三菱重工(7011)の株価は3,917円(2026年6月19日終値)、PER約34.6倍・PBR約4.26倍です。本記事では、国内最大の総合重工大手。防衛・航空エンジン・発電(GTCC)・物流機器・無人機(UAV)などを展開を手がける同社が、フィジカルAI(現実世界で動くAI)・ヒューマノイド普及の流れの中でどんな立ち位置にあるのか、最新決算・中期経営計画・適正株価の試算・リスクまでを株価視点で整理します。
📌 この記事の結論(先に要点)
- 投資スタンス:中立(防衛・エネルギー・航空の重工最大手、防衛増額が追い風だがPER35倍と高め)
- 目標株価レンジ:2,830円〜5,090円(予想EPS113.1円/弱気PER25倍〜強気PER45倍)
- 中立シナリオ:約3,960円(現状株価3,917円・PER35倍前後と整合的)
- 最大リスク:防衛期待を織り込んだ高PERの調整リスクと、大型プロジェクトの採算ブレ・資材高
※株価3,917円・予想PER34.6倍・PBR4.26倍・配当利回り0.74%・時価総額約13兆2,146億円(執筆時点)。数値は株探等の公開情報を確認のうえ整理。目標株価は前提付きの参考値です。
| シナリオ | 想定PER | 目標株価 | 現値3,917円との差 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 25倍 | 約2,830円 | −28% |
| 中立 | 35倍 | 約3,960円 | +1% |
| 強気 | 45倍 | 約5,090円 | +30% |
三菱重工はどんな会社か
三菱重工(証券コード7011)は、国内最大の総合重工大手。防衛・航空エンジン・発電(GTCC)・物流機器・無人機(UAV)などを展開を主力とする機械セクターの企業です(東証P上場)。
- 主力事業:国内最大の総合重工大手。防衛・航空エンジン・発電(GTCC)・物流機器・無人機(UAV)などを展開
- 時価総額:約13兆2,146億円
- 関連テーマ:防衛・無人機・エネルギー・ドローン関連
防衛・無人機(ドローン)事業の深掘り――なぜ「ドローン関連の本命」とされるのか
三菱重工は護衛艦・戦闘機・ミサイルといった大型防衛装備のイメージが強い一方、近年は無人機(UAV)・対ドローン(カウンタードローン)分野でも国内の中核プレーヤーへと存在感を高めています。ここでは2026年時点で公表されている同社のドローン・防衛関連の具体的な動きを、防衛省・防衛装備庁の公表資料や各種報道をもとに整理します。
① 防衛省向け契約額は国内首位――収益基盤としての「防衛」
同社は防衛省向けの装備品契約額で長年国内トップクラスに位置し、近年は政府の防衛費増額(GDP比2%への引き上げ方針)を追い風に受注が大きく伸びています。護衛艦・潜水艦・誘導弾(ミサイル)・戦闘機(次期戦闘機GCAPの国内主担当)など、防衛事業は幅広い装備領域をカバーしており、無人機はこの厚い防衛基盤の上に積み上がる「成長ドライバー」と位置づけられます。
② 迎撃ドローン――量産試作機を約3か月で開発、防衛省へ提案
2026年6月、複数の報道(日本経済新聞ほか)により、同社が飛来する敵ドローンを味方のドローンで撃ち落とす「迎撃ドローン」の量産型試作機を開発したことが明らかになりました。社長の発言として、研究部門と事業部門が連携し約3か月という短期間で試作機を仕上げ、防衛省への採用・提案を視野に入れているとされます。従来の大型装備が数年〜十年単位の開発期間を要するのに対し、ウクライナでの戦訓を踏まえた「スピード重視」の開発姿勢への転換を象徴する動きといえます。
③ 攻撃型UAVの存在も表面化
迎撃(防御)型に加え、従来は非公表だった攻撃型UAVの開発が進んでいることも、防衛相のSNS投稿などを通じて表面化しました。固定翼型やミサイルに近い形状で目標へ向かう無人機など、複数のタイプが検討されているとみられます。攻撃型・迎撃型の双方を手がけられる開発力は、装備の選択肢を求める防衛省にとって有力な調達先となり得ます。
④ 装備庁「迎撃ドローン早期取得プログラム」――商機の背景
三菱重工の動きの背景には、防衛装備庁が2026年6月5日に公表した「迎撃ドローン早期取得プログラム」があります。これは自爆型ドローン(いわゆるシャヘド型・HARPY型など)への迅速な対処能力を早期に獲得することを目的とした新しい調達枠組みで、提案企業を広く公募し、実証試験を経て量産を判断する「スピード重視」の方式が採られています。公表された主な想定性能は以下のとおり。
