四季報夏号で個人的に気になった銘柄「マーケットエンタープライズ」について深堀してみました。
1. 事業内容と主要収益源
マーケットエンタープライズはネット型リユース事業を中核とし、あわせてメディア事業およびモバイル通信事業を展開しています。主力のネット型リユース事業では、自社の総合買取サイト「高く売れるドットコム」等を通じて家電や趣味用品、農機具など幅広い中古品の買取・販売を行い、インターネットマーケットプレイスや自社ECサイトで中古品を販売しています。このリユース事業が当社売上の約半分を占める主要な収益源です(2025年6月期第1四半期の売上構成比:リユース事業51.1%)。
メディア事業では、スマートフォン通信やリユースに関連する複数の情報サイトを運営し、商品・サービスの比較記事を通じてユーザーを他社サービスへ送客し、その成果報酬(アフィリエイト収入)を収益源としています。メディア事業の売上規模は全体の2%程度と小さいものの、高い利益率(2025年6月期1Qのセグメント利益率67%)を誇ります。これは、運営コストに対してアフィリエイト収入が効率よく利益に繋がっているためです。
モバイル通信事業では、子会社の株式会社MEモバイルを通じて高速データ通信サービス「カシモ WiMAX」を提供しています。インターネット上でWiMAX回線と端末をセット販売し、月額通信サービス料から収益を得ています。モバイル通信事業は近年契約数が伸長しており、当社売上の約半分弱を占めるもう一つの柱です(2025年6月期1Q売上構成比:約46.9%)。以上のように、当社の主な収益源は中古品の買取販売による売上および通信サービス料であり、これらをウェブ集客や自社開発のITシステムで効率化するビジネスモデルとなっています。
2. 2025年6月期・2026年6月期の業績予想
2025年6月期(今期)の連結業績予想は、売上高230億円(前期比+21.0%)、営業利益7億円(同+134.3%)と増収増益の見込みです。経常利益も7億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3.6億円の黒字転換を計画しています。最終損益は前期(2024年6月期)の▲4.76億円から黒字へと大きく改善する見通しで、業績復調基調が鮮明です。また1株当たり利益(EPS)は67.31円を予想しています。
2026年6月期(来期)の業績予想について、会社から具体的な数値の公式ガイダンスはまだありませんが、中期経営計画の最終年度ターゲットが参考になります。同計画では2026年6月期に売上高300億円、営業利益20億円という高い目標を掲げており、今期から来期にかけて大幅な成長を目指しています。仮にこの目標を達成すると、営業利益率は約6.7%となり、当期予想(営業利益率約3%)から収益性が大きく向上する計算です。最終利益について会社目標値は開示されていませんが、営業利益20億円規模に達すれば純利益も10億円超(推定)が期待されます。例えば税引後利益が12~14億円程度と仮定すると、2026年6月期のEPSは220~260円程度になる計算で、業績拡大に伴いEPSも今期予想の67円から大きく跳ね上がる見通しです。
3. EPS(1株当たり利益)の予想
上記の業績予想に基づき、EPSは今期2025年6月期に67.3円、来期2026年6月期には約220~260円程度に達する可能性があります。今期のEPS67円は、前期が赤字(EPS▲89円)であったことを考えると大幅な黒字化転換です。来期については会社計画ベースの数値ですが、仮に営業利益20億円規模(純利益10数億円規模)となればEPSは数百円台に乗る計算です。以下では株価評価レンジ算出の前提として、2025年6月期EPS=約67円、2026年6月期EPS=約250円(目標達成ケース)を使用します。
4. 株価の想定レンジと評価
株価の適正レンジを評価するため、予想EPSに対して妥当と考えられるPER(株価収益率)のレンジを設定します。参考となるPER水準として、まず当社株の過去のPER推移を見ると、業績変動もあって変動幅が大きいものの、おおむね10倍台前半~20倍台後半で推移してきました。実際、2023年頃には一時PERが30倍近くまで買われた局面があり、逆に業績不振だった2024年前半にはPER10倍前後まで低下したと推察されます(2024年6月期は最終赤字のためPER算出不可。2025年2月時点で約26倍、2024年8月頃に10倍台前半)。
