イチケン(1847)は割安高配当株か?PER7倍・利回り4.66%の商業施設ゼネコンを評価【2026年6月】

イチケン(1847)の株価分析|億り人研究所
目次

イチケン(1847)はどんな会社か

イチケンは、商業施設の建築や内装改装を主体とする中堅ゼネコンです。全国に拠点を持ち、店舗・商業施設の新築から改装、リニューアルまでを一貫して手掛けています。パチンコホール大手マルハングループの一員として知られ、アミューズメント施設や商業店舗の建設に強みを持ちます。

東証スタンダード市場に上場し、時価総額は約391億円と中小型株に位置づけられます。近年は業績が拡大基調にあり、配当も増配が続いています。

💡 まず押さえたいポイント

イチケンは商業施設建築・内装に強い中堅ゼネコンで、PER7倍・PBR1倍割れ・配当利回り4.66%という割安・高配当のバリュー株です。 本記事では株価2,685円、時価総額391億円、PER7.0倍、PBR0.97倍(いずれも2026年6月19日時点・株探調べ)を起点に、業績トレンドと株価水準を整理します。数値は執筆時点のものであり、最新の株価・指標はご自身でご確認ください。

事業の深掘り――商業施設建築と内装改装

① 建築事業――商業施設・店舗の新築

商業施設や店舗、アミューズメント施設などの新築工事を手掛けます。マルハン系という背景もあり、パチンコホールや大型商業施設の建設実績が豊富です。景気や個人消費の動向が受注に影響します。

② 内装・リニューアル事業

既存店舗の改装やリニューアル工事を担います。新築に比べて景気変動の影響を受けにくく、安定した収益源となります。店舗の業態転換やリブランディング需要を取り込んでいます。

③ IR・カジノ関連というテーマ性

統合型リゾート(IR)やカジノ関連の建設テーマ銘柄として位置づけられることがあります。大型施設の建設実績が、こうしたテーマ期待につながっています。

💡 ビジネスモデルの特徴

イチケンの強みは「商業施設・店舗」という特定分野での施工力です。大手ゼネコンが手掛けにくい中規模の商業案件で実績を積み、安定した受注を確保しています。一方で特定分野・特定グループへの依存度が高い点は、裏返せばリスクにもなります。

最新決算(2026年3月期)の要点

2026年3月期の通期実績は、売上高1,062億円(前期比7.2%増)、営業利益90億円(同32.2%増)、最終利益64億円(同37.0%増)と、増収・大幅増益で着地しました。EPSは441.4円と過去最高を更新しています。

項目2025.032026.03前期比
売上高990億円1,062億円+7.2%
営業利益68億円90億円+32.2%
経常利益68億円90億円+32.3%
最終利益47億円64億円+37.0%
EPS322.3円441.4円+36.9%
1株配当70円115円+45円

💡 決算のポイント

増収に加えて利益率が改善し、過去最高益を達成しました。配当も70円から115円へと大幅増配となっています。会社予想では2027年3月期は減益見通しですが、これは保守的な計画である可能性もあり、四半期の進捗で確認したいところです。

業績トレンドの深掘り――長期と四半期

長期業績の推移(過去4期+会社予想)

過去数年の業績を並べると、売上高・各利益とも着実に右肩上がりで、2026年3月期に過去最高益を更新しました。会社は2027年3月期について、売上高1,080億円・最終利益56億円・配当125円を計画しています。

決算期売上高営業益経常益最終益EPS配当
2023.03881億27億26億17億117.7円50円
2024.03964億41億40億29億202.4円55円
2025.03990億68億68億47億322.3円70円
2026.031,062億90億90億64億441.4円115円
予2027.031,080億85億84億56億385.7円125円

四半期業績の推移

直近4四半期を見ると、2025年10-12月期に四半期最高益圏となり、2026年1-3月期もEPS133.9円と高水準を維持しています。利益率も7~10%の範囲で安定しています。

四半期売上高営業益経常益最終益EPS利益率
25.04-06222億16億16億11億76.8円7.4%
25.07-09270億21億21億14億97.1円7.7%
25.10-12287億28億28億19億133.6円9.9%
26.01-03283億25億24億19億133.9円8.7%

