出光興産(5019)は割安資源株か?PBR0.79倍と全固体電池材料の布石を分析【2026年6月】

出光興産(5019)の株価分析|億り人研究所
目次

出光興産(5019)はどんな会社か

ガソリンスタンドの「apollostation(旧・出光/昭和シェル)」でおなじみの出光興産(5019)は、国内2位の石油元売り企業です。しかし、その事業は燃料油だけにとどまりません。石油化学、潤滑油、機能材料、再生可能エネルギー、さらには全固体電池向けの固体電解質まで――エネルギーと素材の幅広い領域を手がける総合エネルギー企業です。

2026年3月期は最終利益1,719億円と前期から大きく伸びました。一方、会社は2027年3月期の最終益を750億円・EPS62.6円と保守的に見込み、株探上のPERは20.1倍です。株価1,259.5円に対しPBRは0.79倍と1倍を割れ、配当利回りは2.86%です。

市況で利益が大きく振れる石油元売りを、どう評価すればよいのか。本記事では、燃料油という市況連動の主力事業と、エネルギー転換への取り組みを、一次情報をもとに株価視点で整理します。

💡 まず押さえたいポイント

出光興産(5019)は、国内2位の石油元売りで、燃料油を主力としつつ石油化学・潤滑油・再生エネルギー・全固体電池材料まで手がける総合エネルギー企業です。2026年3月期は最終利益1,719億円と前期から大きく伸びました。会社は2027年3月期の最終益を750億円・EPS62.6円と保守的に見込み、PERは20.1倍です。株価1,259.5円に対しPBRは0.79倍と1倍を割れ、配当利回りは2.86%。本記事では、石油市況に左右される収益と、エネルギー転換への取り組みを株価視点で整理します。 本記事では株価1,259.5円、時価総額1兆5,406億円、PER20.1倍、PBR0.79倍(いずれも2026年6月19日時点・株探調べ)を起点に、業績トレンドと株価水準を整理します。数値は執筆時点のものであり、最新の株価・指標はご自身でご確認ください。

事業の深掘り――燃料油を主力に資源・素材・次世代エネルギーへ広がる総合エネルギー

燃料油事業――市況連動だが巨大なキャッシュを生む主力

出光興産の中核は、原油を精製してガソリン・灯油・軽油などを供給する燃料油事業です。原油価格や製品マージン、在庫評価の影響を受けて利益が大きく振れる市況連動型ですが、巨大な販売網と精製能力から安定した売上と多額のキャッシュを生み出します。国内燃料需要は長期的に縮小が見込まれるため、この事業で稼ぐ間に次の柱を育てることが経営課題です。

石油化学・潤滑油・機能材料――収益の多角化

同社は燃料油に加え、石油化学製品や潤滑油、機能材料といった分野も展開しています。これらは燃料油とは異なる需要サイクルを持ち、収益の多角化に寄与しています。特に高機能な潤滑油や機能材料は、市況依存度の高い燃料油に比べて相対的に安定した付加価値を生む分野です。

再生エネルギー・全固体電池材料――エネルギー転換への布石

出光興産は、脱炭素・エネルギー転換を見据え、再生可能エネルギーや、次世代電池として注目される全固体電池向けの固体電解質などの開発に取り組んでいます。特に固体電解質は同社が強みを持つ材料領域で、EVの本命技術とされる全固体電池の普及が進めば、新たな成長エンジンとなる可能性を秘めています。

💡 ビジネスモデルの特徴

💡,燃料で稼ぎ、次世代に投資,出光興産のビジネスモデルは、市況連動の燃料油事業で巨大なキャッシュを稼ぎ、その資金を再生エネルギーや全固体電池材料などへ振り向けるというものです。「現在の現金製造機」と「未来の成長種」を併せ持つ構図として理解できます。

最新決算(2026年3月期)の要点

2026年3月期は売上高8兆1,059億円、最終利益1,719億円と、前期(1,041億円)から大きく増益となりました。在庫評価の影響や石油市況、為替の動きが利益を左右する構造で、四半期ごとの振れも大きいのが特徴です。会社は2027年3月期について売上・経常の予想を未開示としつつ、最終益は750億円(EPS62.6円)と前期から減益を見込んでいます。これは在庫評価益の反動など保守的な前提を置いているとみられます。

項目ENEOSホールディングス(5020)コスモエネルギーホールディングス(5021)前期比
売上高8兆1,059億円前期比 約12%減(原油価格の影響)
最終利益1,719億円前期 1,041億円から大幅増益
会社予想EPS62.6円2027.3期 最終益750億円計画(保守的)
配当36円利回り約2.9%