次に同業他社のPER水準を見ると、例えば中古品リユース店チェーンのブックオフグループホールディングス(9278)やトレジャー・ファクトリー(3093)では予想PERがおよそ11~14倍程度で推移しています。またカメラ等専門リユースのシュッピン(3179)も同様に10~13倍程度のレンジです。これら業界平均のPERはおおむね12~15倍前後と考えられます。一方で当社はITを駆使した独自モデルによる高成長を目指す点が評価され、現在の予想PERは20倍強と業界平均より高めに位置しています。
以上を踏まえ、株価レンジ算定の前提条件を以下にまとめます:
- 予想EPS(今期): 67円 (2025年6月期会社予想)
- 予想EPS(来期): 250円程度 (2026年6月期、会社目標ベースの推定値)
- PERレンジ: 15倍(同業平均並みの保守的水準)~25倍(成長期待を織り込んだ高め水準)
- (参考:業界平均PER約12~15倍、同社過去PERレンジ約10~30倍)
上記条件に基づき、予想EPSとPERの組み合わせによる株価レンジを算出すると以下のようになります:
| PER (倍) | 株価予想 (EPS=67円) | 株価予想 (EPS=250円) |
|---|---|---|
| 15倍 | 約 1,000円 | 約 3,750円 |
| 20倍 | 約 1,340円 | 約 5,000円 |
| 25倍 | 約 1,670円 | 約 6,250円 |
(※株価は1株当たり予想利益×PERで算出した概算値。実際の株価は業績達成度や市場環境によって変動します。)
現状の株価(約1,500円前後)を今期予想EPS67円で見るとPER約22~23倍、水準としては上表の中間よりやや高めですが、高成長期待を織り込んだ水準といえます。一方、来期の目標EPSベースで捉えればPER約6倍相当と割安にも映ります。つまり、市場は2026年6月期の計画達成についてやや懐疑的で慎重に評価している可能性があります。今後、計画どおり業績拡大が実現しEPSが実際に伸びてくれば、株価は表中の上段(~6,000円台)に向けた大きな上昇余地が生まれる反面、目標未達の場合は下段(1,000円前後)までの調整リスクも考えられると言えるでしょう。
5. 類似企業のベンチマークと比較
当社と事業領域やビジネスモデルが近い企業としては、前述のブックオフグループHD(9278)、トレジャー・ファクトリー(3093)、シュッピン(3179)などがベンチマークに挙げられます。ブックオフGHDは全国に実店舗網を展開する業界大手で、2025年3月期予想売上高は800億円超と当社(230億円規模)の約3倍以上、事業規模で大きく勝ります。その分成長率は緩やかで、予想PERは約14倍、PBR約1.3倍と成熟企業らしい水準です。トレジャー・ファクトリーは首都圏中心にリユース店を展開し、店舗×ECのハイブリッド戦略を採っています。直近期(2024年2月期)売上高約180億円、営業利益12億円規模で、当社に近い中堅規模ながら事業構成は実店舗比率が高いです。株式指標はPER約13-14倍、PBR約4倍と、小売業平均と比べPERは標準的ながら収益拡大期待からPBRは高めとなっています。シュッピンはカメラ等の専門性に特化したネット型リユース企業で、年商約526億円・営業利益34億円(2025年3月期実績)とこちらも当社の倍以上の規模ですが、EC主体で高い効率性を持つ点で共通しています。PERはおおむね12倍前後と市場平均並みですが、自己資本利益率(ROE)が高いため株主還元にも積極的です。
比較すると当社マーケットエンタープライズは、規模では上記企業に劣るものの、高齢者向けを含む幅広いリユース商材のネット買取や、自社メディアによる送客、通信サービスとのシナジーなど独自のビジネスモデルで差別化を図っています。
成長率の高さから市場では同業他社より高いPER水準が許容されており、今後も計画通りに業績拡大が続けば評価も一段と高まる余地があります。一方で、他社と比べ実店舗を持たず在庫回転や集客をネットに依存するモデルのため、SEOアルゴリズム変動や中古市況の影響を受けやすいリスクも指摘できます。以上を踏まえ、当社はリユース市場拡大の追い風を受けつつIT活用で成長を狙うベンチャー型企業であり、安定志向の既存チェーンとは異なる視点で評価する必要があると考えます。
