本記事では、株式会社アバールデータ(証券コード: 6918)のビジネスモデル、製品・サービス内容、直近の業績や今後の業績展望、さらに株価の上昇を後押しする可能性がある要因(カタリスト)や適正株価について、ブログ形式でまとめていきます。
1. 株式会社アバールデータとは
1.1 会社概要
株式会社アバールデータ(以下、アバールデータ)は、FPGA(Field Programmable Gate Array)技術を中心とする先端電子機器およびソリューションを提供する企業です。証券コードは6918で、東証スタンダード市場に上場しています。同社の強みは、高精度かつリアルタイム性が要求される分野での技術力と、顧客ニーズに特化した柔軟な対応力にあります。
1.2 歴史的背景と強み
FPGA技術を活用する同社は、画像処理や計測制御分野で競争優位性を築いてきました。特に、FPGAを基盤としたボードコンピュータは、製造業や通信業界、医療分野で高い評価を得ています。
2. ビジネスモデルの特徴
アバールデータのビジネスモデルは以下の3つに集約されます。
- 高付加価値の自社製品開発
- FPGAベースのボードや画像処理モジュールなど、収益性の高い製品を展開。
- 受託開発およびカスタムソリューション
- 顧客の特定ニーズに応じた設計・製造を提供。設計から製造までのワンストップ体制が強み。
- パートナーシップ・共同開発
- 半導体メーカーや大手ベンダーと協業し、新市場の開拓やOEM供給を実施。
3. サービス・製品内容
3.1 FPGAソリューション
FPGAを活用した製品は、リアルタイム処理や低電力化、高速演算が求められる分野で採用が進んでいます。
- 画像処理ボード・組込みボード
- 医療画像解析や製造ラインでの外観検査に使用。
- AIエッジ向けFPGA
- エッジAIデバイスの普及に伴い、高効率かつ低消費電力が求められる場面で活躍。
3.2 計測・制御機器
スマートファクトリーや通信分野で活用される高速制御機器を提供。
- 高速AD/DAコンバータボード:研究機関向けの高精度なデータ計測に対応。
- 産業用ネットワークモジュール:EtherCATやEtherNet/IP対応。
3.3 ソフトウェア開発・システムインテグレーション
ハードウェアとソフトウェアを統合したトータルソリューションを提供。開発効率の向上を実現しています。
4. 業績動向:過去3年分および今期・来期の予想
以下は、アバールデータの過去3年間の実績および今期・来期の業績予想です。
4.1 過去3年の実績
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | 配当金(円) | EPS(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 9,795 | 1,926 | 2,017 | 1,492 | 85 | 243.2 |
2023年3月期 | 14,390 | 2,396 | 2,495 | 4,270 | 245 | 694.0 |
2024年3月期 | 12,580 | 2,095 | 2,274 | 5,256 | 317 | 853.7 |
4.2 今期・来期の業績予想
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | 配当金(円) | EPS(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2025年3月期(予想) | 13,300 | 2,190 | 2,285 | 1,650 | 94 | 267.8 |
ポイント
- 2024年3月期は特別利益が業績を押し上げましたが、2025年3月期は通常水準に回帰する見込みです。
5. 今後の業績展望
5.1 業績拡大を見込めるトレンド
- AI・IoT普及:エッジデバイス市場での需要増加。
- 5G/6G通信インフラ:通信設備向けの製品需要が拡大。
- スマートファクトリー加速:自動化・効率化を求める産業向けソリューションが鍵。
5.2 潜在的リスク要因
- 半導体不足やサプライチェーンの混乱。
- 技術競争による収益圧迫。
6. 株価上昇のカタリスト
- 新製品の市場投入:AIエッジデバイスや医療向け機器の開発が期待。
- 大口受注の獲得:大手メーカーとの協業強化。
- 株主還元の拡大:増配や自社株買いへの期待。
7. 適正株価の考察
同社の適正株価を評価するため、よく比較される(株探参考)ニコン、イノテック、多摩川ホールディングスの直近のPER(株価収益率)を参考に再検証します。
同業他社のPER
企業名 | 証券コード | PER(倍) |
---|---|---|
ニコン | 7731 | 10.0 |
イノテック | 9880 | 12.6 |
多摩川ホールディングス | 6838 | 9.9 |
これらの平均PERは約10.8倍となります。
アバールデータの今期予想EPS
アバールデータの2025年3月期の予想EPS(1株当たり利益)は267.8円です。
適正株価の試算
アバールデータの予想EPS(267.8円)に、同業他社の平均PER(10.8倍)を適用すると、適正株価は以下のように計算されます。
267.8円 × 10.8倍 = 2,892.24円
現在の株価との比較
2025年1月24日時点でのアバールデータの株価は2,754円です。
この株価は、上記で試算した適正株価(約2,892円)よりも約138円低く、同業他社と比較してやや割安と評価できる可能性があります。
★注意点
株価は市場の需給や投資家の心理、経済状況など多岐にわたる要因で変動します。PERやEPSは企業の一側面を示す指標であり、投資判断を行う際には、最新の情報や他の財務指標、業界動向などを総合的に考慮することが重要です。
8. まとめ
アバールデータは、FPGA技術を基盤とした独自製品を強みに、成長市場で競争力を発揮しています。一方、半導体市況や競争環境には注意が必要です。特に、AI・IoT市場での拡大や株主還元施策に注目が集まります。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。