💡 決算のポイント

⚠,PERは保守的計画が前提,会社予想EPS62.6円は前期実績140.4円から大きく低い保守的な計画です。PER20.1倍はこの慎重な前提によるもので、前期実績ベースのPERは約9倍にとどまります。市況次第で実績は計画と大きくぶれます。

業績トレンドの深掘り――長期と四半期

長期業績の推移(過去4期+会社予想)

出光興産の業績は、原油価格や製品マージン、在庫評価の影響を強く受け、年度ごとの利益振れが大きいのが特徴です。最終利益は2025年3月期1,041億円から2026年3月期1,719億円へ増益となりましたが、会社の2027年3月期計画は750億円と反落見通しです。国内の燃料需要は人口減少やEV化で長期的には縮小が見込まれる一方、当面は安定したキャッシュを生み出す主力事業であり、その資金を次世代エネルギーへの投資に振り向ける構図にあります。

決算期売上高営業益経常益最終益EPS配当
2025.0391,902億1,622億2,148億1,041億77.8円36円
2026.0381,059億2,122億2,296億1,719億140.4円36円
予2027.03—億—億—億750億62.6円36円

四半期業績の推移

四半期では、2025年10-12月期に最終益165億円と落ち込んだ一方、2026年1-3月期は最終益1,193億円と大きく伸びました。これは在庫評価の影響や石油市況の変動によるもので、燃料油事業の利益が四半期ごとに大きく振れることを示しています。こうした市況・在庫要因による振れが大きいため、単一四半期ではなく通期・複数年のトレンドで収益力を捉える必要があります。

四半期売上高営業益経常益最終益EPS利益率
25.07-0919,626億469億490億308億25.2円2.4%
25.10-1221,389億108億197億165億13.5円0.5%
26.01-0321,613億1,755億1,747億1,193億97.5円8.1%

⚠ 四半期の見方の注意

⚠,在庫評価で四半期が大きく振れる,2025年10-12月期の最終165億円から2026年1-3月期の1,193億円まで、四半期利益は在庫評価や市況で大きく振れます。石油元売り特有の変動であり、単一四半期での判断は禁物です。

財務とキャッシュフロー

2026年3月期の営業キャッシュフローは3,924億円と巨額で、石油元売りならではの大きなキャッシュ創出力を示しています。投資キャッシュフローは-2,916億円と、製油所の維持や次世代エネルギーへの投資に充てられ、フリーキャッシュフローは1,008億円のプラスです。自己資本比率36.0%・有利子負債倍率0.71倍と、巨大な事業規模に対し財務は管理された水準にあります。

項目数値
1株純資産(BPS)1,574.46円円
自己資本比率36.0%
自己資本1兆9,181億円
有利子負債倍率0.71倍
営業CF(2026年3月期)3,924億円
投資CF(2026年3月期)-2,916億円
財務CF(2026年3月期)-1,049億円
現金等残高1,571億円

💡 キャッシュフローの読み方

💡,巨額の営業キャッシュフロー,2026年3月期の営業CFは3,924億円と巨額で、石油元売りならではの資金力を示します。この潤沢なキャッシュが、設備投資・次世代投資・配当を支える原資となっています。

中期経営計画から読み解く現在地と未来予測

① 中期経営計画(2026-2030年度)の数値目標

出光興産は、2026年5月12日に新たな「中期経営計画(2026-2030年度)」を発表しました。財務目標(IFRS基準)として、最終年度の2030年度に税前利益3,600億円、ROE13%以上、ROIC7%以上を掲げています。ROEについては2027〜2028年度に12%、2030年度に13%以上という段階的な目標を設定し、株主還元も期間中に強化する方針です。経営環境の不確実性の高まりを踏まえ、事業戦略を「リバランス」し、より実践的なアプローチで「稼ぐ力」を強化することで中長期的な成長を目指すとしています。

前中計(2023-2025年度)では、燃料油や高機能材の増益等により、営業利益+持分法損益やROE目標を達成しました。2年連続で2,000億円超の利益を創出し、ROIC経営の浸透も進むなど、進捗は順調と評価されています。ただし、利益の一部は原油価格変動などの一過性要因による押し上げも含まれており、新中計ではこうした市況依存を抑え、構造的な「稼ぐ力」を高めることが課題となります。出光興産はガソリン販売シェア国内2位の石油元売りで、燃料油に加え高機能材(機能化学品・電子材料)、再生可能エネルギー、次世代エネルギーを展開しています。

