大成建設(1801)は買いか?最高益更新と国土強靱化・再開発需要を評価【2026年6月】

大成建設(1801)の株価分析|億り人研究所
目次

大成建設(1801)はどんな会社か

大成建設は、大林組・鹿島・清水建設と並ぶ「スーパーゼネコン」の一角を占める総合建設大手です。特定の親会社を持たない非同族の独立系企業で、市街地再開発や大型土木に強みを持ち、東京駅周辺の再開発や大規模インフラ案件で存在感を発揮してきました。建築・土木の両輪に加え、不動産開発やエンジニアリングも手掛けています。

💡 まず押さえたいポイント

大成建設は売上高2兆円規模の総合建設大手です。本記事では株価14,785円、時価総額2兆4,127億円、PER16.0倍、PBR2.54倍(いずれも2026年6月19日時点・株探調べ)を起点に、業績トレンドと株価水準を整理します。数値は執筆時点のものであり、最新の株価・指標はご自身でご確認ください。

事業の深掘り――建築・土木・不動産の三本柱

① 建築事業――再開発とビル建設が収益の柱

オフィスビルや商業施設、マンション、工場・物流施設などの建築を担う事業で、売上の中核を占めます。都市部の再開発案件や大規模複合開発に強く、設計から施工まで一貫して手掛ける総合力が競争力の源泉です。資材費や労務費の上昇を工事採算にどう転嫁できるかが、利益率を左右します。

② 土木事業――トンネル・道路・国土強靱化

トンネル、道路、橋梁、ダムなどの社会インフラを手掛ける事業です。国土強靱化やインフラ老朽化対策、防災・減災投資といった公共投資が需要の背景にあり、景気変動に比較的左右されにくい安定収益源となっています。シールド工法などの技術力にも定評があります。

③ 開発・その他――不動産とエンジニアリング

自社開発の不動産事業やエンジニアリング、海外建設などが含まれます。会社は不動産を縮小し国内事業へ集中する方針を示しており、本業の建設で稼ぐ構造への回帰が進んでいます。

💡 ビジネスモデルの特徴

ゼネコンの業績は「受注(仕事の獲得)」と「採算(工事ごとの利益率)」の掛け算で決まります。近年は資材高・人手不足という逆風がある一方、再開発・半導体工場・データセンターなどの建設需要が旺盛で、選別受注によって採算が改善しやすい局面にあります。

最新決算(2026年3月期)の要点

2026年3月期の通期実績は、売上高2兆891億円(前期比3.0%減)、営業利益1,880億円(同56.4%増)、最終利益1,700億円(同37.3%増)と、減収ながら大幅な増益で着地しました。EPS(1株当たり利益)は1,025.5円と過去最高を更新しています。

項目2025.032026.03前期比
売上高2兆1,542億円2兆891億円-3.0%
営業利益1,202億円1,880億円+56.4%
経常利益1,345億円1,958億円+45.6%
最終利益1,238億円1,700億円+37.3%
EPS682.8円1,025.5円+50.2%
1株配当210円310円+100円

💡 決算のポイント

売上は微減ですが、利益は大幅増。これは「採算の良い工事の選別受注」と「過去に受注した低採算工事の一巡」によって工事利益率が改善したためと読めます。建設業では売上の伸びより利益率の改善が株価の評価を押し上げる局面があり、今期はその典型といえます。

業績トレンドの深掘り――長期と四半期

長期業績の推移(過去4期+会社予想)

過去数年の業績を並べると、2024年3月期に営業利益が落ち込んだあと、2025年3月期・2026年3月期と利益が急回復している姿が見て取れます。会社は2027年3月期について、売上高2兆4,200億円・最終利益1,510億円・配当380円を計画しています。

決算期売上高営業益経常益最終益EPS配当
2023.0316,427億547億631億471億241.2円130円
2024.0317,650億265億389億403億215.8円130円
2025.0321,542億1,202億1,345億1,238億682.8円210円
2026.0320,891億1,880億1,958億1,700億1,025.5円310円
予2027.0324,200億1,880億1,870億1,510億926.3円380円

四半期業績の推移

直近4四半期を見ると、2026年1-3月期は売上高6,613億円・営業利益656億円・最終利益674億円・売上営業利益率9.9%と、四半期ベースで最終益の過去最高を更新しました。期末にかけて工事の進捗と採算が大きく改善している点が確認できます。

