銘柄研究:2025/1/26(日)アバールデータについて

本記事では、株式会社アバールデータ(証券コード: 6918)のビジネスモデル、製品・サービス内容、直近の業績や今後の業績展望、さらに株価の上昇を後押しする可能性がある要因(カタリスト)や適正株価について、ブログ形式でまとめていきます。

目次

1. 株式会社アバールデータとは

1.1 会社概要

株式会社アバールデータ(以下、アバールデータ)は、FPGA(Field Programmable Gate Array)技術を中心とする先端電子機器およびソリューションを提供する企業です。証券コードは6918で、東証スタンダード市場に上場しています。同社の強みは、高精度かつリアルタイム性が要求される分野での技術力と、顧客ニーズに特化した柔軟な対応力にあります。

1.2 歴史的背景と強み

FPGA技術を活用する同社は、画像処理や計測制御分野で競争優位性を築いてきました。特に、FPGAを基盤としたボードコンピュータは、製造業や通信業界、医療分野で高い評価を得ています。

2. ビジネスモデルの特徴

アバールデータのビジネスモデルは以下の3つに集約されます。

  1. 高付加価値の自社製品開発
    • FPGAベースのボードや画像処理モジュールなど、収益性の高い製品を展開。
  2. 受託開発およびカスタムソリューション
    • 顧客の特定ニーズに応じた設計・製造を提供。設計から製造までのワンストップ体制が強み。
  3. パートナーシップ・共同開発
    • 半導体メーカーや大手ベンダーと協業し、新市場の開拓やOEM供給を実施。

3. サービス・製品内容

3.1 FPGAソリューション

FPGAを活用した製品は、リアルタイム処理や低電力化、高速演算が求められる分野で採用が進んでいます。

  • 画像処理ボード・組込みボード
    • 医療画像解析や製造ラインでの外観検査に使用。
  • AIエッジ向けFPGA
    • エッジAIデバイスの普及に伴い、高効率かつ低消費電力が求められる場面で活躍。

3.2 計測・制御機器

スマートファクトリーや通信分野で活用される高速制御機器を提供。

  • 高速AD/DAコンバータボード:研究機関向けの高精度なデータ計測に対応。
  • 産業用ネットワークモジュール:EtherCATやEtherNet/IP対応。

3.3 ソフトウェア開発・システムインテグレーション

ハードウェアとソフトウェアを統合したトータルソリューションを提供。開発効率の向上を実現しています。

4. 業績動向:過去3年分および今期・来期の予想

以下は、アバールデータの過去3年間の実績および今期・来期の業績予想です。

4.1 過去3年の実績

決算期売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)当期純利益(百万円)配当金(円)EPS(円)
2022年3月期9,7951,9262,0171,49285243.2
2023年3月期14,3902,3962,4954,270245694.0
2024年3月期12,5802,0952,2745,256317853.7

4.2 今期・来期の業績予想

決算期売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)当期純利益(百万円)配当金(円)EPS(円)
2025年3月期(予想)13,3002,1902,2851,65094267.8

ポイント

  • 2024年3月期は特別利益が業績を押し上げましたが、2025年3月期は通常水準に回帰する見込みです。

5. 今後の業績展望

5.1 業績拡大を見込めるトレンド

  • AI・IoT普及:エッジデバイス市場での需要増加。
  • 5G/6G通信インフラ:通信設備向けの製品需要が拡大。
  • スマートファクトリー加速:自動化・効率化を求める産業向けソリューションが鍵。

5.2 潜在的リスク要因

  • 半導体不足やサプライチェーンの混乱。
  • 技術競争による収益圧迫。

6. 株価上昇のカタリスト

  1. 新製品の市場投入:AIエッジデバイスや医療向け機器の開発が期待。
  2. 大口受注の獲得:大手メーカーとの協業強化。
  3. 株主還元の拡大:増配や自社株買いへの期待。

7. 適正株価の考察

同社の適正株価を評価するため、よく比較される(株探参考)ニコン、イノテック、多摩川ホールディングスの直近のPER(株価収益率)を参考に再検証します。

同業他社のPER

企業名証券コードPER(倍)
ニコン773110.0
イノテック988012.6
多摩川ホールディングス68389.9

これらの平均PERは約10.8倍となります。

アバールデータの今期予想EPS

アバールデータの2025年3月期の予想EPS(1株当たり利益)は267.8円です。

適正株価の試算

アバールデータの予想EPS(267.8円)に、同業他社の平均PER(10.8倍)を適用すると、適正株価は以下のように計算されます。

267.8円 × 10.8倍 = 2,892.24円

現在の株価との比較

2025年1月24日時点でのアバールデータの株価は2,754円です。

この株価は、上記で試算した適正株価(約2,892円)よりも約138円低く、同業他社と比較してやや割安と評価できる可能性があります。

注意点

株価は市場の需給や投資家の心理、経済状況など多岐にわたる要因で変動します。PERやEPSは企業の一側面を示す指標であり、投資判断を行う際には、最新の情報や他の財務指標、業界動向などを総合的に考慮することが重要です。

8. まとめ

アバールデータは、FPGA技術を基盤とした独自製品を強みに、成長市場で競争力を発揮しています。一方、半導体市況や競争環境には注意が必要です。特に、AI・IoT市場での拡大や株主還元施策に注目が集まります。

★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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