2025年3月3日にリリース予定のドリコム社の位置情報ゲーム『ディズニーステップ(Disney STEP)』に関して、成功と失敗の要因や売上規模の予想をAIも使ってリサーチしてみました。
ポケモンGOやドラクエウォークといった有名タイトルとの比較や、世界的な位置ゲームの成功事例・失敗事例を踏まえながら、初速から3年後までの売上予測もシミュレーションしています。
1.位置情報ゲーム市場の成功・失敗事例
位置情報ゲーム(以下、位置ゲー)は、現実世界とゲームが融合する魅力的なジャンルですが、その一方で「一部のタイトルが突出して成功し、多数が埋もれる」という厳しい市場でもあります。まずは代表的な成功事例と失敗事例、それぞれの背景を見ていきましょう。
1.1 大成功したタイトルの特徴
ポケモンGO
- 世界累計売上:80億ドル近く(約8年間)
- 初月売上:2億ドル以上と当時のモバイルゲーム最高記録
- ピーク時のDAU(デイリーアクティブユーザー):数千万人規模
- 2023年現在も年間数億ドルを維持しており、位置ゲーの金字塔とも言える
ドラゴンクエストウォーク(DQウォーク)
- 日本市場における超ヒット(初月売上:86億円=約8600万ドル)
- 累計ダウンロードは1000万超、2023年には年間300億円規模を売り上げる
- ガチャ課金による収益が大きく、初月の1DLあたり売上はポケモンGOの4倍と言われる
Ingress
- Niantic社がポケモンGO以前に開発した先駆的タイトル
- 全世界で2000万ダウンロード超
- 売上はポケモンGOほどではないが、コミュニティ重視の運営で10年以上継続
ジュラシック・ワールド・アライブ
- 映画「ジュラシックパーク」IPを活かした位置ゲー
- リリースから3年で累計1億ドル以上売り上げる
- 恐竜を集めるコレクションと対戦機能を両立させ、一定のコアファンを獲得
モンスターハンターNow
- 2023年9月リリース、初週で1400万ドル(約19億円)以上を売り上げる快進撃
- Nianticとカプコンの協業による“ハント体験×位置情報”が好評
- 初年度で2億ドル超えのペースとの推定もあり、今後の動向に注目
共通点:
- 強力なIPと位置ゲーの親和性(ポケモンは収集との相性、DQは“冒険”、モンハンは“狩り”など)
- 継続的なコンテンツ更新(新イベント、コラボ、季節キャンペーン)
- 技術基盤の安定性とチート対策
- マネタイズ設計の巧妙さ(課金アイテムやガチャ設計がユーザー体験を損なわない)
1.2 失敗に終わったタイトルの要因
ハリー・ポッター:魔法同盟 (Wizards Unite)
- 初月売上:1200万ドル(ポケモンGOの約6%)
- IP人気を活かしきれず、2年半でサービス終了
- 位置ゲーとの親和性不足・煩雑なゲームシステム・課金動機の弱さが問題
マインクラフトEarth
- リリース後1年間でダウンロード250万、累計売上50万ドル未満
- 新型コロナ禍による外出制限が痛手
- サービス開始から1年半後に終了
ゴーストバスターズ・ワールド
- 日本での初月売上はわずか数千ドル(数十万円)
- ゲーム性が凡庸で、イベント不足・宣伝不足も響き2年未満で終了
共通点:
- IPと現実世界を歩く必然性が噛み合わない
- オリジナリティに乏しいゲームデザイン(ポケモンGOの焼き直し)
- コンテンツ更新頻度やイベント運営が低調
- 課金設計が不備(課金インセンティブがない or バランスが悪すぎ)
2.ディズニーステップの売上予測と収益モデル
それでは、ここから今回の主題であるドリコム社の新作『ディズニーステップ(Disney STEP)』を分析してみます。
2.1 収益モデルの考察
現時点の公式情報や事前キャンペーンから推測すると、以下の収益モデルが軸になりそうです。
- ガチャ課金
- 公式サイトでは「プレミアガチャチケット」が存在することが明らかに
- レアな衣装・アバター装飾・宝物入手をガチャ形式で提供し、コレクション好きのディズニーファンから課金を狙う
- 便利アイテム課金(探索サポート)
- ポケモンGOの「おこう」「ルアーモジュール」的な位置ゲームならではの課金アイテムが登場する可能性
- スタミナや回数制限を緩和するアイテム購入もありうる
- スポンサー提携
- ディズニーIPならではのリアル店舗・テーマパークとの連動イベントや「宝物スポット」設置による広告収入
- 月額パス / VIPサービス
- 毎日ガチャ石配布やアイテム特典などのサブスク型課金
- リリース直後は導入せず、後から追加されるケースも考えられる