四半期売上高営業益経常益最終益EPS利益率
25.04-064,403億393億411億295億173.4円8.9%
25.07-094,675億420億428億341億202.9円9.0%
25.10-125,199億411億466億389億233.6円7.9%
26.01-036,613億656億653億674億406.8円9.9%

⚠ 四半期の見方の注意

建設業の四半期業績は、工事の完成・引き渡しのタイミングで大きく振れます。単一四半期の数字だけで判断せず、通期計画に対する進捗と、前年同期比のトレンドで評価することが大切です。

財務とキャッシュフロー

2026年3月期末の1株純資産(BPS)は5,816円、自己資本比率は34.9%、有利子負債倍率は0.49倍です。自己資本比率はゼネコンとしては標準的な水準で、財務の健全性に大きな懸念はありません。

項目数値
1株純資産(BPS)5,816.09円
自己資本比率34.9%
自己資本9,481億円
有利子負債倍率0.49倍
営業CF(26.03)+1,473億円
投資CF(26.03)-1,959億円
財務CF(26.03)+244億円
現金等残高2,730億円

💡 キャッシュフローの読み方

2026年3月期は営業CFが+1,473億円のプラスで、本業でしっかり現金を稼げています。一方で投資CFは-1,959億円と大きく、設備や開発への投資が先行しています。建設業は工事代金の回収タイミングで営業CFが大きく振れるため、単年度ではなく数年の平均で見るのが安全です。

中期経営計画から読み解く現在地と未来予測

① 中期経営計画(2024-2026)の数値目標

大成建設は、長期ビジョン「TAISEI VISION 2030」の達成計画として「中期経営計画(2024-2026)」を推進しています。最終年度の2026年度に、グループ営業利益1,200億円、グループ純利益800億円、ROE8.5%程度を経営数値目標として掲げ、売上高は19,500億円程度を想定しています。2024年度から2026年度のROE目標は「株主資本コストを上回る水準」として位置づけられ、利益成長の実現を最大のテーマとしています。

さらに中長期では、2030年度以降にROE10%程度の継続的な確保を目指しており、その実現に向けてグループ国内建築事業の売上総利益率を10%以上とすることを掲げています。大成建設はスーパーゼネコン5社の一角で、建築・土木・開発(不動産)を手がける総合建設会社です。一時は札幌の大型ビル工事で施工不良問題が発生し収益が悪化しましたが、2024年度実績ではグループ売上高・各段階利益が前期比で大幅に改善し、中計初年度の目標を上回る成果を達成、収益回復が鮮明になっています。

② 今後の期待値はどこにあるか

期待の中心は、建設需要の堅調さと、利益率の改善です。再開発・都市開発、データセンター建設、半導体工場、物流施設、防災・国土強靱化関連など、大型建設プロジェクトの需要は旺盛で、ゼネコン各社の手持ち工事は高水準にあります。資材価格や労務費の上昇分を工事価格に転嫁する動きが進み、採算が改善すれば、営業利益1,200億円という目標達成と利益率の回復が見込まれます。

もう一つの注目は、資本効率と株主還元です。大成建設は「資本コストや株価を意識した経営」を打ち出し、ROE8.5%(2026年度)・将来のROE10%を掲げて低PBR是正に取り組んでいます。保有不動産・政策保有株の見直しや、自己株買いを含む株主還元の強化が進めば、株価の見直し余地があります。安定した建設事業と、開発(不動産)事業の両輪で利益成長を実現できるかが焦点です。

💡 計画の読み方
中計は「2026年度にグループ営業利益1,200億・純利益800億・ROE8.5%程度」が軸で、2030年度以降のROE10%が長期目標です。ゼネコンは工事採算(売上総利益率)が利益を左右するため、資材高・労務費の転嫁が進んで国内建築の粗利率が改善しているかを毎期確認することが重要です。
⚠️ 期待値の裏にあるリスク
最大のリスクは、工事採算の悪化です。資材価格・労務費の高騰を工事価格に転嫁しきれない場合、低採算工事が利益を圧迫します。過去には施工不良問題で大型損失が発生した経緯もあり、品質・工程管理リスクは常に残ります。建設需要は景気・金利・公共投資に左右され、人手不足(2024年問題)による工期遅延・コスト増も収益の重しとなり得ます。

四季報・専門メディアから見る現状と評価

株価指標で市場評価を確認すると、大成建設はPER16.0倍・PBR2.54倍・配当利回り2.57%(株価14,785円時点、時価総額約2兆4,127億円)で取引されています。PBRは高めの水準にあり、市場が同社の収益性や成長性に対して一定のプレミアムを織り込んでいることを示します。