② 今後の期待値はどこにあるか

期待の中心は、高機能材(機能化学品・電子材料)事業の成長と、ROIC経営による資本効率の改善です。出光興産は有機EL材料やリチウム電池材料、全固体電池向け固体電解質など、半導体・電池関連の高付加価値分野を抱えており、これらが伸びれば市況依存度の高い燃料油事業を補い、ROE13%・ROIC7%以上という目標達成を後押しします。事業ポートフォリオのリバランスがどこまで進むかが焦点です。

もう一つの注目は、株主還元の強化です。新中計では期間中の還元方針を明確化しており、ROE12〜13%という高い資本効率目標とあわせて、低PBR是正に向けた取り組みが進む余地があります。安定収益の燃料油事業で稼ぎつつ、次世代エネルギー(SAF、アンモニア、CO2フリー水素等)への投資を進め、エネルギートランジション時代の成長像を描けるかが、中長期の企業価値を左右します。

💡 計画の読み方
新中計は「2030年度に税前利益3,600億・ROE13%以上・ROIC7%以上」が軸で、ROEは2027〜2028年度に12%という中間目標も置かれています。前中計の利益には原油市況による一過性の押し上げが含まれたため、市況に左右されない構造的な「稼ぐ力」(高機能材の成長)が伸びているかを毎期確認することが重要です。
⚠️ 期待値の裏にあるリスク
最大のリスクは、原油価格・精製マージンの変動と、国内ガソリン需要の構造的縮小です。在庫評価の影響で会計上の利益は大きく振れ、原油安局面では押し上げ要因が剥落します。EV化・脱炭素が進めば主力の燃料油事業は長期的に縮小し、高機能材や次世代エネルギーの収益化が遅れれば、税前利益3,600億円・ROE13%という目標の達成は難しくなります。

四季報・専門メディアから見る現状と評価

株価指標で市場評価を確認すると、出光興産はPER20.1倍・PBR0.79倍・配当利回り2.86%(株価1,259.5円時点、時価総額約1兆5,406億円)で取引されています。PBRが1倍を下回っており、利益や資産の水準に対して株価が割安に評価されている可能性がある一方、その割安さの背景(成長性や市況への警戒)を見極める必要があります。

会社四季報や専門メディアでは、こうした出光興産の事業基盤・収益構造の強みと、競争環境や市況・コスト面の課題の両面が論点として取り上げられます。本記事の各章で整理してきた強みとリスクは、これら専門媒体の評価軸ともおおむね重なります。投資判断にあたっては、最新の四半期決算で示される利益動向と、会社が示す中期的な方針のアップデートを継続的に確認することが重要です。

総じて、現時点の出光興産は、本業の収益力を土台に着実に企業価値を積み上げている局面にあり、株価指標も事業の実態を反映した水準にあると整理できます。指標の割安・割高だけでなく、事業の競争力と業績トレンドを合わせて見ていくことが、判断の精度を高めるうえで欠かせません。

※本記事の指標・数値は株探(かぶたん)等の公開情報をもとに執筆時点(2026年6月)で整理したものです。会社四季報オンラインおよびFACTA ONLINE等の専門メディアについては公開範囲の情報を参照しており、有料会員限定コンテンツの内容は含みません。最新の数値・評価は各社の最新開示・媒体で必ずご確認ください。

株価指標と需給

株価1,259.5円に対し、会社予想EPS62.6円ベースのPERは20.1倍ですが、これは前期から減益となる保守的な計画を前提とした数値です。前期実績EPS140.4円で見ればPERは約9倍と低くなります。PBRは0.79倍と1倍割れで、配当利回りは2.86%。市況連動で利益が振れるため、PERよりもPBRの割安感と配当を軸に評価されやすい銘柄です。

指標数値
株価1,259.5円
時価総額1兆5,406億円
PER(予想)20.1倍
過去3年平均PER8倍
PBR0.79倍
配当利回り2.86%
信用倍率18.30倍
発行済株式数1,223,217,590株株

適正株価の試算――弱気・中立・強気の3シナリオ

ここからは、現在の株価1,259.5円に対して、いくつかの前提を置いた「参考値」としての株価レンジを試算します。あくまで一定の仮定に基づく目安であり、将来の株価を保証するものではありません。

