THK(6481)の株価分析|LMガイド世界首位とフィジカルAI

THK(6481)の株価分析|億り人研究所

📌 この記事の結論(先に要点)

  • 投資スタンス:中立(直動案内(LMガイド)世界首位、赤字から黒字回復局面)
  • 目標株価レンジ:6,080円〜9,120円(予想EPS202.6円/弱気PER30倍〜強気PER45倍)
  • 中立シナリオ:約7,700円(現状株価7,704円・PER38倍前後と整合的)
  • 最大リスク:工作機械・半導体・自動車向け設備投資の循環性と、業績回復シナリオが崩れた場合の下振れ

※株価7,704円・予想PER38.0倍・PBR3.42倍・配当利回り2.39%・時価総額約9,175億円(執筆時点)。数値は株探等の公開情報を確認のうえ整理。目標株価は前提付きの参考値です。

シナリオ想定PER目標株価現値7,704円との差
弱気30倍約6,080円−21%
中立38倍約7,700円±0%
強気45倍約9,120円+18%

機械を滑らかに直線運動させる「LMガイド」で世界シェア首位のTHK(6481・東証プライム)は、ロボットや工作機械の「動きの土台」を支えるフィジカルAI関連企業です。株価は7,704円(2026年6月19日終値)、PER38.0倍・PBR3.42倍です。本記事では、最新決算、EPS、適正株価の試算まで踏み込み、割安か割高かを株価視点で整理します。

目次

THKはどんな会社か

THKは1971年創業の機械要素部品メーカーで、LMガイド(直動案内)で世界シェア首位を誇ります。LMガイドは、機械の可動部を摩擦少なく滑らかに直線運動させる部品で、工作機械・半導体製造装置・産業用ロボット・自動車など、精密な動きが必要なあらゆる機械に組み込まれています。

業種は「機械」。ボールねじやアクチュエータなど直動システム全般を手がけ、グローバルニッチのトップ企業です。

  • LMガイド:直線運動を支える案内部品。世界シェア首位
  • ボールねじ/アクチュエータ:回転を直線運動に変える駆動部品
  • 産業機械・自動車部品:FA・EV・半導体装置向けに幅広く供給
💡 フィジカルAIにおける立ち位置
ロボットやヒト型ロボットが正確に動くには、各軸が滑らかにブレなく直線運動する必要があります。THKのLMガイドは、その「動きの土台」を支える基幹部品であり、自動化・ロボット普及の拡大とともに需要が伸びる構造です。

最新決算(直近本決算)の要点

2025年12月期本決算(2026年2月12日発表)は、売上高2,404億円、最終損益はマイナス698億円(EPS-618.7円)の大幅赤字に転落しました。前期(2024年12月期)はEPS85.2円の黒字でしたが、構造改革に伴う損失計上などが響いた格好です。一方、2026年12月期会社予想は売上2,760億円・経常298億円・最終227億円・EPS202.6円と、黒字転換と大幅増益を計画しています。

決算期売上高経常利益最終損益EPS1株配
2024.12期(実績)3,527億円187億円104億円85.2円146円
2025.12期(実績)2,404億円157億円-698億円-618.7円246円
2026.12期(会社予想)2,760億円298億円227億円202.6円184円
💡 決算のポイント(要約)
① 2025年12月期は最終698億円の大幅赤字に転落。② 構造改革関連の損失などが主因。③ 2026年12月期は黒字転換・EPS202.6円へ回復計画。④ 配当は246円→184円へ減配予想ですが、依然として利回りは相対的に高いです。

今後の成長見通し

成長ドライバーは、第一に自動化・省人化需要。ロボットや自動化設備の普及に伴い、直動部品の需要は中長期で拡大します。第二に半導体製造装置・工作機械の設備投資回復。第三にEV・新分野への展開です。2026年12月期の黒字転換計画が実現すれば、業績は底打ちから回復軌道に乗ると期待されます。

ただし、直動部品は設備投資サイクルの影響を強く受けるため、世界景気の動向次第で回復ペースが変わる点には注意が必要です。

直近の決算短信の要点

THKの直近本決算(2025年12月期)は、売上高2,404億円・営業利益144億円・最終利益-698.9億円(赤字)(EPS-618.7円)でした。構造改革費用などにより最終赤字に転落。2026年12月期は営業益が前期比2.1倍、最終益は黒字転換と、業績がV字回復する計画。財務面では自己資本比率55.3%・1株純資産2,333円、有利子負債倍率0.47倍と、安定した基盤を備えています。

中期経営計画と今後の見通し

中期経営計画では、直動案内機器(LMガイド)の世界シェア首位を背景に、半導体・電子部品・ヒューマノイド向け需要を取り込み、赤字から一気にV字回復をめざすとしています。会社が示す2026年12月期の予想と前期実績を並べると、次のようになります。