会社四季報や専門メディアでは、こうした大成建設の事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。

総じて、現時点の大成建設は、本業の収益力を土台に着実に企業価値を積み上げている局面にあり、株価指標も事業の実態を反映した水準にあると整理できます。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。

※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。

株価指標と需給

現在の主要指標を整理します。配当利回りは2.57%と、東証プライムの平均をやや上回る水準です。

指標数値
株価14,785円
時価総額2兆4,127億円
PER(予想)16.0倍
過去3年平均PER17.99倍
PBR2.54倍
配当利回り2.57%
信用倍率8.90倍
発行済株式数163,185,872株

適正株価の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ

ここからは、現在の株価14,785円に対して、いくつかの前提を置いた「参考値」としての株価レンジを試算します。あくまで一定の仮定に基づく目安であり、将来の株価を保証するものではありません。

方式①:EPS×想定PER法

会社予想EPS926.3円(2027年3月期)を基準に、想定PERを変えて株価を試算します。過去3年の平均PERは約18倍です。

シナリオ想定PER試算株価現値比
弱気13倍12,042円-18.6%
中立16倍14,821円0.2%
強気19倍17,600円19.0%

方式②:PBR法

1株純資産5,816円を基準に、想定PBRを変えて試算した株価です。

シナリオ想定PBR試算株価現値比
弱気2倍11,632円-21.3%
中立2.5倍14,540円-1.7%
強気3倍17,448円18.0%

⚠ 試算にあたっての注意

上記はいずれも「会社予想や過去平均が今後も維持される」と仮定した参考値です。EPSは会社予想を用いており、相場環境・受注動向・資材価格次第で上下します。実際の株価はこのレンジを外れることもあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

投資する際に押さえておきたいリスク

  • 資材・労務費の上昇:鋼材・セメント等の資材高や建設技能者の人手不足が続くと、工事採算が圧迫される可能性があります。
  • 受注の変動:大型案件の受注の有無で業績が振れやすく、公共投資や民間設備投資の動向に左右されます。
  • 工事採算の悪化リスク:過去には大型工事での採算悪化が利益を押し下げた局面もあり、選別受注の徹底が重要です。
  • 金利・景気の影響:金利上昇や景気減速は、不動産開発やマンション需要に影響します。
  • 市況株としての側面:ゼネコン株は景気敏感セクターであり、相場全体の地合いに連動しやすい点に注意が必要です。

指標とニュースの読み方

PER・PBRの見方

PER(株価収益率)は「株価が1株利益の何倍か」、PBR(株価純資産倍率)は「株価が1株純資産の何倍か」を示します。大成建設のPERは約16倍、PBRは約2.5倍で、利益急回復を受けてPBRはゼネコンの中ではやや高めの評価となっています。

チェックすべきポイント

  • 受注高:将来の売上の先行指標。決算説明資料で建築・土木それぞれの受注動向を確認します。
  • 工事利益率:採算改善が続いているかが利益のカギです。
  • 配当方針:増配が続くか、株主還元の姿勢を確認します。

💡 ニュースを読むときの視点

「最高益更新」「増配」といった見出しに反応する前に、それが一過性か継続性のあるものかを見極めることが大切です。建設業では受注残高(手持ち工事)が今後数年の業績を支えるため、受注の質と量に注目すると理解が深まります。

投資スタンスの整理

💡 タイプ別の考え方

配当利回り2.5%超と増配傾向を重視するなら、インカム狙いの中長期保有が一つの選択肢です。一方、利益急回復を織り込んだ後の株価水準には注意が必要で、短期では相場全体の地合いや受注ニュースに左右されやすい点を踏まえる必要があります。いずれにせよ、ご自身のリスク許容度の範囲で位置づけることが重要です。

まとめ

大成建設は、選別受注と採算改善によって2026年3月期に過去最高益・過去最高EPSを達成した総合建設大手です。財務は健全で、増配も続いています。一方で資材高・人手不足という構造的な逆風や、景気敏感セクターとしての株価変動リスクは残ります。本記事の試算はあくまで参考値であり、最新のIR資料・決算short信で前提を確認したうえで、ご自身の判断で投資を検討してください。

⚠ 本記事のスタンス

本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載した株価・指標は2026年6月19日時点(株探調べ)のものであり、適正株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値です。

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⚠ 免責事項

本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。記載した株価・指標等は執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。適正株価や目標株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

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