米国の宇宙関連株まとめ|スペースX上場とRocket Lab・ASTを比較

米国の宇宙関連株まとめ|億り人研究所

本記事は、宇宙関連株を株価視点で読み解くシリーズの「第2部」です。第1部では「なぜいま宇宙か」という市場スケールとイーロン・マスクの世界線を整理しました。この第2部では、その「物語」を実際に背負っている米国の上場プレイヤーを、ひとつずつ見ていきます。

視点は一貫して「その会社の株価はどう動きうるのか」です。今の売上・時価総額・成長性・収益性を並べ、「数字と期待の距離」がどれくらい開いているかを見る。これが本記事の軸です。

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なお、本記事の金額は「ぱっと見て規模感がわかるように」、ドル表記に加えて1ドル=160円想定で日本円を併記しています。為替は常に動くため、円額はあくまで「おおよその規模感」としてご覧ください。

目次

1.中心にいるのはやはりスペースX(SPCX)

2026年6月、スペースXは史上最大級のIPOで上場し、初値付近で時価総額は約2.5兆ドル(約400兆円)前後に達しました。これは世界の宇宙・防衛企業の多くを足し合わせた規模に近い水準です。

ただし、売上は2025年で約187億ドル(約3.0兆円)。時価総額はその約130倍という超高水準で、「今の売上」ではなく「将来のAI・軌道データセンター構想」をどれだけ信じるかで評価が決まる構造になっています。

📊 スペースX(SPCX)の数字と「世界線」を株価視点で整理する
項目数値・内容株価への含意
上場・時価総額2026年6月上場(ティッカーSPCX)。初値付近で約2.5兆ドル(約400兆円)史上最大級のIPO。「宇宙セクター全体の期待値」を一身に背負う存在
2025年売上約187億ドル(約3.0兆円)。うちStarlinkが約114億ドル(約1.8兆円、約6割)売上の中身は「ロケット」より「通信サービス」にシフト済み
収益性黒字は主にStarlinkセグメント。全体では巨額の最終赤字(AI投資など)利益ではなく「将来のキャッシュフロー期待」で評価されています
S-1のターゲット市場総額約28.5兆ドル(約4,560兆円)と主張。うた26.5兆ドルはAI関連極めて大きい「物語」。数字の前提が崩れると評価も大きく振れる
次の一手軌道上の「AIデータセンター」構想(太陽光+Starlink経由)地上より安い計算資源という仮説。検証はこれからの段階
※円換算は1ドル=160円想定の概算。S-1(証券届出書)・報道ベースで、将来予測は会社・アナリストの見解です。

重要なのは、スペースXの売上の中心がすでに「ロケット」ではなく「Starlink(通信)」に移っていることです。つまり宇宙銘柄の収益性を見るときは、「ロケットを何回打ち上げたか」よりも、「その先のサービスで継続的に課金できるか」が本質だということです。

2.米国の主要プレイヤーを並べてみる

スペースXを除くと、米国の「純粋な宇宙上場銘柄」はまだ売上規模が小さく、その多くが赤字です。それでも時価総額が大きく付いているのは、やはり「将来の成長期待」が株価の中身だからです。まずは主要銘柄を一覧で見てみましょう。

📊 米国主要宇宙銘柄の売上・時価総額比較(2026年6月中旬時点の概算)
銘柄(ティッカー)事業の軸2025年売上(概算)時価総額(目安)株価の見方
スペースX(SPCX)ロケット+Starlink+衛星通信約187億ドル(約3.0兆円)約2.5兆ドル(約400兆円)売上の約130倍という超高PSR。期待の大半は「AI+軌道DC」の将来価値
Rocket Lab(RKLB)小型ロケット+衛星製造約6.0億ドル(約960億円、+38%)数十億ドル(数兆円)規模唯一「打ち上げています」実績。Neutron初飛翔が次の焼点
AST SpaceMobile(ASTS)スマホ直接接続衛星約0.7億ドル(約112億円)約250〜270億ドル(約4.0〜4.3兆円)PSR約300倍超。売上がほぼなく、「サービスを本当に商用化できるか」に期待が集中
Planet Labs(PL)地球観測(小型衛星群)年間200チャン(約320億円)規模へ数十億ドル(数兆円)規模四半期売上が過去最高の約94Mドル(約150億円)。AI需要でデータ販売が伸びるか
Intuitive Machines(LUNR)月面着陸・月輸送数百チャン(数百億円)規模数億〜十数億ドル(数百〜数千億円)NASAアルテミス需要がドライバー。ミッション成否で株価が大きく振れる
Redwire(RDW)宇宙部品・インフラ年間4.5〜5.0億ドル(約720〜800億円)数億ドル(数百億円)規模受注残高約4.1億ドル(約656億円)。M&Aで事業を集約する「集め役」型
※円換算は1ドル=160円想定の概算。時価総額・売上は各社開示・報道ベースで、為替・株価により変動します。