2.2 売上規模シミュレーション(初速・1年後・3年後)
ここでは、「楽観シナリオ」「標準シナリオ」「悲観シナリオ」の3つに分けて、初月・1年後・3年後の売上を試算します。
※金額は主にドル建てで示しつつ、ざっくり日本円(1ドル=150円)換算を想定。
1. 楽観シナリオ(大ヒットケース)
- リリース初月:
- 世界DL数300万(日本100万を含む)
- 課金ARPUを1人当たり5~10ドルと仮定
- 初月売上:1500万~3000万ドル(約25~45億円)
- 1年後:
- コアユーザーが安定して残り、MAU(アクティブユーザー)約50万人
- 課金ユーザー比率10%、月の平均課金100ドルを想定 → 月500万ドル
- 年間累計6000万ドル(約90億円)規模+周年イベント時の上乗せ → 1億ドル到達も視野
- 3年後:
- 大型イベント・アップデートで新キャラクターやコラボを追加し続ける
- 数十万のコア層が支えて年間100~200億円程度をキープ
- 3年間累計2~4億ドル(300~600億円)と、位置ゲーとしては大成功
2. 標準シナリオ(中ヒットケース)
- リリース初月:
- 日本を中心に50万DL + 海外20万DL程度
- ARPU 3~5ドル → 初月売上200~300万ドル(3~4.5億円)
- 1年後:
- MAU10~20万人規模で安定
- 月の売上は数百万ドル未満(1億円前後) → 年間1000~1500万ドル(15~22億円)
- 運営コストやディズニーIPのライセンス料を考慮すると、利益面ではやや厳しいかも
- 3年後:
- 大型アップデートがなければ徐々に減衰
- 年間売上は1億円前後~数億円レベルに落ち込む
- 累計で数千万ドル(数十億円)程度で終わる可能性が高い
3. 悲観シナリオ(失敗ケース)
- リリース初月:
- ダウンロード10万未満、初月売上100万ドルにも届かず(数千万円規模)
- 口コミやSNSで盛り上がらず、そのまま伸び悩む
- 1年後:
- コンテンツ不足や不具合でユーザー離脱→早期終了
- または細々と続けても月商数十万ドル以下で運営赤字
- 累計売上1000万ドル未満(数億円程度)で終息
3.主要位置ゲームとの比較表
3.1 売上・ユーザー規模比較
位置ゲー市場で名が知れているタイトルをまとめると、下表のようになります。一部は推定値ですので目安としてご覧ください。
タイトル (リリース年) | 主なIP/テーマ | 累計売上規模 | DAU/MAUの傾向 | 現状 |
---|---|---|---|---|
ポケモンGO (2016) | ポケモン | 約 80億ドル(~8年) ※歴代位置ゲー最高 | 全世界でピーク時DAU数千万 月間1億超MAU(2018年) 週次Retention ~75% | 運営中 |
ドラゴンクエストウォーク (2019) | ドラクエ (RPG) | 推定 10億ドル+(~4年) ※2023年は単年で3億ドル超 | 日本国内DAU数十万規模 ※課金ARPU非常に高い | 運営中 |
ハリーポッター:魔法同盟 (2019) | ハリーポッター (魔法) | 0.4億ドル未満(2.5年) 初月1200万ドル | 初動以降ユーザー激減、2年半で終了 | 終了 (2022) |
Ingress (2012) | オリジナル (SF) | 公開統計なし(数千万ドル規模か) | コミュニティイベント中心に長期運営 | 運営中 |
ジュラシック・ワールドAlive (2018) | ジュラシックパーク (恐竜) | 1億ドル+(3年強) | DAU数万~十万規模(対戦機能でコア層を維持) | 運営中 |
ウォーキング・デッドOur World (2018) | ウォーキングデッド (ゾンビ) | 0.3~0.5億ドル(推定) 初期2ヶ月800万ドル | 初期人気はそこそこ→その後急激に下降 | 運営中*(縮小)* |
マインクラフトEarth (2019) | マインクラフト (建築) | 0.05億ドル以下(1.5年) | DAU数万人以下でサービス終了 | 終了 (2021) |
ピクミンブルーム (2021) | ピクミン (歩行記録) | 0.63億ドル(約3年) | ウォーキング寄りで課金は控えめ | 運営中 |
モンハンNow (2023) | モンスターハンター | 1億ドル+(半年) | DAU数十万以上(協力マルチで粘着度が高い) | 運営中 |
駅メモ!(ステーションメモリーズ) (2014) | オリジナル (鉄道収集) | 累計不明(日本の位置ゲー老舗) 2023年も国内トップ5圏内 | DAUは中規模だが鉄道ファン中心に根強い | 運営中 |
