銘柄研究:2025/7/10(木)【注目セクター=電力】北海道電力の事業戦略と電力需給構造の変化

日本の半導体関連が集中しているエリアとして九州と北海道がいま熱いことは、株を触っている人なら知っている事実だと思います。その中でも北海道電力に個人的に注目しています。

この記事では、その北海道電力の考察を、現状入手できる記事やデータ、IRなどを元に、まとめてみました。

目次

2025年度・2026年度の業績予想と要因分析

北海道電力(以下、北電)は、2025年3月期に売上高約9,020億円、親会社株主に帰属する当期純利益約642億円を計上し、1株当たり利益(EPS)は305.9円となりました。これは前期比で純利益が3%減となったものの、経常利益に加えて泊原子力発電所向け核燃料の売却益を特別利益に計上したことが寄与し、大幅な黒字を確保した形です。一方、電力販売量の減少や燃料費調整額の減少により売上自体は前期比5%減となっており、燃料価格高騰に伴う収支悪化を電源調達コスト低減策や一時的な特別利益で補った決算でした。

北電が発表した2026年3月期の会社予想では、売上高は約8,980億円(前期比▲0.4%)、純利益は約260億円(前期比▲59.5%)とされています。EPSは約119.7円と、大幅な減益見通しです。この要因として、前年度にあった核燃料売却益など特別要因が剥落することに加え、泊原発再稼働に向けた準備費用や燃料費調整制度の時差益縮小、物価上昇や人件費増などが利益を圧迫する見通しが挙げられています。実際、北電は2025年度予算で泊原発の安全対策工事や人材強化など将来投資を積極化しており、一時的にコスト増となるものの、業績予想は保守的に算定されているとも分析されています。

泊原発3号機再稼働によるEPS改善効果

北電の収益改善策として注目されるのが泊原子力発電所3号機の再稼働です。泊3号機(出力91.2万kW)が2027年にも稼働すれば、燃料費の削減効果は極めて大きくなります。北電の説明等に基づく試算によれば、3号機の稼働で火力発電の燃料費や他社からの電力調達費用が年間約379億円削減できる見込みです。この金額は北電の2026年予想純利益260億円を上回る規模であり、単純計算でEPSを年間150~170円程度押し上げるポテンシャルがあります(379億円÷発行株数約2.17億株≒174円)。たとえば2025年3月期に北電が計上したEPS305.9円は特別利益込みでしたが、泊3号機の稼働がフル寄与すればそれに匹敵する利益水準を安定的に実現できる可能性があります。

もっとも、この再稼働には巨額の投資も伴いました。泊原発3号機の安全対策費用は当初想定300億円の17倍超となる約5,150億円に膨らむ見通しであり、北電は再稼働後に電気料金の引き下げを段階的に検討するとしています。実際に再稼働が実現しても、そうしたコスト回収の必要から電気料金の値下げ幅は限定的(一般家庭で月108円程度の下げ幅との試算)に留まるとの指摘もあります。これは逆に言えば、燃料費削減分の多くを北電が収益として社内に取り込める余地があることを意味し、再稼働による収益改善効果は極めて大きいといえます。

同業他社のPER水準と適正株価レンジの考察

株式市場における北電の評価を測るうえで、電力各社の株価収益率(PER)比較は重要です。北電株は現在1株800円前後で推移しており、会社予想EPSベースの予想PERは約6.4倍です。これは関西電力の予想PER(約6.7倍)や九州電力の予想PER(約5.1倍)と同程度かやや高めで、東北電力のように一時的な特別要因で利益が急増しているケース(予想PER3~4倍)を除けば、業界内で概ね足並みを揃えた水準となっています。

北電株の過去のPER変動を見ると、利益変動に対して市場評価は慎重で、過去5年のPERレンジは約1.6倍~5.7倍に収まっています。特に2024~2025年にかけて業績が急回復した際も、株価は大きくは反応せず、2025年3月期決算時点のPERは約2.4倍と著しく低い水準でした。市場はこの利益増を一過性とみなし割安なまま据え置いた格好ですが、裏を返せば将来の安定利益化が見込まれる局面ではPER水準が引き上がる余地があります。