※スペックは防衛省・防衛装備庁および各種報道で公表された公募の目安を整理したもので、最終的な装備要求とは異なる場合があります。
⑤ SHIELD構想と沿岸防衛――無人装備の出口
政府が掲げる多層的な沿岸防衛体制(SHIELD構想)では、接近する敵艦艇や無人機を沿岸部で無人装備により迎撃することが想定されています。三菱重工は艦艇・ミサイル・無人機を一気通貫で手がけられる数少ない企業であり、こうした構想が具体化する局面では中核的な役割を担う可能性が高いです。
最新決算(直近本決算)の要点
直近本決算(2026年3月期)は、売上高4兆9,742億円・営業利益非開示・最終利益3,321億円(EPS98.9円)でした。防衛省との契約額で国内首位(2024年度 約1.4兆円規模)。無人機・迎撃ドローン開発を加速。
今後の成長見通し
三菱重工の成長は、国内最大の総合重工大手。防衛・航空エンジン・発電(GTCC)・物流機器・無人機(UAV)などを展開という主力事業を軸に、世界的な省人化・自動化の流れと、フィジカルAI/ヒューマノイドの普及によって支えられます。以下、直近の決算短信と中期経営計画をふまえて見通しを整理します。
直近の決算短信の要点
三菱重工の直近本決算(2026年3月期)は、売上高4兆9,742億円・営業利益非開示・最終利益3,321億円(EPS98.9円)でした。(防衛・エネルギー需要拡大で大幅増益)。2027年3月期は売上+8.6%・最終益3,800億円を計画。財務面では自己資本比率30%前後・1株純資産920円、潤沢な受注残を背景に財務は安定と、安定した基盤を備えています。
中期経営計画と今後の見通し
中期経営計画では、防衛・宇宙、エナジー(GTCC・原子力)、物流・冷熱、航空エンジンを軸に、防衛費増額と脱炭素の追い風を取り込むとしています。会社が示す2027年3月期の予想と前期実績を並べると、次のようになります。
見通しを支える3つの成長ドライバー
- ① 防衛費増額の追い風:GDP比2%への防衛費拡大で、ミサイル・艦艇・無人機など受注が急拡大。
- ② 無人機(UAV)開発:AI搭載無人機や迎撃ドローンの開発を加速し、無人アセット防衛の中核を担う。
- ③ エネルギー・脱炭素:GTCC(高効率火力)・原子力・水素など、電力需要拡大の恩恵。
ここからは三菱重工の株価水準を、2つの角度から整理します。まず「会社四季報の業績予想をもとに、今後の利益成長が続いた場合に株価がどこまで上がり得るか」という将来成長ベースのターゲット株価を見る。そのうえで、現在の予想EPS・純資産に標準的なPER/PBRを当てはめた現時点の適正株価(理論株価)を確認し、両者をあわせて総合的に判断します。
会社四季報で見る三菱重工――成長性の定量分析と3年後ターゲット株価
ここからは、最新の会社四季報(2026年3集・夏号/2026年6月17日発売)で確認できる業績推移をもとに、「この会社が今後どのくらい成長し得るのか」「その場合に株価はどの水準まで上がり得るのか」を、当ブログ独自の試算として整理します。数値は四季報掲載時点のものであり、四季報の予想コメントをそのまま転載したものではありません。あくまで一次情報をもとにした独自分析です。
① 過去の業績トレンド――EPSは4年で約2.9倍
まず、足元の成長スピードを1株当たり利益(EPS)の推移で確認しましょう。三菱重工のEPSは、2022年3月期の33.8円から2026年3月期には98.9円へと、わずか4年で約2.9倍に拡大しています。これは年率(CAGR)に直すとおよそ30%という非常に高い成長ペースです。背景には、防衛費の増額を追い風にした防衛・航空機・ミサイル分野の伸長と、エネルギー部門でのガスタービンの好採算があります。
単年ごとの成長率にはばらつきがあるものの、おおむね二桁成長を続けてきたことがわかります。会社予想・四季報予想の段階では成長率がやや鈍化する見込みですが、これは大型案件の端境期や保守的な見積もりによる面もあり、防衛の受注残を踏まえれば下振れしにくい構造といえます。
② 3年後のEPSを成長率別にシミュレーション
次に、直近の予想EPS(2028年3月期=119.3円)を起点に、今後3年間(おおむね2031年3月期)にわたって一定の成長率が続いた場合のEPSを試算します。ここでは過去実績(年率約30%)よりあえて保守的に、年率8%・12%・18%の3パターンを置きました。
- 保守(年率8%成長):3年後EPSは約150円
- 標準(年率12%成長):3年後EPSは約168円
- 強気(年率18%成長):3年後EPSは約196円
③ ターゲット株価の試算――PERを掛け合わせる