Rocket Lab:唯一「売上を伸ばしています」銘柄

Rocket Labは、米国の純粋宇宙銘柄のなかで「唯一、売上を着実に伸ばしています」タイプです。FY2025は売上約6億ドル(約960億円、前年比+38%)、直近の四半期では初めて四半期売上2億ドル(約320億円)を超えました。ただし本格量産機「Neutron」はこれからで、赤字とキャッシュバーン(手元資金の流出)も続いています。

AST SpaceMobile:売上ほぼゼロで期待先行の極端例

AST SpaceMobileは極端な例で、売上は約0.7億ドル(約112億円)とほぼないにもかかわらず、時価総額は数兆円規模に達しています。これは、「スマホと衛星が直接つながる」サービスを本当に商用化できるかどうかに、株価のほとんどがかかっている状態だからです。商用化が進めば大きく伸びる一方、実現が遅れれば期待はしばみやすい、ハイリスク高リターンの銘柄と言えます。

その他:事業の軸もリスクの質も異なる

Planet Labs(地球観測)は、衛星画像とデータを売るビジネスで、AI需要でデータ販売が伸びるかが評価の軸です。Intuitive Machines(月面着陸)は、NASAのアルテミス計画など月面需要がドライバーで、ミッションの成否で株価が大きく振れます。Redwire(宇宙部品)は、M&Aで事業を集めていく「集め役」型です。同じ「宇宙銘柄」でも、事業の中身とリスクはまちまちだということを押さえておきたいところです。

3.「株価がどう動くか」を決める三つの要素

これらの銘柄の株価を見るとき、利益(PER)ではなく「売上倍率(PSR)」と「マイルストーン達成」が中心になります。多くが赤字なのでPERが使えず、「将来の売上をどれだけ先取りしているか」で株価が動くからです。

第一に、打ち上げ・着陸・衛星配備などの「イベント」が大きな株価ドライバーになります。成功すれば一気に上げ、失敗すれば一気に下げる。第二に、金利とリスク選好。赤字・遠い将来の銘柄は、金利や市場センチメントに非常に敏感です。第三に、増資(希薄化)リスク。赤字企業は資金調達を繰り返すため、株数が増えて一株あたりの価値が薄まるケースがあります。

4.「買収劇」は起きるのか

宇宙セクターでは、資金力のある大手(防衛大手・通信大手・テック大手)が、技術や軌道上のアセットを持つスタートアップを買収する可能性は十分にあります。ただしこれは「期待」の話であり、具体的な案件を予測するものではありません。

株価視点で重要なのは、買収期待は「上ぶれ」の要因にはなるが、それを前提に買うのはギャンブルに近いということです。あくまで「本業そのものの価値」で見て、買収は起きたらボーナス、という整理が現実的だと考えます。

5.投資視点でのまとめ

米国の宇宙銘柄は、「大きな市場期待」と「まだ小さい売上」の距離が非常に大きいという共通点があります。この距離が埋まると信じる人にとっては魅力的ですが、その分、期待が崩れたときの下落も大きいです。時間軸、バリュエーション(PSR)、増資リスクの三つを常に意識しておく必要があります。

次の第3部では、こうした米国プレイヤーとの対比も意識しながら、日本の宇宙関連株、94銘柄の全体マップを「宇宙専業」と「それ以外(大手・部品・素材)」に二分して整理します。

📄 参考・出典

  • 株探(kabutan.jp)――各銘柄の株価・業績・財務データ
  • 各社公式サイト・IR資料(決算短信・有価証券報告書)
  • 各種報道・公開情報

⚠ 免責事項

本記事は公開情報および各社開示資料をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。本文中の数値は各社開示・報道ベースの概算であり、円換算は1ドル=160円想定のものです。為替・株価・業績数値は執筆時点(2026年6月)のものです。投資の最終判断は、最新のIR・有価証券報告書等をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

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