現在の会社予想EPS(約120円)に業界平均並みのPER5~7倍を当てはめると、北電株の妥当株価は600~840円程度となり、直近の株価水準(800円前後)と概ね合致します。しかし泊3号機再稼働後にはEPSが大幅に向上する可能性が高く、仮に泊原発再稼働を契機に安定的に300円規模のEPSを稼ぐようになれば、PER5~7倍でも1,500~2,100円程度の株価レンジが想定されます(参考までに、かつてEPS300円超を計上した2025年3月期決算発表直後の想定上限PERは7.5倍で945円に過ぎず、市場の慎重さがうかがえました)。同業他社も含め原発再稼働後の電力各社は総じてPER一桁台に留まる傾向がありますが、利益成長の持続性が認められればPERが徐々に上昇し株価が見直される展開も十分考えられます

データセンター需要の拡大と北電の対応

近年、北海道へのデータセンター進出が相次ぎ、デジタル産業向けの電力需要が急増しつつあります。代表的なのがソフトバンクによる苫小牧市の大規模データセンター計画で、2026年度にまず50MW規模で開業し、将来的に受電容量300MW超・最大1GW規模まで拡張可能な国内最大級の施設を建設中です。この施設は生成AI研究開発などソフトバンク社内の計算需要に加え、大学・企業にもサービス提供する計画であり、次世代のAIインフラ拠点となることが見込まれています。電力はソフトバンク子会社のSBパワーおよび北海道電力から供給を受け、北海道産の再生可能エネルギー100%で運用する「グリーンデータセンター」を掲げています。北電もこのプロジェクトに協力しており、地域の再エネ電力を地産地消する形で新需要に対応しています。

また、北電自身もデータセンター事業への関与を強めています。2022年には通信コンサル企業のフラワーコミュニケーションズ、東急不動産と共同で北海道石狩市に再エネ100%で運営するデータセンターを誘致・開発する基本合意を締結しました。この「石狩再エネデータセンター第1号」は延床約1万㎡、サーバーラック1,350台規模で2026年稼働予定、総事業費約160億円の計画です。北電はこの事業で再生可能エネルギー電力の供給を担当し、豊富な自社の水力・風力を活用して施設に電力を届ける役割を担います。さらに石狩湾新港地域では東急不動産が主体となり追加のデータセンター建設も進めており(2026年4月開業予定、受電容量1.5万kW)、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)も既に2024年に道内で再エネ100%データセンターの運営を開始しています。このように道内データセンター集積は加速しており、北電グループの北海道総合通信網(Hotnet)が運営する札幌DCも含め、電力会社自ら需要を創出・取り込みに動く姿勢が鮮明です。

北電の齋藤社長も「ラピダスや道内への進出が相次ぐデータセンターへの電力販売契約をしっかり獲得し、需要を増やしたい」と述べており、2023年5月には社内に「需要誘致対応グループ」を新設して半導体・デジタル産業の新規需要開拓に注力しています。鍵となるのは企業ニーズに応じた脱炭素電力の提供です。アップルなどグローバル企業がサプライチェーン全体で再エネ100%調達を求める動きを強める中、ラピダスを含む新進企業もクリーン電力を重視すると見られます。北電は自社水力などの再生可能エネルギー電源(現状179万kW、販売電力量の14%相当)に加え、マーケットから非化石証書を調達して実質再エネ電力メニューを提供したり、新たな再エネ発電所の開発目標(2030年度までに+30万kW)を掲げるなど供給力強化を図っています。さらに齋藤社長は「原子力も脱炭素電源として発信する」と述べ、泊原発由来のCO2フリー電力も含めた提案でこれら大口需要家に選ばれる戦略を示しています。総じて、北海道のデジタル需要増に対し北電は再エネ+原子力による脱炭素電力の供給強化で応え、自社の成長機会とする構えです。

