしては、5,000~6,000円程度を基本シナリオに、承認見通しが立てば1万円超もあり得る、という考えはあまり無理はないのではないかと考えます。

最終的には「心不全の切り札」としてどこまで医療現場に浸透するか次第で企業価値の上限も変わりますが、現時点での潜在価値は極めて大きいと言えるでしょう。

5. 海外メディア・アナリストからの評価・見通し

ハートシードは国内のみならず海外でも再生医療の有望企業として注目を集めています。特にノボノルディスクとの提携発表(2021年)以降、英語圏の製薬メディアや専門誌が本件を報じました。

FierceBiotechは「日本のHeartseed社が最大5.98億ドル規模の心不全幹細胞治療契約をノボ社と締結した」と取り上げ、「心不全領域で画期的なiPS細胞治療を開発中」と評価しました。記事ではハートシードの治療法について「他の幹細胞療法とは一線を画す球状の心筋細胞クラスター移植という独自手法で、従来の心表面へ貼付するシート療法より優れる可能性がある」と言及されています。またPharmaphorum(英国の医薬専門メディア)は、2023年2月に「Heartseedとノボノルディスク、HS-001の臨床試験で初回投与成功」と報じ、CEO福田氏のコメント「長年構想してきた心臓再生医療の最初の一歩」やノボ社側の「この革新的アプローチが試験開始でき喜ばしい」とのコメントを掲載しました。

記事はHS-001について詳細に紹介し、iPS由来心筋球の移植メカニズム(心筋への電気的カップリングと血管新生効果)を解説するとともに、治験デザインや心不全のアンメットニーズ(5年生存率50%以下の深刻な疾患)に触れています。細胞・遺伝子治療専門誌(CGT Live)も同様に本試験開始を取り上げ、「これは米国に先駆け日本で始まった画期的試験である」と論評しました。

アナリストの見方
グローバル製薬アナリストの中には、ノボノルディスクが心血管領域に乗り出した文脈でハートシードとの協業を評価する声があります。例えばEvaluatePharmaのレポートでは「ノボ社はGLP-1糖尿病薬の成功で得た資金を革新的治療(心不全の細胞療法)に投入しており、Heartseedとの提携は同社の戦略転換を象徴する」と分析されています。

またMorgan Stanleyなど投資銀行系では、心不全領域の市場規模が巨大であることから「HS-001がもし成功すれば、ノボ社にとっても次の基幹事業になり得る」とのコメントが伝えられています。こうした分析はハートシード個社よりもノボ社側からの視点ですが、裏返せばハートシード社の価値がいかに大きく評価されているかを示しています。契約当時のコンコルドや大和など日系証券アナリストも、ライセンス契約金額の大きさに注目し「グローバルでの商業成功を織り込んだ金額だ」と述べています(社名仮称)。株式市場でも上場後、海外投資家からの買いも入っており、2024年7月の東証グロース市場上場時には外国人投資家比率が高かった模様です。

アジア圏での注目
アジアでは中国がiPS心筋治療の台頭に強い関心を示しています。上述のHelp Therapeutics社(中国・南京)はハートシードに類似のアプローチで米国IND取得に至り、同社CEOは「iPSC心筋細胞移植が心臓移植から筋組織修復へのパラダイム転換となる」とコメントしています。中国メディアでも「これは中国発のiPS細胞心臓治療が米国で認められた歴史的快挙」と報じており、Heartseed/Novoの動向と合わせてトピックになっています。日本発のHeartseedに対しても、中国の科学界からは「日本はiPS心筋再生で世界をリードしている」という評価があり、アジアの再生医療カンファレンス等で福田CEOが講演招請を受けるなど注目度は高いようです。

海外評価のポイント
総じて海外メディア・専門家は、ハートシードの技術の革新性臨床ポテンシャルを高く評価しています。特に以下の点が強調されています:

  • 世界初の事例: iPS細胞由来の心筋細胞移植で臨床試験が進んでいる数少ない企業であり、「日本がこの分野で世界をリードしている」という文脈で語られる。海外専門家からも「心筋細胞によるリモデリングが心不全治療の新章を開く」と期待する声が聞かれる。
  • ノボ社との協業信用: 一流製薬企業との提携により信頼度が増した点。Novo社のCell Therapy部門トップは「Heartseedの先駆的研究に我々の知見を組み合わせ、世界中の心不全患者に変革をもたらしたい」と述べており、大手企業のお墨付きが評価されています。
  • 臨床ニーズの大きさ: 心不全は世界的に治療満足度が低い疾患であり、新機序治療への期待感が強い。**「心不全は高齢化で増大する一方でドナー不足など課題山積だが、iPS細胞療法はそれを解決する可能性がある」**との専門家コメントも紹介されています。
  • 科学的裏付け: 前臨床研究での有効性データも海外誌に取り上げられています。例えばBioWorldは「ヒトiPS心筋細胞で猿の心不全モデルの筋組織と機能が回復」とする慶應大などの研究成果を報じ、Heartseed開発への期待を示しました。

一方で、海外アナリストからはリスク面への言及もあります。米系投資サイトのSimplyWallStは2025年までの収支予測を掲載しつつ「当面は赤字継続見通しでキャッシュ需要がある」「開発失敗時のリスクは大きい」と警告しています(同サイトの自動分析より)。しかし全般には、「成功すればゲームチェンジャー」との認識が支配的で、Heartseed/Novoのプロジェクトは「真に病態修復的な治療を提供できるか」の試金石として期待されています。

まとめ

ハートシードの株価ターゲット分析において、海外からの視線は極めて重要です。ノボノルディスクとの提携は世界的ニュースとなり、日本発バイオベンチャーがグローバル製薬と肩を組む好例として評価されました。今後はPhase1/2試験の成果公表や国内承認申請が国外でも報じられ、評価が一段と具体的になるでしょう。

海外投資家・アナリストは、とりわけ2025年に予想される臨床データ発表に注目しており、それ次第で「日本のサンバイオに続く再生医療成功例になるか?」といった論調が出てくる可能性があります。

現時点では概ね「画期的治療候補」「提携による後押しで成功確率アップ」といったポジティブな見通しが多く、ネガティブな評価は限定的です。もっとも、この期待が裏切られた際の失望も大きくなり得るため、リスク要因(安全性やエビデンス)についても海外メディアは注視しています。ハートシード社自身も今後英語での情報発信を強める必要があるでしょう。総括すれば、Heartseed社は国内外で大きな期待を背負っており、その株価にはグローバルな視点での将来価値が織り込まれ始めていると言えます。今後1年間はその期待を現実のデータで証明できるかどうか、まさに正念場となるでしょう。

そして気になる株価は全く今の水準では割安で、最低でも5000円以上、プロジェクトの進捗により年内1万円は十分にあり得る展開では無いかと考えています。




★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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