HEROZ(4382)はどんな会社か
「将棋AIの会社」――HEROZ(4382)をそう記憶している人も多いかもしれません。実際、同社は将棋AIで培った深層学習技術を出発点に、いまでは建設・金融・産業といった分野へAIソリューションを提供するAIベンチャーへと成長しています。
2026年4月期は売上高64.2億円・最終利益3.8億円と、前期の赤字から黒字へ転換しました。会社は2027年4月期も増収計画を掲げています。AIブームの追い風を受けるテーマ株でもあります。
ただし、株価728円に対しPERは36.9倍・PBR2.22倍と、将来の成長を強く織り込んだ高めの評価です。利益の絶対額がまだ小さいぶん、株価は期待で大きく振れやすい――本記事では、その実力とリスクを一次情報をもとに株価視点で整理します。
💡 まず押さえたいポイント
HEROZ(4382)は、将棋AIで培った深層学習技術を建設・金融・産業向けに展開するAIベンチャーです。2026年4月期は売上高64.2億円・最終利益3.8億円と黒字を確保し、前期の赤字から回復しました。会社は2027年4月期に売上68.0億円・EPS19.7円を計画しています。株価728円に対しPERは36.9倍・PBR2.22倍と、将来の成長を織り込んだ高めの評価です。本記事では、AIブームの中での同社の実力と、利益規模の小ささからくる株価の振れやすさを整理します。 本記事では株価728円、時価総額111億円、PER36.9倍、PBR2.22倍(いずれも2026年6月19日時点・株探調べ)を起点に、業績トレンドと株価水準を整理します。数値は執筆時点のものであり、最新の株価・指標はご自身でご確認ください。
事業の深掘り――将棋AIから事業AIへ――深層学習技術の社会実装
将棋AIで磨いた深層学習技術
HEROZは、プロ棋士に勝利したことでも知られる将棋AIの開発を通じて、深層学習・強化学習の技術力を蓄積してきました。ゲームAIで培ったアルゴリズムや、限られたデータから最適解を導く技術が、同社の事業AIの基盤となっています。将棋アプリ「将棋ウォーズ」などのコンシューマー向けサービスも運営しています。
建設・金融・産業向けのAIソリューション
同社の収益の柱は、深層学習技術を建設・金融・製造などの業界に応用するAIソリューション事業です。各業界の課題に合わせてAIモデルを開発・提供し、需要予測や異常検知、業務効率化などを支援します。特定の大口顧客・パートナーとの協業が業績に与える影響が大きい点が、現時点での収益構造の特徴です。
生成AI時代における立ち位置
生成AIの普及によりAI市場全体は拡大していますが、同時に大手プラットフォーマーや新興勢との競争も激化しています。HEROZは自社の深層学習技術と業界特化のノウハウを武器に、生成AIも取り込みながら事業領域を広げられるかが問われています。AIテーマの中での差別化が、中長期の成長を左右します。
💡 ビジネスモデルの特徴
💡,「将棋AI」は入口にすぎない,HEROZの本業は将棋ではなく、深層学習技術を建設・金融・産業に応用するAIソリューションです。将棋AIは技術力の証明であり実装の入口で、収益の柱はあくまで事業向けAIにあります。
最新決算(2026年4月期)の要点
2026年4月期は売上高64.2億円(前期比約8%増)、最終利益3.8億円と、前期(最終-1.8億円)の赤字から黒字へ転換しました。AIソリューションの受注拡大が寄与した形です。一方、会社の2027年4月期計画は売上68.0億円と増収ながら、最終利益は3.0億円(EPS19.7円)と微減益見通しで、先行投資フェーズが続くことを示唆しています。利益の絶対額が小さいため、四半期ごとの振れが大きい点には留意が必要です。
💡 決算のポイント
💡,赤字から黒字への転換,2026年4月期は前期の赤字(-1.8億円)から最終益3.8億円へ黒字転換しました。ただし2027年4月期計画は微減益で、先行投資フェーズが続くことを示しています。利益の安定化はこれからの課題です。
業績トレンドの深掘り――長期と四半期
長期業績の推移(過去4期+会社予想)
HEROZの業績は、まだ利益規模が小さく、年度によって黒字・赤字が入れ替わるアーリーステージの収益構造です。2025年4月期は最終-1.8億円の赤字でしたが、2026年4月期は3.8億円の黒字へ回復しました。売上高は60億円規模で着実に伸びている一方、AI人材の採用や研究開発への先行投資が利益を圧迫しやすく、利益の安定性はまだ高くありません。成長企業として、売上の伸びと利益化のバランスを複数年で見ていく必要があります。
四半期業績の推移
四半期では、2025年11月-2026年1月期に最終-0.35億円と小幅赤字となる一方、2026年2-4月期は最終4.25億円と大きく黒字化するなど、利益の振れが目立ちます。これは利益の絶対額が小さいため、案件の計上時期や費用のタイミングで損益が上下しやすいことを反映しています。売上高は四半期15〜17億円規模で安定しており、トップラインの成長トレンド自体は維持されています。
⚠ 四半期の見方の注意