泊原発1~3号機の再稼働状況・課題と収益への影響

北海道電力管内で唯一の原子力設備である泊発電所(泊村)では、1号機(57.9万kW、1989年運開)、2号機(57.9万kW、1991年運開)、3号機(91.2万kW、2009年運開)の全3基が2012年以降運転停止しています。再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査は長期化しましたが、まず3号機について主要論点の地震動評価が固まり、2023年夏にも審査合格(設置変更許可)の見通しとなりました。正式な合格証が交付されれば、地元理解を得つつ工事を完了させ、北電は2027年の早い時期の3号機再稼働を目指しています。実際、津波対策の防潮堤工事は2027年3月完工見込みと発表されており、順調ならば同年夏頃までに営業運転再開というシナリオも現実味を帯びます。

一方、1号機・2号機についても北電は再稼働をあきらめていません。2025年3月に公表した「ほくでんグループ経営ビジョン2035」では、「2030年代前半に泊原発の全基再稼働を目指す」と明記されました。すなわち、27年にまず3号機を再稼働した後、順次1号機(運転開始から既に35年以上経過)と2号機にも安全審査の合格を得て、早ければ2030年代前半に3基フル稼働という青写真です。とはいえ、1・2号機は設計が古く追加の安全対策や老朽化設備の更新コストがかさむこと、運転開始から30年超のため法律上は**運転延長(40年超運転)**の認可も必要になることなどハードルは低くありません。また、再稼働には地元泊村や北海道知事の同意が事実上不可欠であり、北海道知事や周辺自治体首長の合意形成、さらに市民団体が提起する司法判断(差し止め訴訟など)の行方も不確定要素です。実際、北海道内世論調査では1・2号機の再稼働反対が多数との報道もあり、地域との信頼醸成が大きな課題となるでしょう。

こうした課題はあるものの、全基が再稼働すれば北電の電源構成は一変します。仮に3基合計約187万kWが復帰すれば、北海道内需要の3~4割を原子力で賄える計算となり、石油・LNGなど火力燃料費の劇的な圧縮とCO2排出削減が可能です。前述したように3号機単独でも年間379億円のコスト減ですから、1・2号機を含めた総効果はその倍以上となります。また供給力に大きな余裕が生まれることで、後述するような新規需要増にも安定供給で応えられ、余剰電力が出る局面では本州への融通や電力市場への売電収入増加も期待できます。再稼働には巨額投資やリスク管理が伴いますが、北電にとって泊原発は中長期の業績V字回復と電力安定供給の要であり、「なんとしても間に合わせたい」(齋藤社長)との強い意気込みで取り組まれているのです。

ラピダスを起点とした半導体・AI産業の進出動向

北海道胆振地域へのRapidus(ラピダス)社の進出は、地域産業構造に大きなインパクトを与えています。RapidusはトヨタやNTTなどが出資する国内新興の半導体メーカーで、千歳市美々地区に最先端2ナノメートル世代の半導体工場を建設中です。2027年中の量産開始を目標としており、AI・高速演算向けの先端チップを生産予定です。半導体工場はクリーンルームの空調や製造装置の稼働に莫大な電力を要しますが、Rapidus関係者は「必要な量は北海道電力から供給されると認識している」とコメントしており、北電も新工場向け電力供給に万全を期す構えです。千歳市も当初想定を上回る電力需要に対応すべく南千歳変電所の新設や送電線増強を進めており、地域インフラ整備が急ピッチで進行しています。

Rapidus千歳工場がフル稼働した場合、その電力消費量は一部で「北海道全体需要の2割に達する」とも予測されています。具体的な数字は公表されていませんが、仮に数十万kW規模(例えば200MW程度)の連続需要が発生すれば、これは北海道の需要構造を大きく変える数字です。Rapidus進出決定以降、関連する素材・部材メーカーや装置メーカーの道内進出も取り沙汰されており(現時点で具体名は挙がっていないものの候補企業の視察報道などはあります)、裾野産業も含めた半導体クラスター形成が期待されています。AI分野では、前述のソフトバンクによる苫小牧データセンターが生成AI開発拠点となるほか、北海道大学や道内IT企業もAI研究やデータ解析に力を入れており、それらを支えるデータセンター需要が増加しています。札幌市では北海道大学と富士通が協力したAI人材育成プログラムが始まるなど、AI産業振興の芽も出てきています。こうした半導体・AI産業の新規進出は、電力需要のみならず地域の雇用・経済波及効果も大きく、北海道経済界からも歓迎ムードが強まっています。

