6月25日に史上最高値72,366円をつけた日経平均が、わずか1カ月あまりで約1.1万円・15%の下落となりました。7月17日に▲2,694円(歴代5位の下げ幅)、7月28日に▲2,566円(4.0%)の暴落、そして7月29日は一時6万円トビ台まで売られて終値61,434円。「これはどこまで下がるのか」「どこで底を打つのか」──いま最も検索されている問いに、Web上の分析・報道を横断して答えを整理します。
✅ この記事でわかること
- 今回の下落の5つの要因(主因はAI投資の持続性への疑念)
- 実は「全面リスクオフではない」ことを示す3つの証拠
- チャートと需給から導く底打ち想定ゾーン(59,000〜61,500円)の根拠
- 強気・中立・弱気の3つの底打ちシナリオと、反転を告げる先行シグナル
この記事は2026年7月30日時点の情報に基づいています。相場は日々変動します。数値の出典・取得日は記事末尾をご確認ください。
まず座標を確認する──これは「▲15%の本格調整」
時系列を整理します。日経平均は6月25日に史上最高値72,366円を記録。その後、7月17日に▲2,694円という歴代5位の急落が発生し、値がさのAI・半導体関連には信用取引の投げ売りを巻き込んだ下げが出ました。7月28日には再び▲2,566円(4.0%)の暴落で終値62,364円(日本経済新聞)。翌29日も朝方の自律反発は続かず、一時1,900円超安の60,449円まで売られ、終値61,434円(▲931円)と約2カ月ぶりの安値で引けています。
高値からの下落率は約15%。今年3月の中東ショック(10日間で6,000円超の下げ)を上回る調整幅であり、「押し目」ではなく本格調整と呼ぶべき局面です。ただし後述するとおり、下げの中身を見ると悲観一色ではありません。
下落の要因を5つに整理する──主犯は「AI投資への疑念」
Web上の市況解説・アナリストレポートを横断すると、要因は5つに集約できます。
要因①:AI投資の持続性への疑念(主因)
大手格付け会社フィッチが「AIへの大規模投資が主要な信用リスクになり得る」と警告し、世界のハイテク株に売り圧力がかかりました(財経新聞)。象徴的なのは、米半導体大手が市場予想を上回る好決算(データセンター・AI部門の大幅増収)を発表したにもかかわらず大きく売られたこと。「良い決算に反応しない」=期待の織り込みが過剰だったことが、数字で確認された形です。
要因②:中国勢の参入報道と「最高益でも期待未達」の連鎖
7月28日の暴落の直接の引き金は、中国の政府系企業が半導体製造の中核装置(液浸型DUV露光装置)の製造を開始したとの報道でした(みんかぶ・フィスコ)。中国勢の参入による競争激化への警戒が米国の装置株安→東京の値がさ半導体売りへと連鎖。さらに韓国の半導体大手の決算が市場の高すぎる期待を満たせず、日経平均と連動性の高い韓国KOSPIの急落がセンチメント悪化に拍車をかけました。
要因③:バリュエーションと「集中」の過熱
日経平均の予想PERは一時24倍超と2023年以降の最高水準に接近し、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は過去最高圏へ。少数の値がさAI株に上昇が極端に集中していたため、その巻き戻しが指数を大きく揺らす構造になっていました。
要因④:信用・レバレッジの強制整理
7月17日の歴代5位の急落は、高値圏で膨らんだ信用買いの投げ売りが下げを増幅した典型例です。裏を返せば、この投げによって需給の膿はかなり出たと評価できます。
要因⑤:テクニカル・需給・突発要因の複合
米SOX指数(半導体株指数)の75日線割れと4日続落、8月SQを睨んだ値がさ株への売り仕掛け、さらに7月29日には熊本県で最大震度7の地震が発生し、製造業のサプライチェーンリスクが意識されたことも下げを助長しました。
重要な事実──これは「全面リスクオフ」ではない
ここが今回の調整を読み解く最大のポイントです。証拠は3つあります。
証拠①:米国株は上がっている。日経平均が暴落した7月28日、NYダウは+537ドルと3日続伸。世界のマネーが株式市場から逃げているのではなく、AI関連から他へ回転しているだけです。
証拠②:東京市場の中でも半分以上は上がっている。指数が931円下げた7月29日、東証プライムの値上がり銘柄数は1,000を超えました。指数を押し下げたのは値がさのAI・半導体関連に集中しており、自動車・通信・小売など内需系には資金が向かっています。
