米国では、バイデン政権が中国の海運、物流、造船業界に対して不公正な政策や慣行を通じて世界市場での支配を強めていると結論づけたことが報じられています。
米国、中国の造船業支配に対抗措置を検討
昨夜、ロイターから以下のニュースが報じられました。

米国通商代表部(USTR)は、全米鉄鋼労働組合(USW)など5つの労組の要請を受け、2024年4月に通商法301条に基づく調査を開始しました。
調査の結果、中国が以下の手段を用いて自国の造船・海運業界を優位に立たせていると指摘されています。
- 政府による資金援助
- 外国企業への市場参入障壁
- 技術移転の強制
- 知的財産の窃盗
- 調達政策
さらに、中国が海事、造船、物流部門で労働コストを人為的に抑制していることも指摘されています。
データによれば、1500億ドル規模の世界造船業界における中国のシェアは、2000年の約5%から2023年には50%以上に拡大しており、これは主に政府補助金の影響とされています。
USTRは今週中に報告書を発表する予定であり、米労組が求める中国製船舶への関税や港湾使用料の賦課に道が開かれる可能性があります。
1980年代初頭、米国には300以上の造船所が存在しましたが、現在は20にまで減少しています。専門家によれば、民生用・軍用ともに造船需要は旺盛で増加傾向にあるとされています。
一方、中国商務部は、米国の調査開始に対し「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、米国の申請は事実無根であり、経済常識に反すると批判しています。
米国の報道では、今回の調査結果が発表されれば、中国製船舶への関税や港湾使用料の賦課などの措置が検討される可能性があると伝えられています。
専門家の意見
専門家の意見としては、以下のような見解が報じられています:
1. 中国の政府補助金の影響
- 専門家は、中国の政府補助金が自国の造船業界を急速に成長させ、グローバル市場における競争優位性を不当に高めていると指摘しています。
- 具体的には、中国が補助金を通じて市場価格を引き下げ、他国の造船業界を圧迫しているとの批判が強まっています。
2. 米国の産業衰退
- 1980年代に300以上あった米国の造船所が、現在では20にまで減少している背景には、中国との競争の激化があるとされています。
- 専門家は、米国がこの分野での自給自足を取り戻すには、政策的な支援と産業基盤の再構築が必要だと述べています。
3. 国家安全保障の観点
- 一部の専門家は、造船業の衰退が米国の国家安全保障にリスクをもたらしていると警鐘を鳴らしています。
- 特に軍用船の建造能力が縮小することで、米国の軍事的優位性や海洋支配力が低下する可能性を懸念しています。
4. 自由貿易と市場原理への影響
- 一方で、自由貿易を支持する一部の専門家は、米国が貿易制裁や関税の導入を進めることが、世界的な供給チェーンに悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。
- また、中国との対立をさらに深めることが、他の貿易分野にも波及するリスクを懸念しています。
5. 労働力と技術移転問題
- 専門家は、中国が労働力コストを人為的に抑えることで、不公正な価格競争を引き起こしていると批判しています。
- さらに、技術移転の強制や知的財産権の侵害が、他国の競争力を損なう一因となっているとの見解も示されています。
6. 対策案への期待
- 一部の専門家は、今回の報告を機に、米国政府が造船業界を支援するための具体的な政策(補助金、税制優遇措置など)を打ち出すべきだと提案しています。
- また、関税や港湾使用料の導入は、米国の産業を保護する一助になるとの意見もあります。
まとめ
全体的に、専門家の間では、中国の市場支配が不公正であるとの認識が広がっている一方で、米国がどのようにしてこの問題に対応するかについては、政策的なバランスの取り方に議論の余地があるとされています。
今週末にはトランプ大統領の就任式がありますが、この流れは次期政権にも受け継がれると思われます。造船業界の今後について更に注目が高まります。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。