2025年6月期 通期業績予想の上方修正の可能性は薄いか
判断の根拠: 2025年6月期通期業績予想(売上高230億円、営業利益7億円等)に対し、第3四半期終了時点での進捗率は売上高77.2%、営業利益67.7%でした。第4四半期は需要期となり売上・利益が積み上がる傾向がありますが、会社側も「売上高および営業利益は概ね予想どおり推移する見込み」であるとコメントしています。実際、第3四半期決算発表日に営業外収益(デリバティブ解約益)計上に伴い経常利益と最終利益のみ上方修正されましたが、売上高と営業利益の予想は据え置かれました。これは主要事業の堅調な成長により当初計画どおりの業績達成が見込まれる一方で、大幅な上振れは見込んでいないことを示唆しています。月次の連結売上高も4月度前年比119.4%、5月度同120.3%と、通期計画の前年比+21.0%を上回る水準で推移していますが、需要期における通常の範囲内の好調さであり計画を大きく超過するほどの上振れではないと考えられます。また、過去の修正傾向を見ると、当社は必要に応じて適時に業績予想を修正しており、今期も第3四半期までの段階で一度上方修正を実施済みです。以上を踏まえると、現時点で通期予想をさらに上方修正する決定打となる材料は乏しいと言えます。
判断結果: 上方修正される可能性は低いと判断されます。第4四半期の需要期で計画通りの業績拡大が見込まれ、現行予想を達成または若干上回る可能性はありますが、会社計画を大幅に超過して追加の上方修正を行う可能性は高くないでしょう。
2. 2026年6月期(来期)業績予想・EPSの根拠資料
来期(2026年6月期)の業績予想およびEPSに関して、会社が示している根拠資料は以下のとおりです。
- 「中期経営計画」(2023年8月14日公表) – 当社が公表した2024年6月期~2026年6月期の3ヶ年計画資料です。この中で2026年6月期の目標値として、売上高300億円、営業利益20億円が掲げられています(2025年6月期は売上高250億円、営業利益13億円と計画)。これらの数値が来期業績予想の土台となっています。
- 「2025年4~6月 お問合せの多かったご質問」IR note記事(2025年7月10日公開) – 当社IRが公開したQ&A形式の記事です。ここで「来期計画のガイダンス」について問われた際、「2年前に掲げた中期経営計画では来期(2026年6月期)が最終年度で営業利益20億円を目標としている。しかし計画全体が約1年遅延しているのも事実で、現在精緻な見通しを立てている最中である」との記述があります。この発言は、中期計画の数値目標(営業利益20億円)を来期の一つの目安としつつも、現状ではその達成に遅れが生じていることを示しています。
以上の資料から、来期(2026年6月期)の業績予想およびEPSは、2023年公表の中期経営計画で示された目標値(営業利益20億円等)を根拠に置きながら、直近の進捗遅れを考慮して策定されるものと読み取れます。


















まとめ
会社側は進捗に遅れありという談話を発表しているものの、以下6/17発表の月次進捗を見る限り若干の遅れはありつつ、今期着地は恐らく240億を超えてくるのは確実と思われます。個人的には245億くらいになるのではないかと思っています。売上15億の上振れ。営業利益で1億円程度の上振れ。営業外収益1億円のリリースも勘案すると、恐らくEPSベースで10~15円程度の上振れの可能性あり。となると、今期最終EPSは77~82円になり、現状のEPSベースで考えると株価は1750~1860円程度に再評価される可能性があると考えます。

そして、来期売上300億円が予定通り達成されるためには月平均前年比122%くらいで進捗すれば達成可能です。おりしも関税ショックで揺れる中、こちらの事業は内需。為替の影響は薄いと考えると、外的環境はそれほど心配ないのかもしれません。
もし来期EPSが220~260円ということになると、前述のように最大6000円くらいの株価評価はあながちオーバーではないと思います。今から約4倍(ゴクリ・・・)。さてどうなるでしょうか。私は本日少しだけ仕込みました。直近決算は8/14。今後の展開次第では買い増していこうともくろんでいます。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。