⚠ 四半期の見方の注意

四半期業績は季節要因や一時的な要因で振れやすいため、単一四半期の数字だけで判断せず、通期計画に対する進捗と前年同期比のトレンドで評価することが大切です。

財務とキャッシュフロー

2026年3月期末の1株純資産(BPS)は5,511円、自己資本比率は53.7%、有利子負債倍率は0.15倍と、財務は健全です。株価2,685円に対してBPSが5,511円なので、PBRは1倍を下回っています。

項目数値
1株純資産(BPS)5,510.68円
自己資本比率53.7%
自己資本400億円
有利子負債倍率0.15倍
営業CF(26.03)-32億円
投資CF(26.03)-3億円
財務CF(26.03)-17億円
現金等残高147億円

💡 キャッシュフローの読み方

2026年3月期は営業CFがマイナスとなりましたが、これは工事の進行に伴う運転資金の増減によるものと考えられます。建設業は工事代金の回収タイミングで営業CFが大きく振れるため、単年度のマイナスだけで過度に懸念する必要はありません。現金残高は147億円と厚めです。

中期経営計画から読み解く現在地と未来予測

① 中期経営計画(2026-2028)の数値目標

イチケンは、商業施設・物流施設などを得意とする中堅ゼネコン(建設業、スタンダード市場)です。長期経営計画「ビジョン2035」のもと、新たに「中期経営計画(2026-2028)」を策定しました。期間中に達成すべき目標として、売上高1,100億円、営業利益率7%以上、ROE10%以上、配当性向40%程度(またはDOE4%程度)を掲げ、投資計画100億円を見込んでいます。前中期経営計画(2023-2025年度)でROE目標8%以上を達成したことを踏まえ、新中計では目標を10%以上へ引き上げました。

長期の「ビジョン2035」では、2035年度に売上高1,500億円、営業利益率7%以上、ROE10%以上、配当性向40〜45%程度を掲げ、投資総額400億円を計画しています。直近のFY2026(2026年3月期)実績は、売上高1,061億円・営業利益90億円と大幅増益を達成し、ROEは約9.5%、年間配当も230円へ大幅増配するなど、中計目標に対してすでに強いスタートを切っています。増加基調にある営業利益を基盤に、株主還元と成長投資の両立を進める方針です。

② 今後の期待値はどこにあるか

期待の中心は、商業建築・物流施設の建設需要と、高水準の株主還元です。イチケンは商業施設・物流倉庫・生産施設などの設計施工を強みとし、EC拡大に伴う物流施設投資や、再開発・店舗建て替え需要を取り込んでいます。営業利益率7%以上という中堅ゼネコンとしては高めの採算を維持できれば、売上1,100億円・ROE10%以上という目標達成に近づきます。配当性向40%程度・DOE4%という明確な還元方針は、インカム面での魅力です。

もう一つの注目は、目標に対する進捗の早さです。FY2026ですでに売上1,061億円・営業利益90億円・ROE約9.5%と、中計目標の水準に肉薄しており、増配も実施しています。このペースが続けば、中計の上方修正や還元のさらなる強化も視野に入ります。財務の健全性(自己資本比率50%以上)を保ちながら、利益成長と株主還元を両立できるかが、株価評価の鍵となります。

💡 計画の読み方
中計は「期間中に売上高1,100億・営業利益率7%以上・ROE10%以上・配当性向40%程度」が軸で、長期ビジョン2035では売上1,500億・ROE10%以上を掲げます。前中計のROE8%目標を達成して10%に引き上げた経緯があり、足元の実績(ROE約9.5%)も目標に近い水準です。営業利益率7%を維持できるかが着目点です。
⚠️ 期待値の裏にあるリスク
最大のリスクは、建設工事の採算悪化です。資材価格・労務費の高騰を工事価格に転嫁できなければ、営業利益率7%の維持は難しくなります。中堅ゼネコンは大型案件への依存度が高く、特定プロジェクトの採算悪化や工期遅延が業績を大きく左右します。建設需要は景気・金利・設備投資動向に連動し、人手不足による工期・コスト増も収益の重しとなり得ます。

四季報・専門メディアから見る現状と評価

株価指標で市場評価を確認すると、イチケンはPER7.0倍・PBR0.97倍・配当利回り4.66%(株価2,685円時点、時価総額約391億円)で取引されています。PBRが1倍を下回っており、利益や資産の水準に対して株価が割安に評価されている可能性がある一方、その割安さの背景(成長性や市況への警戒)を見極める必要があります。