方式①:EPS×想定PER法

会社予想EPS62.6円(2027年3月期)を基準に、想定PERを変えて株価を試算します。過去3年の平均PERは約8倍です。

シナリオ想定PER試算株価現値比
弱気8倍501円-60.2%
中立14倍876円-30.4%
強気20倍1,252円-0.6%

方式②:PBR法

1株純資産1,574.46円円を基準に、想定PBRを変えて試算した株価です。

シナリオ想定PBR試算株価現値比
弱気0.7倍1,102円-12.5%
中立0.9倍1,417円12.5%
強気1.1倍1,732円37.5%

⚠ 試算にあたっての注意

上記はいずれも「会社予想や過去平均が今後も維持される」と仮定した参考値です。EPSは会社予想を用いており、相場環境・業績動向次第で上下します。実際の株価はこのレンジを外れることもあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

投資する際に押さえておきたいリスク

  • 原油価格・製品マージン・在庫評価・為替の変動により、利益が大きく振れる市況連動の収益構造である点。
  • 国内の燃料需要が人口減少やEV化で長期的に縮小する構造課題を抱える点。
  • 会社が2027年3月期の売上・経常予想を未開示としており、足元の収益力が見えにくい点。
  • 再生エネルギーや全固体電池材料など次世代分野の収益貢献には時間がかかり、当面は燃料油市況に業績が左右される点。

指標とニュースの読み方

PER・PBRの見方

出光興産は、会社予想EPS62.6円が在庫評価益の反動など保守的な前提を含むとみられ、PER20.1倍をそのまま割高と見るのは早計です。前期実績ベースのPERは約9倍と低く、市況次第で大きく変動します。したがって、EPS×PERの一点像よりも、PBR0.79倍という資産面の割安感、約2.9%の配当利回り、そして石油市況とエネルギー転換の進捗という3点を合わせて評価するのが現実的です。

チェックすべきポイント

  • 原油価格・石油製品マージンの動向と、燃料油事業の採算。
  • 会社が2027年3月期の売上・経常予想を開示した際の収益力の方向感。
  • 全固体電池向け固体電解質など次世代材料の開発・事業化の進捗。
  • PBR0.79倍という資産面の割安感と配当利回り2.86%の評価。
  • 営業キャッシュフローの使途(成長投資・株主還元)と財務の健全性。

💡 ニュースを読むときの視点

💡,全固体電池・固体電解質に強み,出光興産は全固体電池向けの固体電解質で技術的な強みを持ちます。全固体電池はEVの本命技術とされ、量産化が進めば同社の素材事業が新たな成長軸となる可能性があります。

投資スタンスの整理

💡 タイプ別の考え方

出光興産は、石油元売りという市況連動の主力事業で大きなキャッシュを生みつつ、そのキャッシュを再生エネルギーや全固体電池材料など次世代分野に振り向けようとしている転換期の総合エネルギー企業です。PBR0.79倍・配当利回り2.9%という指標が下値を支える一方、長期的には国内燃料需要の縮小という構造課題も抱えます。市況による利益の振れを前提に、資産価値と配当を受け取りつつ、エネルギー転換の進捗を見守るスタンスが合う銘柄です。

まとめ

出光興産(5019)は、国内2位の石油元売りで、燃料油を主力に石油化学・潤滑油・再生エネルギー・全固体電池材料まで手がける総合エネルギー企業です。2026年3月期は最終益1,719億円と増益となりましたが、会社の2027年3月期計画は750億円・EPS62.6円と保守的です。株価1,259.5円に対しPBR0.79倍・配当利回り2.86%と資産・インカム面では割安に映る一方、石油市況や在庫評価で利益が大きく振れる点には注意が必要です。安定したキャッシュを次世代エネルギーへどう振り向け、長期の燃料需要縮小に備えるかが、中期の株価を左右する鍵になります。

⚠ 本記事のスタンス

本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載した株価・指標は2026年6月19日時点(株探調べ)のものであり、適正株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値です。

この銘柄を実際に取引するなら、手数料や取扱商品・ツールを比較して自分に合った証券口座を選びましょう。ネット証券は口座開設・維持費は無料で、少額から始められます。

⚠ 免責事項

本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。記載した株価・指標等は執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。適正株価や目標株価に類する記述は一定の前提に基づく参考値であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

投資に役立つサービス(PR)

銘柄分析のあとは、手数料の安いネット証券で実際の取引を。

DMM 株ではじめる!株式取引!

プロが今、注目している銘柄もチェックしておきたい方へ。

株歴50年超のプロが今、買うべきと考える銘柄

個別株とは別に、NISAでコツコツ長期積立をしたい方に。

NISA・つみたてNISAなら ひふみ投信
出光興産(5019)の株価分析|億り人研究所

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次