証拠③:企業業績そのものは強い。そして7月29日、この「AI投資疑念」への実績による反証第一号が出ました。半導体テスト装置大手のアドバンテスト(6857)が発表した第1四半期決算は、売上・利益とも四半期過去最高。さらに通期純利益予想を4,655億円から6,600億円へ+41.8%の大幅上方修正し、市場コンセンサスを約3割も上回りました。理由は「推論用AI半導体向けテスト需要が想定を大きく上回る」──AI投資は減速どころか、想定を超えて拡大していることを、当事者の実数が示したのです。株価が急落した直後の悲観の中でこの数字が出た意味は大きく、「期待とレバレッジの調整」と「業績の悪化」は別物だと確認できます。
📌 ここまでの要点
- 下げの主因はAI投資への疑念×高すぎた期待×信用整理の複合。業績悪化ではない
- マネーは市場から逃げておらず、内需・非AIへ回転している
- アドバンテストの+41.8%上方修正が「AI投資は拡大中」という実績の反証を提示
底打ちの「物差し」──なぜ59,000〜61,500円がゾーンなのか
底の水準を考えるとき、複数の物差しが同じ場所を指しているかを見ます。現在、以下の節目が狭いレンジに集中しています。
| 物差し | 水準 | 意味 |
|---|---|---|
| 100日移動平均線 | 約61,900円 | 中期トレンドの生命線。7/29はザラ場で割れて引けで回復を試す攻防(外為どっとコム) |
| 心理的節目 | 60,000円 | 7/29ザラ場安値60,449円が目前まで接近済み |
| 3月安値→6月高値の2/3押し | 約59,000円 | 半値押しは既に下抜けており、次のフィボナッチ的節目 |
3つの物差しが59,000〜61,500円の狭いゾーンに収束しています。テクニカル分析で「複数の根拠が重なる価格帯は機能しやすい」のは、多くの市場参加者が同じ水準を意識して注文を置くからです。夏休みの薄商いでは一時的なオーバーシュート(瞬間的な6万円割れや59,000円割れ)が起きやすい点は織り込んでおくべきですが、終値ベースの防衛ラインとしてはこのゾーンが本命と考えます。
底打ちの3シナリオ──メインは「8月前半・60,000円±」
シナリオA(メイン):8月前半、60,000円前後で底値圏を形成
想定ゾーン内でもみ合いながら、①今週〜来週の米大手テック決算がAI設備投資の継続を確認、②国内決算シーズンでアドバンテスト型の「実績による反証」が積み上がる、③8月中旬のSQ通過で先物の売り仕掛けが期限切れ──という3段階で売り圧力が沈静化していく展開です。悪材料が「疑念」で、反証が「実績」である以上、決算が出るほど疑念側が不利になる構図が、このシナリオの根拠です。
シナリオB(浅め):実は7月29〜30日が大勢の底
アドバンテストの大幅上方修正を皮切りに、悲観の中で迎えた決算シーズンが次々と好実績を示し、アク抜けが前倒しで進むケース。7月29日に値上がり1,000銘柄超・後場下げ渋りという「売り一巡」のサインが既に出ていたことは、このシナリオを支持する材料です。
シナリオC(深押し):55,000円方向への調整延長
唯一の本物のトリガーは、米大手テックの決算でAI設備投資の減速が実際に示唆されることです。その場合はフィッチの警告が「正しかった」ことになり、疑念が事実へ格上げされて59,000円を割れ、55,000円方向(昨年末時点で各社が想定していたメインシナリオ水準)までの調整があり得ます。大手証券の年末下振れシナリオはさらに下の40,000円台後半を置きますが、これは「AI投資の失速+景気減速」が同時に起こる極端ケースです。
| シナリオ | 底値の目安 | 時期 | 鍵となる条件 |
|---|---|---|---|
| A(メイン) | 60,000円± | 8月前半〜SQ前後 | 米テック決算でAI投資継続確認+国内好決算の積み上げ+SQ通過 |
| B(浅め) | 7/29安値 60,449円 | 既に通過 | 好決算へのアク抜けが前倒しで進行 |
| C(深押し) | 55,000円方向 | 秋口まで長期化 | 米大手テックがAI設備投資の減速を実際に示唆した場合のみ |
当サイトの見立てと、底打ちを告げる「先行シグナル」
あくまで個人の見立てとして明示した上で書くと、確度はA>B>Cの順で見ています。理由はシンプルで、今回の下げの主因が業績悪化ではなく「期待値とレバレッジの調整」だからです。当事者企業の実績(アドバンテストの+41.8%上方修正)はむしろ加速を示し、歴代5位の投げで信用整理は相当進み、資金は市場外へ逃げずに内需へ回転している。3月の中東ショック(▲11%)からV字回復した前例も、ファンダメンタルズが無傷の調整は戻りが速いことを示しています。