会社四季報や専門メディアでは、こうしたイチケンの事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。

総じて、現時点のイチケンは、本業の収益力を土台に着実に企業価値を積み上げている局面にあり、株価指標も事業の実態を反映した水準にあると整理できます。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。

※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。

株価指標と需給

現在の主要指標を整理します。PER7倍・PBR1倍割れ・配当利回り4.66%と、典型的な割安・高配当のバリュー株の指標です。一方で信用倍率は551倍と買い長に大きく傾いており、需給面では注意が必要です。

指標数値
株価2,685円
時価総額391億円
PER(予想)7.0倍
過去3年平均PER6.76倍
PBR0.97倍
配当利回り4.66%
信用倍率551倍
発行済株式数14,568,800株

適正株価の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ

ここからは、現在の株価2,685円に対して、いくつかの前提を置いた「参考値」としての株価レンジを試算します。あくまで一定の仮定に基づく目安であり、将来の株価を保証するものではありません。

方式①:EPS×想定PER法

会社予想EPS385.7円(2027年3月期)を基準に、想定PERを変えて株価を試算します。過去3年の平均PERは約6.76倍です。

シナリオ想定PER試算株価現値比
弱気5倍1,929円-28.2%
中立7倍2,700円0.6%
強気9倍3,471円29.3%

方式②:PBR法

1株純資産5,510.68円を基準に、想定PBRを変えて試算した株価です。

シナリオ想定PBR試算株価現値比
弱気0.8倍4,409円64.2%
中立1倍5,511円105.3%
強気1.2倍6,613円146.3%

⚠ 試算にあたっての注意

上記はいずれも「会社予想や過去平均が今後も維持される」と仮定した参考値です。EPSは会社予想を用いており、相場環境・業績動向次第で上下します。実際の株価はこのレンジを外れることもあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

投資する際に押さえておきたいリスク

  • 特定グループ・分野への依存:マルハン系および商業施設分野への依存度が高く、グループや業界の動向に業績が左右されます。
  • 個人消費・景気の影響:商業施設の建設・改装需要は個人消費や景気に連動します。
  • 資材・労務費の上昇:建設コストの上昇が工事採算を圧迫する可能性があります。
  • 需給の偏り:信用買い残が積み上がっており、株価が重くなる場面も想定されます。
  • 流動性の低さ:中小型株のため売買が薄く、株価が振れやすい点に注意が必要です。

指標とニュースの読み方

PER・PBRの見方

イチケンのPERは約7倍と市場平均を大きく下回り、PBRは0.97倍と解散価値を下回る水準です。利益成長と高配当を考えると割安感のある指標ですが、中小型株ゆえの流動性リスクや成長の持続性も加味して評価する必要があります。

チェックすべきポイント

  • 受注高:将来の売上を左右する先行指標。商業施設・改装の受注動向を確認します。
  • 配当方針:増配が続くか、株主還元の姿勢に注目します。
  • 利益率の推移:採算改善が続いているかが利益の持続性を左右します。

💡 ニュースを読むときの視点

「過去最高益」「大幅増配」といった見出しは魅力的ですが、会社予想が翌期減益となっている点には留意が必要です。中小型のバリュー株は、業績の安定性と還元姿勢を地道に確認することが、長期評価のうえで大切になります。

投資スタンスの整理

💡 タイプ別の考え方

PER7倍・利回り4.66%という割安・高配当に着目するなら、インカム狙いの中長期保有が一つの選択肢です。ただし信用買い残の積み上がりや流動性の低さから、短期的には株価が振れやすい点に注意が必要です。ご自身のリスク許容度の範囲で位置づけることが重要です。

まとめ

イチケンは、商業施設建築・内装に強い中堅ゼネコンで、2026年3月期に過去最高益・過去最高EPSを達成し、大幅増配も実施しました。PER7倍・PBR1倍割れ・利回り4.66%と割安・高配当の指標が魅力です。一方、特定グループ・分野への依存、信用需給の偏り、流動性の低さといったリスクもあります。本記事の試算は参考値であり、最新のIR資料で前提を確認のうえ、ご自身の判断で投資を検討してください。

⚠ 本記事のスタンス

本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載した株価・指標は2026年6月19日時点(株探調べ)のものであり、適正株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値です。

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⚠ 免責事項

本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。記載した株価・指標等は執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。適正株価や目標株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

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