トレード日記:2024/12/26(木)トランプ大統領就任で懸念される経済的変動及び、恩恵を受けるセクター、ダメージを受けるセクターに関するまとめ

ドナルド・トランプ氏が2017年1月に米国大統領に就任した後、実際に生じた・あるいは懸念された主な経済リスク、およびそれらが日本のマーケットに与えうる影響、さらに恩恵を受けやすいセクターとダメージを受けやすいセクターについて整理します。


目次

トランプ政権下で警戒すべき主な経済的リスク

1. 保護主義的な貿易政策(貿易戦争の激化)

トランプ氏は大統領就任前から「米国第一主義(America First)」を掲げ、保護主義的な政策を強く打ち出しました。その中核が関税の引き上げや厳しい通商交渉であり、いわゆる「貿易戦争」を引き起こす要因となりました。

  • 懸念点
    • 中国やメキシコなど、米国に対して貿易黒字の大きい国との貿易摩擦激化
    • 対中関税の引き上げを中心とした米中貿易戦争
    • 通商交渉で日本企業(自動車など)への圧力増大

これらは世界経済全体に波及するリスクをはらんでおり、輸出依存度の高い日本の製造業にも影響が及ぶ可能性があります。

2. 企業減税・インフラ投資拡大などの財政政策

就任当初からトランプ氏は、大規模な減税やインフラ投資の拡大などを掲げていました。減税は企業収益を押し上げる要素となる一方、財政赤字の拡大を招き、長期金利の上昇やドル高要因ともなるため、金融市場に混乱をもたらす可能性がありました。

  • 懸念点
    • 財政赤字の増大 → 長期金利の上昇 → 株式市場の不安定化
    • 米国への投資資金流入によるドル高圧力 → 新興国通貨の下落・世界的な資金の逆流

日本企業にとっては、米国での金利上昇やドル高が輸出にプラスに働く一方、世界市場が不安定化すれば株価下落や為替変動が生じやすくなるというリスクも内包していました。

3. 通貨政策・為替相場変動

トランプ氏は為替相場に対してもしばしば発言しており、ドル安を誘導するような発言も見られました。場合によっては“日本は円安を誘導している”と批判されることもあり、日本の通貨政策や円相場に影響を与え得るリスクがありました。

4. 移民政策・地政学リスク

  • 移民政策の変化
    トランプ政権下で移民規制が強化され、労働力不足や企業の生産コスト増加などの影響が懸念されました。米国経済の成長力が鈍化すれば、結果として世界経済・日本のマーケットもネガティブな影響を受ける可能性がありました。
  • 北朝鮮や中東地域への対応
    軍事的緊張の高まりによる地政学リスクは、金融市場の不安定要因となりえます。特にリスク回避が強まると円高が進行しやすいという特徴があるため、日本企業の輸出採算には大きな影響を与えます。

日本のマーケットへの影響が大きい可能性がある事柄

  1. 米中貿易戦争の長期化
    • 日本の輸出企業は中国や米国への輸出依存度が高いため、米中両国の貿易摩擦が長期化すると部品や素材の需要が落ち込み、生産チェーンに影響が及ぶ。
  2. 米国の大規模減税・インフラ投資政策
    • 米国の経済成長が一時的に加速する可能性がある反面、インフレや金利上昇リスクが高まり、世界的な資金フローが変動しやすくなる。日本円の急激な円高・円安の振れ幅増大に注意が必要。
  3. ドル高・ドル安の大きな振れ
    • 日本にとっては円相場が急に動くと、企業収益構造や株式マーケットのボラティリティが高まる。急激な円高は輸出企業にとってマイナス要素。
  4. 対日貿易圧力(自動車、農産品など)
    • 自動車分野などで、関税の見直し・数量規制など日本への圧力が強まる可能性。実際には米国で現地生産している大手日系メーカーも多いため、状況は複雑だが、リスク要因として常に警戒が必要。
  5. 地政学リスクによる急激なリスク回避
    • 中東・北朝鮮情勢などが緊迫化すると投資家が安全資産として円を買い(円高圧力)、日本株が売られるリスクがある。