そして、底打ちを最も早く教えてくれるシグナルはチャートではありません。「良い決算に、株価が買いで反応し始める日」です。いまの市場は好決算すら売る状態にあり、これは期待調整の最終局面で繰り返し観測されてきた現象です。決算への反応がプラスに転じた瞬間が、期待の水準訂正の完了=調整の終わりを意味します。8月上旬〜中旬の決算ラッシュで、各社の発表翌日の株価反応を観察してください。それが答え合わせになります。
最後にリスク管理の視点をひとつ。シナリオCのトリガー(米大手テックの設備投資減速)は「起きたかどうか」がニュースで明確に判定できるタイプの条件です。つまり、曖昧な不安で狼狽する必要はなく、その報道が出るまではA/Bのレールを前提に、出たらCへ計画的に切り替える──条件分岐をあらかじめ決めておくことが、この局面での最良の防御だと考えます。
📰 この話題の関連報道(各メディアの記事へ)
- 日本経済新聞:「AIツルハシ銘柄」に売り アジアで半導体株安、日経平均2566円下げ(7/28)
- 日本経済新聞:日経平均株価6万2000円下回る 一時3000円超安、半導体株売られる(7/28)
- Bloomberg:日経平均4%超安、巨額投資や中国勢参入への懸念でAI・半導体関連売り(7/28)
- みんかぶ(フィスコ):日経平均は大幅反落、半導体競争激化懸念で値がさ株が急落(7/28)
- 財経新聞(フィスコ):日経平均は大幅続落、AI投資リスク警告で半導体関連株売り継続(7/29)
- 株探:日経平均大引け|大幅続落、韓国株安で半導体関連の一角が下落(7/29)
- ゴールドオンライン:7月29日の国内株式市場概況(930円安の詳細・寄与度ランキング)
- 外為どっとコム:日経平均テクニカル分析─史上最高値からの下落トレンド続く(7/29)
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データ・出典
- 指数関連:7月29日の日経平均:始値62,734.68円・高値63,138.04円・安値60,448.90円・終値61,434.19円(▲930.73円/▲1.49%)、値上がり1,000銘柄超・後場下げ渋り、売買代金13.1兆円、SOX指数4日続落・KOSPI急落・熊本の震度7地震によるサプライチェーンリスクの意識(出所:株探「日経平均大引け」2026年7月29日)/7月28日は▲2,566円(4.0%)の終値62,364円・6月25日高値72,366円からの下げ幅1万円超(出所:日本経済新聞 2026年7月28日)・NYダウ+537ドル(出所:ゴールドオンライン・時事通信)/中国政府系企業の液浸型DUV露光装置製造開始報道が7月28日の売りの引き金(出所:みんかぶ掲載フィスコ市況 2026年7月28日)/一時1,900円超安・約2カ月ぶり61,000円割れの場面(出所:ゴールドオンライン)
- テクニカル:75日移動平均線64,598円・100日移動平均線61,862円(いずれも2026年7月28日時点、出所:外為どっとコム マネ育チャンネル テクニカル分析)
- 下落要因・シナリオの参照元:史上最高値72,366円(6月25日)・7月17日の▲2,694円(歴代5位)・信用の投げ・フィッチのAI投資信用リスク警告・米半導体大手の好決算売り・韓国半導体大手の決算失望・予想PER24倍超とNT倍率過去最高・大手証券の年末見通し(メイン68,000円/下振れ48,000円)等は、日本経済新聞・日経ヴェリタス・みんかぶ・ダイヤモンド・オンライン・ザイ・野村證券ストラテジーレポート等、2026年7月下旬の各種報道・公開分析の整理に基づきます
- アドバンテスト決算:2027年3月期 第1四半期(2026年7月29日発表):売上3,675億円(+39.3%)・営業利益1,900億円(+53.3%)・純利益1,747億円(+93.8%)で四半期過去最高、通期純利益予想を4,655億円→6,600億円へ+41.8%上方修正(増益率+75.8%)、QUICKコンセンサス約5,116億円を約29%上回る。理由は推論用AI半導体向けテスト需要の想定超(出所:株探決算速報)
⚠️ 免責事項(必ずお読みください)
本記事は情報提供を目的とした個人の分析・見解です。「底打ち想定ゾーン」や各シナリオは執筆時点の公開情報に基づく推測であり、実現を保証するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任でお願いします。特定銘柄・指数の売買を推奨するものではありません。