項目2025年12月期(実績)2026年12月期(会社予想)増減率
売上高2,404億円2,760億円+14.8%
営業利益144億円310億円2.1倍
最終利益-698.9億円(赤字)227億円黒字転換
EPS-618.7円202.6円
配当184円(前期246円から減配)

見通しを支える3つの成長ドライバー

  • ① LMガイド(直動案内)の世界シェア首位:あらゆる機械の「まっすぐ動く」部分を担う基幹部品。
  • ② ヒューマノイド・協働ロボット向け需要:ロボットの直動部に使われ、フィジカルAI普及の恩恵を受ける。
  • ③ 半導体製造装置・物流自動化:設備投資回復で需要が戻りやすい分野。
⚠ 見通しを見るうえでの留意点
THKは2025年12月期に大きな最終赤字を計上しました。2026年12月期の黒字転換・大幅増益は会社予想であり、半導体・設備投資の回復が前提です。回復が遅れれば計画未達リスクがあります。

同業他社比較と適正株価の試算――割安か割高か

機械部品・FA関連の主要銘柄と比較します(株価・指標は2026年6月19日終値ベース)。

銘柄株価PERPBR配当利回り
THK(6481)7,704円38.0倍3.42倍2.39%
安川電機(6506)7,128円39.3倍3.82倍1.01%
ハーモニック(6324)7,770円163倍9.15倍0.26%
キーエンス(6861)77,700円約42倍5.43倍0.71%

THKのPER38.0倍は、前期の赤字から回復途上のため一時的に高く見えます。会社予想EPS202.6円ベースなら予想PERは実質約38倍で、業績が正常化すれば評価は切り下がる可能性があります。仮に回復後の正常EPSにFA部品の中立的なPER15〜25倍を当てはめると理論株価は概ね3,000〜5,000円。現在値は回復シナリオをかなり織り込んだ水準で、配当利回り2.39%は同業内では魅力的です。

⚠ 試算の前提と注意
上記は会社予想EPSと一定のPERを掛けた機械的な参考値です。赤字からの回復局面はブレが大きく、構造改革の進捗・設備投資動向で業績が大きく変わります。特定の売買を推奨するものではありません。

適正株価(理論株価)の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ

ここではTHK(6481)の適正株価(理論株価)を、代表的な2方式で試算します。基準は2026年12月期会社予想EPS202.6円、1株純資産(BPS)は株価7,704円÷PBRから約2,253円と算出しています(いずれも2026年6月19日終値ベース)。

方式①:PER × 同業他社平均PER 法

予想EPSにPERを掛け合わせる方式です。同業のTHK自身のPER(約38倍)やFA・機械中堅の水準を踏まえ、中立を36倍とし、弱気〜強気でPER水準を振って試算します。

シナリオ想定PER計算式理論株価
弱気30倍202.6円 × 30約6,078円
中立36倍202.6円 × 36約7,294円
強気43倍202.6円 × 43約8,712円

方式②:PBR(純資産)法

利益のブレを受けにくい純資産ベースの方式です。BPS約2,253円に、中立PBR3.4倍を基準として、シナリオ別のPBRを当てはめます。

シナリオ想定PBR計算式理論株価
弱気2.8倍2,253円 × 2.8約6,308円
中立3.4倍2,253円 × 3.4約7,660円
強気4.1倍2,253円 × 4.1約9,237円

総合:弱気・中立・強気の3パターン

上記2方式を平均(ブレンド)し、現在値7,704円に対する上昇余地(アップサイド)とあわせて整理すると、次のようになります。

シナリオPER法PBR法ブレンド理論株価現在値比
弱気約6,078円約6,308円約6,193円-19.6%
中立約7,294円約7,660円約7,477円-2.9%
強気約8,712円約9,237円約8,975円+16.5%

総合すると、中立シナリオの理論株価は約7,477円で、現在値(7,704円)に対して-2.9%。市場はTHKを「ほぼ適正」に評価していると読めます。前提を弱気側に置けば約6,193円、強気側に置けば約8,975円がめやすとなります。

⚠ 理論株価の試算にあたっての前提と注意
ここで示した理論株価は、EPS・BPSに一定のPER/PBRを掛け合わせた機械的な参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。前提とするPER・PBRの取り方によって結果は大きく変わります。実際の株価は業績修正・為替・景気・需給などで上下します。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

株価指標と需給

時価総額は約9,175億円。信用倍率は4.75倍(2026年6月12日時点)とやや買い長。配当利回り2.39%は今回紹介する4銘柄の中で最も高く、インカム面の魅力があります。

指標数値
株価7,704円(2026/6/19終値)
PER38.0倍
PBR3.42倍
配当利回り2.39%
時価総額9,175億円
信用倍率4.75倍
発行済株式数1億1,910万株