上の比較から分かるように、ポケモンGOやドラクエウォークほどの規模に達するタイトルはごく僅かです。特にグローバルで大ヒットしているのはポケモンGO一強。ディズニーステップがどの立ち位置を狙うか、しっかり見極める必要がありそうです。
3.2 マネタイズ・継続率・ゲームデザインの比較
マネタイズ戦略:
- ポケモンGOは「アイテム課金」中心で、ガチャ要素がほぼ無い分、薄く広く収益を上げる
- DQウォークは「ガチャ依存型」で、一部のヘビーユーザーから大きく課金を集めるモデル
- ディズニーIPはブランドイメージに配慮しつつも、コレクション欲を刺激するガチャやパスを導入する可能性が高い
継続率(リテンション):
- ポケモンGOは週次継続率75%とトップクラス
- 多くの失敗作はリリース数週間で急激に離脱が進み、立て直せず終了
- 長期運営には定期的な追加コンテンツやイベント、ゲーム内での目標(図鑑・収集要素など)が重要
ゲームデザイン・IP適合性:
- 成功例:ポケモンの「捕まえる」、DQの「歩いて冒険」、モンハンの「狩り」など、“外を歩く”必然性と原作の世界観がマッチ
- 失敗例:ハリーポッター魔法同盟やゴーストバスターズなど、現実世界との融合に説得力が弱い
- ディズニーステップは「宝探し」や「アバター・衣装収集」を前面に打ち出しており、“リアルで探検する”体験とディズニーIPの親和性が鍵を握る
4.日本におけるディズニーファンの数は?
- 東京ディズニーリゾート(TDR)年間来場者数
- コロナ禍前のピーク期(2018~2019年あたり)は年間来場者数が約3,000万人台で推移していました。
- もちろんこの数字には、リピーターや海外からの来園者も含まれます。ただしTDRの来園客の大半は国内在住者と言われており(※運営会社オリエンタルランドのアニュアルレポートなどで海外比率は1割弱との推定もあります)、相当数の日本人が年間に何度も来園していると考えられます。
- 映画興行成績・メディア動向
- ディズニー映画(ピクサー作品含む)は、日本の年間興行収入ランキングで常に上位に入る強力コンテンツ。興行収入数十億円~100億円を超える作品も珍しくありません。
- 例えば『アナと雪の女王』(2014年) は日本で興行収入約254億円に達し、歴代洋画興収1位を記録。【※2023年現在も洋画トップクラス】
- こうしたヒットの背景には、家族連れやライト層まで広範にアピールできる「ディズニーブランド」の強さがあり、「映画は観るけれどパークに行かない層」も多数存在すると考えられます。
- ブランド好感度・認知度調査
- 民間調査会社やインターネットリサーチなどで、「ディズニーが好きか?」のような質問を設けたアンケート結果がありますが、公開される数字は調査設計ごとに異なります。
- あるWEB調査(※数千人規模)では「とても好き」「まあまあ好き」を合わせると5~6割前後が“好き寄り”と回答、との例があります。日本の人口1億2,000万人のうち、単純に6割=約7,200万人がディズニー好意層…とも読めますが、これはあくまで“認知や好意”レベルです。
- 「積極的にお金をかける」「グッズを集める」などコア層を想定すると、さらに絞り込まれるでしょう。
- 公式ファンクラブやDisney+契約者数など
- ディズニーの公式ファンクラブ(ファンダフル・ディズニー)や、動画配信サービスDisney+の国内契約者数は参考指標になりますが、正確な公表値は限定的です。
- ただ、Disney+は日本でも順調に会員数を増やしていると報じられ、2023年時点で数百万契約に達している推計もあります(※正確な内訳は非公表)。この数はあくまで「配信映像を視聴したい層」なので、パーク愛好家とは必ずしも一致しませんが、コア層の一部を反映している可能性があります。
5.ディズニーファン顕在層 vs. 潜在層の概念
- 顕在層(コアファン層)
- 例えば「年に複数回パークへ行く・グッズを頻繁に購入する・新作映画は必ず観る」といった熱心な層。
- 人数規模としては、日本人口の数%程度にとどまるとの見方が一般的です。パーク来場者3,000万人という数字を考慮しても、リピーター率が高いことを踏まえると、実人数は1,000万~1,500万人程度と推定できます。
- なお、ディズニーリゾートの年間パスポート利用者層や、ディズニー関連の商品・コンテンツに高額支出を厭わない人たちは、さらに小さな割合になりますが、消費単価は非常に高いという特徴があります。