北電にとってRapidusをはじめとする新産業の進出は、電力販売先拡大の好機である一方、大きな責任も伴います。世界的な半導体サプライチェーンの潮流から、Rapidusは製造過程の脱炭素にも敏感です。実際、米Apple社は2030年までに取引先に再エネ100%を求めており、Rapidusもその供給網に入る可能性があります。北電は「再生可能エネルギーを当然調達し我々も増やす。原子力も発信する」と述べており、Rapidusやデータセンターに対し水力・風力+原子力によるクリーン電力メニューで契約獲得を狙っています。2023年には苫東厚真火力発電所(石狩湾新港地区にあるLNG火力)の隣接地に大規模蓄電池を設置し、再エネの出力変動緩和を図る実証も開始しました。今後、半導体工場やAI関連施設が安定稼働するうえで電力品質・信頼性は命綱であり、北電としても設備増強や制御技術導入を通じ「選ばれる電力会社」となることが中長期戦略の鍵となっています。

北海道の電力需要見通し(2026~2035年)と供給力

北海道内の電力需要はこれまで人口減や省エネ進展で緩やかに減少傾向でしたが、Rapidusや大型データセンター進出を契機に反転増加へ転じる見通しです。政府の第7次エネルギー基本計画によれば、日本全体の電力消費量は2040年度に現在より2割以上増加しうるとされ、高度デジタル化による需要拡大が全国的なテーマです。特に北海道は冷涼な気候や豊富な再エネ資源を背景にデータセンター適地として脚光を浴びており、経済産業研究所の試算では2030年代半ばの北海道電力需要は約693万kWに達すると推計されています。これは2010年代後半の最大需要(約569万kW)から20%以上増える計算です。

一方で供給力側では、石狩湾新港発電所2号機(LNG、約56万kW)が2030年度に稼働予定であることなどから、同時期の供給力は約694万kW程度まで増強される見込みです。この数字だけを見ると需給ギリギリですが、実際には北海道~本州間連系線(現在60万kWから強化中)の活用や、既存火力の増出力、需要側の調整力(デマンドレスポンス)等で一定の余裕を持たせる対策が講じられます。とはいえ、原発なしでは電力が逼迫するシナリオも想定されており、新規需要が計画通り立ち上がった場合には注意深い需給管理が必要です。事実、2023~2024年の冬季や夏季に北海道でも電力需給ひっ迫注意報が発令される場面があり、仮に厳寒期にデータセンターや工場がフル稼働すると、再エネだけでは賄いきれず火力や蓄電池で補完しても余裕が少ない可能性があります。

北電もこうした将来像を見据え、供給力の着実な拡充を進めています。2024年1月には道北地域でグリーンパワーインベストメント社の大型洋上風力発電所(宗谷沖)が運転開始し、道内の再エネ導入量は着実に増加しています。蓄電池も含めた調整力の強化や、送電網の増強(特に風力が豊富な道北・道東から需要地札幌圏への送電容量拡大)は喫緊の課題であり、北海道は有識者や電力会社を交えた対策検討を2024年度中にまとめる計画です。そして最大のカードは泊原発の再稼働で、仮に2030年代前半までに泊全基が動けば供給力は飛躍的に高まり、需給は大幅に改善します。泊3号機だけでも先述のとおり約90万kWのベース電源となり、需要見通し693万kWに対し7%強の余裕を生む計算です。全基再稼働となれば供給力合計は800万kW台後半に達し、老朽火力の休廃止や本州送電への融通余地まで見えてきます。