⚠,利益が小さく四半期で赤字も,利益の絶対額が小さいため、四半期では小幅赤字(-0.35億円など)と大幅黒字(4.25億円)が入れ替わります。これは案件計上や費用のタイミングによるもので、単一四半期での判断は禁物です。
財務とキャッシュフロー
2026年4月期の営業キャッシュフローは5.9億円とプラスを確保し、フリーキャッシュフローも6.3億円のプラスです。自己資本比率58.7%・有利子負債倍率0.33倍と財務は健全で、手元現金33.7億円(現金比率39.62%)と、当面の事業継続や先行投資に耐える財務基盤を持っています。無配を継続しており、稼いだ資金は成長投資に振り向ける方針とみられます。
💡 キャッシュフローの読み方
💡,無配でも財務は健全,HEROZは無配で成長投資を優先していますが、自己資本比率58.7%・手元現金33.7億円と財務は健全です。営業CFもプラスで、当面の先行投資を自己資金でまかなえる体力があります。
中期経営計画から読み解く現在地と未来予測
① 中期経営計画の位置づけと足元の業績
HEROZは、将棋AIで培ったディープラーニング技術を起点に、法人向けAIソリューション(AIX事業)を展開するグロース市場の企業です。同社は売上・利益を細かく定めた数値目標型の中期経営計画を前面に出すというより、AI技術を軸とした事業拡大と収益性改善を継続的に進めるテーマ型のスタイルをとっています。BtoB領域のAIソリューション「HEROZ ASK」やシステム開発支援「JOINT」などを成長ドライバーに位置づけています。
足元の業績は大きく改善しています。2026年4月期は売上高64.24億円(前期比8.3%増)、営業利益5.23億円(同70.7%増)、EBITDA10.25億円(同29.2%増)と増収増益で着地しました。粗利率は45.5%とほぼ横ばいながら、販管費率が37.3%へと2.9ポイント改善したことが営業利益の大幅増につながっています。続く2027年4月期は営業利益8億円を計画しており、成長投資(開発・マーケティング)を継続しつつ増益を目指す方針です。
② 今後の期待値はどこにあるか
期待値の中心は、生成AIブームを追い風に、法人向けAIソリューション(AIX事業)の需要をどれだけ取り込めるかにあります。HEROZ ASKの顧客数・売上が順調に増加し、JOINTも好調に推移しているとされ、これらが営業利益の伸びを牽引しています。将棋AIで実証した技術力をブランドに、企業のDX・AI実装ニーズを獲得できれば、売上・利益ともにさらなる成長が見込めます。販管費をコントロールしながら増益を実現している点も、収益性改善の評価ポイントです。
一方で、グロース市場の中小型AI銘柄であるため、業績や株価の変動が大きくなりやすい点に注意が必要です。AI分野は競争が激しく、技術の進化も速いため、継続的な開発投資が欠かせません。投資が先行すれば一時的に利益が圧迫される可能性もあります。投資家としては、AIX事業の売上が計画ペースで伸びているか、販管費率の改善が続いているか、そして2027年4月期の営業利益8億円計画に対する進捗を四半期ごとに確認することが重要です。
HEROZは数値目標型の中計を前面に出さず、AI技術を軸に事業拡大と収益改善を進めるタイプです。2026年4月期は売上64.2億円・営業利益5.2億円(+70.7%)と大幅増益で、販管費率の改善が利益を押し上げました。2027年4月期は営業利益8億円計画。AIX事業の売上拡大と販管費コントロールが続くかが、成長持続の着眼点になります。
グロース市場の中小型AI銘柄であり、業績・株価の振れ幅が大きい点に注意が必要です。AI分野は競争が激しく技術進化も速いため、継続的な開発・マーケティング投資が欠かせず、投資が先行すれば一時的に利益が圧迫される可能性があります。生成AI期待が株価に織り込まれている分、計画未達や成長鈍化が表面化すると反落リスクが高まります。技術力を安定的な収益に転換し続けられるかが課題です。
四季報・専門メディアから見る現状と評価
株価指標で市場評価を確認すると、HEROZはPER36.9倍・PBR2.22倍(株価728円時点、時価総額約111億円)で取引されています。PBRは高めの水準にあり、市場が同社の収益性や成長性に対して一定のプレミアムを織り込んでいることを示します。
会社四季報や専門メディアでは、こうしたHEROZの事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。
総じて、現時点のHEROZは、本業の収益力を土台に着実に企業価値を積み上げている局面にあり、株価指標も事業の実態を反映した水準にあると整理できます。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。
※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。
株価指標と需給
株価728円に対し、会社予想EPS19.7円ベースのPERは36.9倍、PBRは2.22倍です。利益規模が小さいため、PERは将来の成長期待を強く織り込んだ水準にあります。直近で黒字転換を果たしたばかりで、過去には赤字期も含むため、過去平均PERは参考になりません。AIテーマへの市場の期待と、実際の利益成長のギャップが、株価の振れの主因となりやすい銘柄です。