- 潜在層(ライトファン層、あるいは今後ファンになりうる層)
- 「たまにパークへ行くのは好きだが、毎年行くほどではない」「映画をやっていれば観たい」「グッズは必要に応じて買う」など、中程度以下の関心度の層を含みます。
- ここには「昔は好きだったが、最近はあまり触れていない」層や「子どもを連れていくならディズニーがいい」という家族層も含まれるため、人数としては顕在層よりはるかに多いと推定されます。
- 前述のアンケートのように“ディズニーが好き・興味ある”と答える人が半数を超える調査結果があることを考慮すると、2,000万~3,000万人以上は“ライトファン・潜在ファン”として存在している可能性があります。
6.日本におけるディズニーファン数の総合的な推定
顕在層
- 1,000万~2,000万人前後
- ここに入る人たちはパークや映画・グッズにある程度の支出を惜しまない層。
- TDRの年間来園者数から見ると1,000万人をやや超えるくらいがリアリティのある線かもしれません。
潜在層
- 2,000万~3,000万人以上
- 「好きだけどそこまで積極的ではない」「数年に1回パークに行く」「新作映画は気になれば観る」程度のライトファン含む。
つまり
- 日本にはディズニーパークへ何度も足を運びグッズを集めるような“コア層”が1,000万~2,000万人規模、さらにライト層・潜在層を含めると3,000万~5,000万人程度に上るという見方が多いです。
- もちろんこの数字は「重複訪問者」「ブランド好意度のレベル差」などで大きく動きますし、調査によってまちまちです。
- いずれにせよ、日本におけるディズニーファン人口は非常に多く、かつ熱量の高い人も少なくありません。東京ディズニーリゾートの成功や映画興行の実績から見ても、日本は世界的に見ても“ディズニーファンが多い国”と言えるでしょう。
このように、顕在層・潜在層それぞれの定義や区切り方にもよりますが、大まかには数千万規模で存在していると考えられます。これは他のアニメ・キャラクターIPと比較しても非常に大きな裾野であり、ディズニーIPのゲームやサービスが日本市場で期待される理由の一つです。
7.ディズニーステップ成功への展望
成功か、それとも失敗か?
- 成功確率は「五分五分」と見る声が多い。強力なディズニーIPを持つ一方、位置ゲー市場は飽和気味とも言われ、ユーザーに新鮮な体験を提供できるかが焦点。
- 大ヒット(ポケモンGO級)は正直難しいが、日本限定の成功例(DQウォーククラス)になれる可能性は十分にある。
- 収益モデルは「ガチャ+アイテム課金+スポンサー連動」が本命。ディズニーファンのコレクション意欲をどれだけくすぐるかがポイント。
売上規模のイメージ
- 初年度で50億円以上を狙えればヒットと言える。100億円を超えると国内モバイルゲームでも上位クラス。
- 3年後まで継続運営し、定期的なコラボや追加ストーリーでファンを飽きさせなければ、累計200億円~300億円以上の収益も十分視野に入る。
- 逆に初月の伸びが振るわず、早期の立て直しに失敗すると1~2年でサービス終了のシナリオもあり得る。
- 日本におけるディズニーファン層は1,000万人程度はいると推定できるが、その中のどれくらいの割合がディズニーステップに参加してくるのかがカギとなる。10%だとしても100万DLは期待でき、しかも課金レベルは期待してもいいかもしれない。
- ディズニーリゾートはオリエンタルランドの運営であり、ドリコム社とは関係ないが、そことの連動が実現すればゲームの盛り上がりは爆発的になると個人的には予想している。ただし、ディズニーリゾート内でのレアキャラ出現率などはドリコム社のハンドリングになるので、当初の連携は無くともドリコム社がそのような仕掛けをどれくらいするのか?またその情報がSNSを通じてどれくらいバズるのかで、ゲームのプレゼンスが大きく変わってくるのではないかと考える。
ディズニーという巨大IPを活かした位置ゲームがどんな体験を提供するのか、リリース後の動向に注目が集まっています。
ポケモンGOやドラクエウォークに続く新たなヒット作となるか、それともハリーポッター魔法同盟のように期待倒れで終わるのか……。
いずれにせよ、コンテンツの充実度や運営面のクオリティ、そしてユーザーとのコミュニケーションが成功の鍵になります。ディズニーステップが「位置ゲー第二世代」の代表作として長く愛されるタイトルになるのか、今後の展開を楽しみに待ちましょう!
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。