EPSの将来予測に、想定PER(株価収益率)を掛け合わせると、理論上のターゲット株価が見えてきます。三菱重工の現在株価は約3,917円、予想ベースのPERはおよそ35倍前後で推移しています。成長期待の強さからPERは高めですが、ここでは成長鈍化も織り込み、シナリオごとに保守25倍・標準30倍・強気35倍を当てはめました。
この試算が示すのは、「成長が市場の期待どおり続けば株価には大きな上値余地がありますが、成長が止まりPERも切り下がれば現値近辺、もしくは下落もあり得る」という非対称なリスク・リターン構造です。つまり三菱重工の株価は、利益成長が続くかどうかに大きく依存しています。逆に言えば、防衛・エネルギーという2つのエンジンが今後も二桁成長を維持できるなら、標準〜強気シナリオが現実味を帯びてきます。
💡 このセクションのポイント
EPSが4年で約2.9倍(年率約30%)という高成長を続けてきた三菱重工は、その成長が続く前提なら3年後に株価5,000〜7,000円台も視野に入ります。一方、成長が鈍化しPERが切り下がれば現値近辺にとどまります。「成長の持続性」こそが株価を左右する最大の変数です。
⚠ 試算にあたっての注意
上記のターゲット株価は、一定の成長率とPERを仮定した当ブログ独自のシミュレーションであり、将来の株価を保証するものではありません。実際のEPSは受注状況・為替・コスト・のれん減損などで変動し、PERも市場環境で大きく動きます。四季報の予想数値やコメントの転載ではない点も含め、投資判断は必ず最新の決算短信・有価証券報告書など一次情報をご自身で確認のうえ行ってください。
同業他社比較と適正株価の試算――割安か割高か
FA・ロボット・部品関連の主要銘柄と比較すると、三菱重工のPER約34.6倍・PBR約4.26倍という評価水準が見えてきます。防衛省との契約額で国内首位(2024年度 約1.4兆円規模)。無人機・迎撃ドローン開発を加速。次のセクションで、より具体的に弱気・中立・強気の3シナリオで適正株価を試算します。
適正株価(理論株価)の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ
ここでは三菱重工(7011)の適正株価(理論株価)を、代表的な2方式で試算します。基準は2027年3月期会社予想EPS113.1円、1株純資産(BPS)は株価3,917円÷PBRから約920円と算出しています(いずれも2026年6月19日終値ベース)。
方式①:PER × 同業他社平均PER 法
予想EPSにPERを掛け合わせる方式です。同業他社や三菱重工自身の評価水準(PER約34.6倍・PBR約4.26倍)を踏まえ、中立を32倍とし、弱気〜強気でPER水準を振って試算します。
方式②:PBR(純資産)法
利益のブレを受けにくい純資産ベースの方式です。BPS約920円に、中立PBR4.2倍を基準として、シナリオ別のPBRを当てはめます。
総合:弱気・中立・強気の3パターン
上記2方式を平均(ブレンド)し、現在値3,917円に対する上昇余地(アップサイド)とあわせて整理すると、次のようになります。
総合すると、中立シナリオの理論株価は約3,742円で、現在値(3,917円)に対して-4.5%。市場は三菱重工を「ほぼ適正」に評価していると読めます。前提を弱気側に置けば約2,829円、強気側に置けば約4,859円がめやすとなります。
株価指標と需給
信用倍率は26.18倍で、買い長に傾いており、戻り売り圧力がやや重い状態です。
投資する際に押さえておきたいリスク
- 設備投資サイクル:世界の設備投資、とくに中国・半導体市況の変動を受けやすいです。
- 為替変動:輸出比率が高く、円高は利益の重しになります。
- 競争激化:中国勢の台頭などで価格競争が起きるリスク。
- 需給の重さ:信用倍率26.18倍と買い長で、短期的な戻り売りに注意。
指標とニュースの読み方――数字に振り回されないために
PERとPBRをどう見るか
PERは「利益の何年分まで買われているか」、PBRは「純資産の何倍で評価されているか」を示します。三菱重工のように景気循環の影響を受ける銘柄は、業績の谷でPERが高く、山で低く見えやすい点に注意が必要です。
この銘柄を継続ウォッチする際のチェックポイント
- 四半期ごとの受注・売上の前年同期比
- 中国・半導体関連の設備投資動向
- ヒューマノイド・ロボット向け新規受注のニュース
投資スタンスの整理
中立シナリオの理論株価は現在値に近く、三菱重工は「ほぼ適正」な水準と読めます。フィジカルAIという長期テーマの恩恵を取り込みつつ、設備投資サイクルの波を意識した中長期目線での観察が向いています。
