銘柄研究:2025/1/4(土)ジャパンエンジンについて

ジャパンエンジンコーポレーション(証券コード: 6016)は、舶用主機関ディーゼルエンジン「UEエンジン」の製造・販売を主力とする企業です。

目次

業績の展望

2025年3月期の業績予想は、売上高275億円(前期比31.1%増)、営業利益40.8億円(同86.5%増)、経常利益44.9億円(同27.6%増)、当期純利益35.7億円(同40.1%増)と、増収増益が見込まれています。

リスク要因

  1. 受注環境: 世界経済や海運市況の動向により、新造船需要やアフターサービス需要が変動し、業績に影響を与える可能性があります。
  2. 特定の取引先への依存: 主力製品の構成部品の多くを外部から調達しており、特定の供給元に依存している部品も存在します。供給元の状況によっては、調達が不安定になるリスクがあります。
  3. 原材料・購入部品価格の変動: 原材料費や購入部品費の高騰は、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
  4. 為替変動: 海外からの部品調達や外貨建て取引により、為替の変動が業績に影響を与えるリスクがあります。

カタリストとなり得る要因

  • 環境規制対応製品の需要増加: 環境規制の強化に伴い、低圧EGRシステムや低圧SCRシステムなどの環境対応技術を搭載したエンジンの需要増加が期待されます。
  • アフターサービスの拡充: 船舶の稼働率改善により、修理・部品等のアフターサービス需要が堅調に推移しており、収益拡大の要因となっています。
  • ライセンス・部品供給の拡大: ライセンシーでの受注拡大により、ロイヤルティー収入やキーコンポーネントの販売が伸長していることも、業績向上のカタリストとなり得ます。

環境規制対応型エンジンの開発状況について

ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)は、国際海事機関(IMO)の環境規制に対応するため、以下の取り組みを行っています。

1. 超低燃費エンジン「UEC-LSJ」の開発
「UEC-LSJ」は、マリンガスオイル(MGO)のみを燃料とする超低燃費エンジンで、NOxやSOxの規制に対応しています。2018年に5UEC50LSJ-EGR、2022年に6UEC35LSJが完成し、環境対応と経済性を両立しています。

2. NOx(窒素酸化物)規制(TierⅢ)への対応
IMOのNOx TierⅢ規制に対応するため、以下の技術を開発しています。

低圧EGRシステム: 排気ガス再循環によりNOxを低減する技術。
低圧SCRシステム: 選択的触媒還元によりNOxを低減する技術。
高圧SCRシステム: 高圧下での選択的触媒還元によりNOxを低減する技術。

これらの技術は、シンプルな構成と高い信頼性を持ち、燃費とNOx削減の両立を実現しています。

3. SOx(硫黄酸化物)規制への対応
2020年1月から適用されたSOx規制に対応するため、硫黄分が0.5%以下の適合油や、SOxスクラバー(排ガス脱硫装置)の使用に関するガイドラインを提供しています

4. GHG(温室効果ガス)削減と代替燃料の研究
脱炭素社会の実現に向け、水素やアンモニアなどのカーボンフリー燃料を用いたエンジンの開発に取り組んでいます。国立研究開発法人 海上技術安全研究所(海技研)と共同研究契約を締結し、GHG削減に向けた技術開発を進めています。

アンモニア燃料エンジンの開発状況
試験運転の完了: 2023年5月に大型低速2ストロークエンジンとして世界初のアンモニア混焼運転を開始し、2024年9月末に各種試験運転を完了しました。

技術的成果: 高いアンモニア混焼率での安定運転を実現し、温暖化係数の高い亜酸化窒素(N₂O)の発生も燃焼制御により非常に低いレベルに抑制できることを確認しています。

フルスケールエンジンの製造: これらの成果を基に、アンモニア燃料フルスケールエンジン初号機(シリンダ直径50cm)の製造が進行中で、2025年4月に試運転を開始し、同年9月に完成予定です

水素燃料エンジンの開発状況
フルスケールエンジンの開発計画: シリンダ直径35cmの「UEC35LSGH」を開発中で、2026年度末の完成を目指しています。

燃料噴射装置の試験: 水素燃料エンジンのキー技術である高圧噴射方式の燃料噴射装置について、2023年5月に作動試験を開始し、燃焼制御の検証を進めています。

5. 環境マネジメントシステムの導入
地球環境保全を経営の最重要課題の一つとして認識し、環境マネジメントシステムの継続的改善を図っています。具体的には、太陽光発電設備の導入や、製造工場・事務所のLED照明化など、事業活動全体での環境負荷低減に努めています。

船舶エンジンは三井E&Sやダイハツディーゼルなど各社が開発しているカテゴリで、今後の船舶需要増加と環境規制強化という2つのハードルをクリアすべく、しのぎを削っている状況ではないかと思います。

その中で船舶用水素エンジンをどこが一番先に実用化するのか?が今後を占う重要なキーファクターになるのではないでしょうか。

ジャパンエンジンは果たしてどうなるのか。

今後に注目しています。

★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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