総じて2026年以降の北海道の電力需給は、「需要増に追いつく供給増強」がキーワードとなります。データセンター企業なども非常用自家発電設備や自社太陽光発電を構えつつありますが、基幹電力なしには事業継続は困難です。北電は地域独占の送配電網と発電所を持つインフラ企業として、その責務を果たすため投資計画を拡大させています。電力の安定供給なしには新産業誘致も頓挫しかねず、裏を返せば供給力さえ確保できれば北海道は国内有数のデジタル産業集積地となり得るポテンシャルを備えています。

泊原発再稼働と新需要進出が北電の業績・株価に与える影響

以上を総合すると、泊原発の再稼働Rapidus・データセンターを中心とした需要構造の変化は、北海道電力の中長期的な業績と株価に大きな影響を及ぼす見通しです。一言でいえば、北電の経営環境は「需要増+原発再稼働」により好転しうる局面に差しかかっています。まず業績面では、これまで燃料価格の高騰や規制料金凍結など逆風下で苦しんでいた収支が、原発再稼働によるコスト低減と新規需要の増収効果により安定成長軌道に乗る可能性があります。実際、電力株は2023年以降総じて回復基調にあり、とりわけ再稼働が具体化した電力会社では業績改善が鮮明です。東北電力は2023年末に女川原発2号機が11年ぶりに営業運転を再開し、直後に一部電気料金の値下げに踏み切りましたが、その後も業績は黒字基調を維持しています。同社株価も底値から持ち直し、PER水準では北電以上に割安な水準で推移しています。これは市場が「利益増は一時的」と見ている側面もありますが、逆に言えば泊原発が計画通り稼働し新規需要が軌道に乗れば、北電の利益増は持続的と評価され株価の大幅な見直しが起こる可能性があります。

事実、2023年夏には「北海道で猛暑による電力需要増やデータセンター進出期待から電力株が物色され、北電株は前日比+5.3%と大幅高になった」との市場コメントも報じられました。こうした短期的な株価反応はともかく、中長期では業績拡大と財務改善が株主価値向上に直結します。巨額の原発安全対策費や火力燃料費調達で膨らんだ有利子負債の削減、自己資本比率の向上(2025年3月期時点17.5%)にも弾みがつくでしょう。財務基盤が強化されれば、将来的な増配や自己株買いといった株主還元余力も生まれ、これもまた株価押上げ要因となります。もっとも、新産業誘致競争は他地域との戦いでもあり、例えば熊本県では台湾TSMCの工場進出を機に九州電力が電力供給で応えています。北海道でも万全な供給体制を示せなければ、企業誘致競争で不利になり中長期需要が頭打ちとなるリスクも存在します。また、原発再稼働については社会的な安全合意が前提であり、不測のトラブルや訴訟リスクもゼロではありません。

こうしたリスク要因はあるものの、現時点で北電を取り巻く環境は震災後10年余りの「需要縮小・原発停止」による苦境から脱しつつある転換点にあります。需要側では半導体・データセンターという成長産業が電力ビジネスに活力を与え、供給側では原発再稼働と再エネ拡大で安価な電源比率が高まる構図です。この変化は北電の利益構造を改善し、株式市場における評価も「構造的低収益企業」から「成長ポテンシャル企業」へと変容させる力を持っています。実際、証券アナリスト予想でも北電株の目標株価引き上げが相次いでおり、中立から強気への見方が増えています(2025年7月時点の予想株価平均885円は現値を上回る水準)。

総括すると、泊原発の再稼働実現とRapidus・データセンターによる新需要の取り込みが順調に進めば、北海道電力の業績は中長期的に大きく改善しうるでしょう。その結果、従来低迷していた株価や企業価値にもポジティブな変化が期待されます。一方で、それらを現実のものとするためには、安全最優先の原発運営と安定供給インフラ整備という責務を全うすることが不可欠です。北電が掲げる「ほくでんグループ経営ビジョン2035」にある通り、GX(グリーントランスフォーメーション)と新たな価値創造への挑戦を継続することで、北海道という地域とともに持続的な成長を遂げられるかが今後の焦点となっていくでしょう。北海道の電力の未来図は、日本のエネルギー転換とデジタル経済の行方を占う試金石でもあり、引き続き注目されます。




★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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