ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽光発電技術として注目されていますが、いくつかの問題点や課題が指摘されています。以下に主な問題点を挙げます。
目次
今後注目のペロブスカイト電池にはどんな課題があるのか?
1. 耐久性と寿命
- ペロブスカイト材料は、湿気や酸素、熱、紫外線に弱いため、長期的な耐久性が課題です。
- 現在の技術では、数千時間の稼働が可能なものもありますが、シリコン太陽電池(20~30年)に比べて大きく劣ります。
2. 鉛の使用
- 現在広く使用されているペロブスカイト材料には、鉛が含まれることが多く、環境汚染や健康への影響が懸念されています。
- 鉛フリーの代替材料の開発も進められていますが、性能が劣る場合が多いです。
3. 製造プロセスのスケールアップ
- ペロブスカイト電池の研究は実験室レベルでの成果が中心であり、大規模な製造プロセスへの移行が課題です。
- スケールアップの過程で、効率やコスト、均一性の問題が発生します。
4. 効率の安定性
- 試験条件下では高い変換効率(25%以上)を達成していますが、実際の環境(高温、多湿、紫外線など)で効率が安定して発揮されるかどうかが課題です。
5. コスト競争力
- 現在の試作段階では製造コストが高く、シリコン太陽電池と比較した場合のコスト競争力に課題があります。
- ただし、ペロブスカイト電池は製造工程がシンプルであるため、大量生産が可能になればコストが大幅に下がる可能性があります。
6. リサイクルと廃棄問題
- 鉛を含むことから、廃棄時の処理方法やリサイクル技術の確立が重要です。
- 長寿命化が進まない限り、廃棄物の増加が懸念されます。
解決に向けた取り組み
研究者や企業はこれらの問題に取り組んでいます。具体的には:
- 鉛フリーのペロブスカイト材料の開発。
- 耐久性を向上させるための保護フィルムや封止技術。
- スケールアップ技術やコスト削減のための生産プロセスの改善。
ペロブスカイト太陽電池は、高い効率と低コストポテンシャルを備えているため、これらの課題が解決されれば、再生可能エネルギー分野での重要な役割を果たす可能性があります。
ペロブスカイト電池の研究開発に取り組んでいる企業とは?
ペロブスカイト太陽電池の基礎技術を持つ会社は、日本国内外で複数存在します。これらの企業は、それぞれの専門分野や技術を活かしてペロブスカイト電池の研究開発を進めています。以下に主な企業を挙げます。
日本国内の企業
- 積水化学工業
- フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発でリードしており、高い耐久性を持つ製品の研究を進めています。
- 液晶封止材やガラス中間膜で培った技術を応用しています。
- 東レ
- 高分子材料やフィルム技術を活かし、ペロブスカイト電池の基盤材料の開発に注力しています。
- 効率向上と耐久性改善を目指しています。
- カネカ
- 有機エレクトロニクス技術を活かし、ペロブスカイト太陽電池の効率改善と商業化を進めています。
- シャープ
- ペロブスカイト太陽電池の研究において早期から参入し、実験室レベルで高い変換効率を実現しています。
- 京セラ
- 太陽光発電分野の経験を活かし、ペロブスカイト技術を活用した次世代製品の開発を進行中。
海外の企業
- Oxford PV (イギリス)
- ペロブスカイト太陽電池技術のパイオニアで、シリコン太陽電池とハイブリッド構造を持つペロブスカイト電池を開発。
- 高効率製品を市場化に近づけています。
- Saule Technologies (ポーランド)
- 印刷技術を用いてフレキシブルで軽量なペロブスカイト太陽電池を開発。
- 実用化に向けた量産化プロセスを進めています。
- Hunt Perovskite Technologies (アメリカ)
- ペロブスカイト電池の商業化に向けた開発を進め、産業用途に特化した製品を目指しています。
- First Solar (アメリカ)
- シリコン代替技術としてペロブスカイト電池に取り組み、安価で高効率な製品の開発を推進しています。
- Tandem PV (アメリカ)
- シリコン太陽電池とのハイブリッド型ペロブスカイト電池の研究に焦点を当てています。
大学・研究機関
- スイス連邦工科大学ローザンヌ校 (EPFL): ペロブスカイト研究の中心的な役割を果たし、技術革新を推進。
- 東京大学: ペロブスカイト電池の材料科学と物性研究で成果を上げています。
- 名古屋大学: 耐久性向上に向けた基礎研究を展開。
- 韓国科学技術院 (KAIST): 高効率ペロブスカイト電池の研究で世界的な成果を上げています。
これらの企業や研究機関がそれぞれ異なるアプローチでペロブスカイト太陽電池の開発を進めています。技術的課題の克服が進むことで、より多くの企業が実用化に成功し、商業市場で競争力を持つ製品を展開することが期待されます。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。