中期経営計画から読み解く現在地と未来予測
① 中期経営計画「2024事業計画」の数値目標
三菱重工は2024年5月に公表した中期経営計画「2024事業計画」(FY2024〜2026)で、最終年度2026年度(2027年3月期)に売上高5.7兆円以上(FY2023比+20%以上)、事業利益4,500億円以上(同+60%)、事業利益率8.0%以上の達成を掲げています。あわせてROEなどの資本効率指標も目標に設定し、「高利益体質と成長投資の好循環」による企業価値向上を打ち出しています。
計画の進捗は極めて順調です。2026年5月27日の推進状況では、事業利益率とROEの目標を1年前倒しで達成したと公表されました。直近のFY2024実績は売上高5.0兆円・事業利益3,831億円で、防衛事業とガスタービン(火力・GTCC)の拡大が業績を強くけん引しています。次期計画でも純利益の年平均成長率8%以上を目安とする方針が示されています。
② 今後の期待値はどこにあるか
最大の成長ドライバーは、防衛・宇宙とエネルギー(ガスタービン)の2本柱です。各国の防衛費増額により防衛事業の受注が急拡大し、データセンター需要などを背景に火力・ガスタービンの需要も世界的に伸びています。これらの高採算・長期案件が、売上5.7兆円・事業利益率8%という目標達成の現実味を高めています。
さらに、原子力(再稼働・次世代炉)やアンモニア・水素・CO2回収といった脱炭素分野も将来の柱として育成中です。目標を前倒し達成した実績から、市場の期待値は高く、次期中計でどこまで上方の成長目標を掲げられるかが、今後の株価評価を左右する分岐点になります。
「2024事業計画」は売上5.7兆円・事業利益4,500億円・事業利益率8%が骨格で、ROE目標を1年前倒しで達成した点が重要です。今後は防衛・ガスタービンの受注残がどこまで利益に変わるか、そして次期計画でさらに高い目標が示されるかを確認するのが有効です。
防衛・エネルギー需要は地政学情勢や各国予算に左右され、好調が一巡すれば成長率が鈍化する可能性があります。大型プラント案件は工期遅延やコスト超過のリスクを伴い、過去には大型客船やスペースジェット(MRJ)で損失を計上した経緯もあります。株価が高値圏では期待先行による調整リスクにも留意が必要です。
四季報・専門メディアから見る現状と評価
株価指標で市場評価を確認すると、三菱重工はPER34.6倍・PBR4.26倍・配当利回り0.74%(株価3,917円時点、時価総額約13兆2,146億円)で取引されています。PBRは高めの水準にあり、市場が同社の収益性や成長性に対して一定のプレミアムを織り込んでいることを示します。
会社四季報や専門メディアでは、こうした三菱重工の事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。
総じて、現時点の三菱重工は、本業の収益力を土台に着実に企業価値を積み上げている局面にあり、株価指標も事業の実態を反映した水準にあると整理できます。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。
※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。
まとめ
- 三菱重工は国内最大の総合重工大手。防衛・航空エンジン・発電(GTCC)・物流機器・無人機(UAV)などを展開を主力とするフィジカルAI関連の「部品・要素技術」銘柄
- 直近決算は防衛省との契約額で国内首位(2024年度 約1.4兆円規模)。無人機・迎撃ドローン開発を加速
- 中立シナリオの理論株価は約3,742円(現在値比-4.5%)
- 設備投資サイクル・為替・需給のリスクに留意
この銘柄を実際に取引するなら、手数料や取扱商品・ツールを比較して自分に合った証券口座を選びましょう。ネット証券は口座開設・維持費は無料で、少額から始められます。
📄 参考・出典
- 株探(kabutan.jp)――株価・業績・財務データ
- 株探(kabutan.jp):株価・業績・財務データ(2026年6月19日時点)
- 各社IR:決算短信・中期経営計画
⚠ 免責事項
本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標・業績数値は執筆時点(2026年6月19日)のものです。適正株価の試算は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