投資する際に押さえておきたいリスク

  • 業績回復の不確実性:前期大赤字からの黒転計画が未達となるリスク
  • 設備投資サイクル:直動部品需要は景気・設備投資の波に強く連動
  • 減配リスク:2026年12月期は減配予想。業績次第でさらなる見直しも
  • 海外・中国景気:海外売上比率が高く、世界景気の影響を受けやすい
  • 競争:直動部品分野は競合も多く、価格競争の影響を受ける

指標とニュースの読み方――数字に振り回されないために

赤字決算とPERをどう見るか

2025年12月期は赤字のため実績PERは意味を持ちません。重要なのは2026年12月期の黒字転換計画の進捗です。会社予想EPS202.6円が達成されるかどうかで、PERの見え方は大きく変わります。回復局面の銘柄は「計画通りに戻るか」を四半期ごとに確認する姿勢が欠かせません。

この銘柄を継続ウォッチする際のチェックポイント

注目点は、四半期ごとの受注・売上の回復、構造改革の効果(コスト削減)、そして半導体・工作機械向け需要の底打ちです。配当方針の変化もあわせて確認したいところです。

投資スタンスの整理

THKは、直動部品で世界首位の実力を持つ一方、前期は大幅赤字に沈み、現在は「業績回復シナリオに賭ける局面」にあります。配当利回りの高さは魅力ですが、回復の確度を見極めることが重要です。黒字転換の進捗を確認しながら、押し目を意識して臨むのが無難といえます。

中期経営計画から読み解く現在地と未来予測

① 新経営方針「ROE10%超の早期実現」への転換

THKは2022年2月に「2026年度(5年計画)経営目標」として売上収益5,000億円・営業利益1,000億円・EPS590円・ROE17%を掲げていましたが、市場環境の変化を受けて2024年11月にこれを見直し、2025年2月に新たな経営方針「ROE10%超の早期実現」を公表しました。規模目標から、収益性と資本効率を重視する方針へ舵を切った形です。

新方針では「収益性と資本効率を重視した経営の推進」を掲げ、資本コストを意識した経営でROE10%超の早期達成を目指します。足元のFY2025(2025年12月期)実績は売上収益2,404億円・営業利益率6.0%と、目標とのギャップが大きく、まずは収益力の立て直しが課題になっています。

② 今後の期待値はどこにあるか

期待値の中心は、産業機器事業(LMガイド)の市況回復と、新領域の開拓です。THKはLMガイド(直動案内機器)で世界トップシェアを持ち、工作機械・半導体製造装置・ロボットなど幅広い設備投資需要を取り込みます。フィジカルAI・ヒューマノイドロボットの普及は、精密な直動部品の新たな需要源として期待されています。

新経営方針が「ROE重視」へ転換したことで、不採算事業の整理(輸送機器事業の譲渡など)や資本効率改善の施策が進んでいます。営業利益率6.0%からROE10%超へ向けた収益改善が、どこで反転し加速するかが株価評価のポイントになります。

💡 計画の読み方
THKの計画は「売上5,000億円」という規模目標を取り下げ、「ROE10%超」という資本効率目標へ置き換えた点が重要です。これは目標未達の整理であると同時に、収益性重視への明確なメッセージでもあります。足元は利益率が低迷しており、設備投資サイクルの底入れと構造改革の進捗が反転のカギです。
⚠️ 期待値の裏にあるリスク
LMガイドは工作機械・FA市場の設備投資循環に強く連動し、中国など主要市場の低迷局面では稼働率が下がり利益率が大きく悪化します。営業利益率6.0%からROE10%超への改善はハードルが高く、市況回復が遅れれば目標達成は後ずれするリスクがあります。

四季報・専門メディアから見る現状と評価

株価指標で市場評価を確認すると、THKはPER38.0倍・PBR3.42倍・配当利回り2.39%(株価7,704円時点、時価総額約9,175億円)で取引されています。PBRは高めの水準にあり、市場が同社の収益性や成長性に対して一定のプレミアムを織り込んでいることを示します。

会社四季報や専門メディアでは、こうしたTHKの事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。

総じて、現時点のTHKは、事業基盤を維持しながら利益が一服している調整局面にあり、市況や収益環境の回復が今後の評価を左右します。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。

※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。

まとめ

THKは、LMガイドで世界シェア首位を誇り、ロボット・自動化の「動きの土台」を支えるフィジカルAI関連企業です。2025年12月期は大幅赤字となったものの、2026年12月期は黒字転換・EPS202.6円への回復を計画。PER38.0倍・PBR3.42倍・配当利回り2.39%で、回復シナリオの実現度を見極めながら投資判断したい銘柄です。

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📄 参考・出典

⚠ 免責事項

本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標・業績数値は執筆時点(2026年6月19日)のものです。適正株価の試算は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

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