適正株価の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ
ここからは、現在の株価728円に対して、いくつかの前提を置いた「参考値」としての株価レンジを試算します。あくまで一定の仮定に基づく目安であり、将来の株価を保証するものではありません。
方式①:EPS×想定PER法
会社予想EPS19.7円(2027年4月期)を基準に、想定PERを変えて株価を試算します。過去3年の平均PERは約—(赤字期を含み参考外)倍です。
方式②:PBR法
1株純資産327.98円円を基準に、想定PBRを変えて試算した株価です。
⚠ 試算にあたっての注意
上記はいずれも「会社予想や過去平均が今後も維持される」と仮定した参考値です。EPSは会社予想を用いており、相場環境・業績動向次第で上下します。実際の株価はこのレンジを外れることもあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
投資する際に押さえておきたいリスク
- 利益の絶対額が小さく、案件の計上時期や先行投資のタイミングで四半期・通期の損益が大きく振れるアーリーステージの収益構造である点。
- PER36.9倍と成長期待を強く織り込んだ評価のため、成長が鈍化した場合に株価調整が大きくなりやすい点。
- 特定の大口顧客・パートナーへの依存度が高い場合、その動向が業績に大きく影響するリスク。
- 生成AIの普及で競争が激化しており、大手・新興勢との競争で差別化が難しくなる可能性。
指標とニュースの読み方
PER・PBRの見方
HEROZは、会社予想EPS19.7円に対しPER36.9倍と、明確に「成長期待先行型」の評価を受けています。利益の絶対額が小さく振れも大きいため、EPS×PERの一点像で株価の妥当性を測るのは困難です。むしろ、売上の成長率(トップラインが伸び続けるか)、利益化の進捗(先行投資が一段落して利益が積み上がるか)、そしてAIテーマへの市場の期待感という3点を合わせて、リスクの高い成長株として捉えるのが現実的です。
チェックすべきポイント
- 売上高の成長トレンド(トップラインが伸び続けているか)。
- 先行投資フェーズが一段落し、利益が安定的に積み上がってくるか。
- AIソリューションの受注状況と、大口顧客・パートナーとの協業動向。
- PER36.9倍という高い評価に見合う成長を実現できているか。
- 手元現金(33.7億円)と営業キャッシュフローの推移、先行投資の持続性。
💡 ニュースを読むときの視点
⚠,高PERゆえの株価変動リスク,PER36.9倍は将来の成長を強く織り込んだ水準です。AIテーマへの期待が株価を押し上げる一方、成長鈍化や市場のテーマ離れが起きれば、調整も大きくなりやすい点に注意が必要です。
投資スタンスの整理
💡 タイプ別の考え方
HEROZは、AIテーマの代表的な小型成長株のひとつですが、利益規模が小さく振れも大きいため、株価のボラティリティ(変動)は高くなりやすい銘柄です。PER36.9倍という評価は将来の成長を強く織り込んでおり、成長が鈍化すれば調整も大きくなりかねません。事業の進捗(受注・売上の伸びと利益化)を四半期ごとに確認しながら、AIブームの期待値と実績のギャップを冷静に見極める、リスク許容度に応じた位置づけが求められる銘柄です。
まとめ
HEROZ(4382)は、将棋AIで培った深層学習技術を建設・金融・産業向けに展開するAIベンチャーです。2026年4月期は最終益3.8億円と黒字転換し、2027年4月期も売上68.0億円・EPS19.7円を計画しています。株価728円に対しPER36.9倍・PBR2.22倍と、将来の成長を織り込んだ高めの評価です。利益規模が小さく四半期ごとの振れが大きいため、株価のボラティリティは高くなりやすい点に注意が必要です。AIテーマへの市場の期待と、実際の売上成長・利益化の進捗のギャップが、中期の株価を左右する最大の鍵になります。
⚠ 本記事のスタンス
本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載した株価・指標は2026年6月19日時点(株探調べ)のものであり、適正株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値です。
この銘柄を実際に取引するなら、手数料や取扱商品・ツールを比較して自分に合った証券口座を選びましょう。ネット証券は口座開設・維持費は無料で、少額から始められます。
📄 参考・出典
⚠ 免責事項
本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。記載した株価・指標等は執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。適正株価や目標株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