恩恵を受けやすいセクター

  1. 防衛関連セクター
    • トランプ政権下で軍事費が拡大する傾向がみられたため、防衛関連企業(米国への部品・技術供給など)は恩恵を受けやすい。
  2. 建設・インフラ関連セクター
    • インフラ投資拡大(道路・空港など)政策が打ち出されれば、米国内で事業展開しているゼネコン、建設機械、資材関連などがプラス影響を受ける。
  3. 金融セクター
    • 金利上昇が起こると、銀行や保険などの金融関連企業は貸出利ざやの拡大などによって業績が改善しやすい。米国に大きな事業を持つ日本のメガバンク等もプラス。
  4. エネルギー・シェール産業関連
    • トランプ政権は化石燃料の開発を後押しし、シェールオイル・ガス産業の成長を支援する姿勢が強かった。その波及で、エネルギー設備関連や資材関連の企業は恩恵を受けやすい。
  5. 一部の輸出企業(ドル高が進んだ場合)
    • もし米国の減税や景気拡大によってドル高が進行した場合、為替差益により収益が増える可能性のある大手メーカー(自動車、電子部品など)は恩恵を受ける可能性がある。

ダメージを受けやすいセクター

  1. 自動車業界(特に米国への依存度が高い場合)
    • トランプ氏が“自動車関税”などを含む保護主義的政策を声高に主張したことから、米国へ輸出している日系自動車メーカーには不透明感が強まる。現地生産比率が高い企業は影響が限定的だが、サプライチェーン全体としてリスクは残る。
  2. ハイテク・電機メーカー(米中対立の煽り)
    • 米国の制裁関税により、中国経由のサプライチェーンが混乱すると、部品・素材を中国で生産している日本企業もコスト増や販売減少の影響を受ける。特に半導体関連の輸出規制などが強化されると打撃を受ける可能性がある。
  3. 農産品関連(保護主義的圧力)
    • TPP離脱や各国との二国間交渉が進む中、米国側から農産品分野での譲歩を求められると、日本の農業にも影響が出るリスクがある。
  4. 輸入原材料を多く使う企業(ドル高進行の場合)
    • ドル高が進むと、輸入コストが上昇し、利益が圧迫される可能性がある。特に原油や天然ガスなどを米国から調達している企業は為替動向を注意する必要がある。
  5. 観光関連(移民・渡航制限等の影響)
    • トランプ政権下で移民・入国管理を厳格化する動きがあり、国際的な旅行需要が低下するリスクも考えられる。米国への旅行需要が減れば、航空会社や旅行会社にも波及する場合がある。

まとめ

  • 警戒すべきリスクのポイント
    • 米中貿易戦争や保護主義の高まりによるサプライチェーン混乱
    • 大規模減税・インフラ投資と財政赤字拡大による金利・為替の急変動
    • 地政学リスクが高まった際の急激なリスク回避(円高・株安)
  • 日本市場へのインパクト
    • 貿易摩擦が激化すれば輸出依存型の製造業が打撃を受ける可能性が大きい
    • 米国での投資拡大・景気拡大が続けば一部セクター(金融、防衛、インフラ関連など)は恩恵を受けやすい
    • ただし、米国金利の上昇による世界的な資金の流れの変化、または為替相場の乱高下が生じた場合、日本の株式市場も大きく揺さぶられるリスクがある

トランプ政権下の政策は企業にとってプラスに働く部分(減税やインフラ投資など)とマイナスに働く部分(関税引き上げや通商圧力など)が混在していました。グローバル経済の一翼を担う日本企業にとっては、常に保護主義の動向と地政学リスクを注視し、為替レートと金利動向への警戒が不可欠と言えます。






★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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