銘柄研究:2025/7/11(金)【個人的注目銘柄】エアトリによる近年の主な投資・買収企業と動向

前回記事でエアトリのグループ概要をまとめてみました。

積極的なM&A戦略でグループ企業を拡大していることがわかります。この記事ではそんなグループ企業の主だったものを調べてみました。

目次

1. 直近決算が好調な投資・買収先企業

株式会社インバウンドプラットフォーム
訪日旅行サービス事業(Wi-Fiレンタルや在日外国人向け生活支援等)
1)出資・取得時期
エアトリグループで育成後、2023年8月30日に東証グロース市場へ上場(エアトリ出資先IPO第13号)。上場直前はエアトリが約85%を保有していました(上場時も約65%保有)。

2)直近業績
訪日需要の回復で業績が急回復し好調です。2023年9月期には売上高846億円、営業利益34億円を達成(2019年度比で大幅増収)。上場初値は公募価格比+37.9%の2,551円となり、市場評価も高く、初値基準の時価総額は700億円超に達しました。

3)好調要因
コロナ後の訪日観光ニーズ急増を的確に取り込み、Wi-Fiレンタルなど主力サービスの取扱が大幅増加したためです。加えて、キャンピングカー事業なども含めた多角展開や高効率の運営体制が収益改善に寄与しました。エアトリ出資による上場準備支援も奏功し、初値段階で営業利益率4%超の黒字転換を果たしています。

4)エアトリ出資比率
上場時点で約65.14%(上場に際し一部放出)。

かんざし
宿泊業向けクラウドサービス事業(宿泊予約サイト一元管理システム「かんざしクラウド」等を提供)
1)出資・取得時期
2016年11月の設立時にエアトリ(当時エボラブルアジア)が40%出資し創業支援。その後も資本参加を維持し、2023年5月にエアトリ子会社(エヌズ・エンタープライズ)との経営統合を発表。統合によりエアトリのクラウド事業中核として再編されました。

2)直近業績
コロナ後の国内旅行回復により宿泊施設からの利用件数が増加し、継続課金型のストック収益が拡大しています。契約ホテル・旅館数の伸長に伴い売上が順調に積み上がり、業績は拡大基調です。具体的な数値開示はありませんが、「かんざしクラウド」は高い継続利用率を誇り(解約率極小)、2023年は前年比大幅増収・黒字維持と評価されています。

3)好調要因
宿泊業界のDX需要を捉え、業務効率化SaaSのストック型成長を実現している点です。予約サイトの一括管理ニーズが高く、既存顧客への追加サービス(写真管理「シャシーン」等)アップセルによる客単価向上も奏功しています。また国内旅行市場の復調でホテル側のIT投資意欲が増したことも追い風です。

4)エアトリ出資比率
経営統合後は過半数超をエアトリが実質支配するとみられます(2017年に一部株式売却後も30%保有。2023年の統合で完全子会社化に近い形となった可能性が高い)。

スカイマーク株式会社
航空業(国内航空会社)
1)出資・取得時期
2023年10月、投資ファンドのインテグラル社から発行済株式の3.25%に当たる株式を譲り受け、資本参加。同社は2022年12月に東証グロース市場へ再上場済み。

2)直近業績
コロナ禍からの需要回復で業績好転。2023年3月期は売上高846億円、営業利益34億円を計上し黒字転換しました。国内航空各社の中で定時運航率5年連続1位(2017~2021年度)顧客満足度1位(2022年度)と高いサービス品質を維持しつつ、収益性の高い路線へ注力したことで利益率が改善しています。再上場時の公開価格1,170円に対し初値1,300円超となり、時価総額は約700億円規模で推移しています。

3)好調要因
国内航空需要の持ち直しと同社の効率的な経営体制によります。単一機材運用(B737-800型のみ、29機保有)によるコスト最適化や、主力の羽田路線で高搭乗率を確保できたことが奏功。また旅行需要回復に合わせた路線運賃戦略がはまり、2022年度には顧客満足度No.1も獲得するなどブランド力向上が収益に寄与しました。

4)エアトリ出資比率
3.25%(議決権ベース)。エアトリは少数株主ですが、オンライン旅行事業とのシナジー創出を見込んだ戦略投資と言えると思います。

FUNDINNO(株式会社FUNDINNO)
  株式投資型クラウドファンディング事業
1)出資・取得時期
  2023年9月に資本業務提携を実施。エアトリCVCを通じたマイノリティ出資で、
  具体的比率は非公表ながら推定数%規模とみられます。
2)直近業績
  日本初の株式投資型クラウドファンディングとして案件数・取扱高ともに業界トップを維持し、
  大きく成長しています。2023年には累計成約額150億円を突破、さらに半年で200億円に到達
  2025年5月時点で公開資金調達件数650件超、登録ユーザー数16万人を突破するなど利用者基盤も拡大。
  またプロ投資家向け大型案件サービス「FUNDINNO PLUS+」で1件あたり18億円超の調達事例
  生まれるなど収益機会が拡大しています。直近年度の売上高は非公開ながら、前期実績で
  約8.6億円(前年比1.84倍)との情報もあり成長率は高水準です。
3)好調要因

  スタートアップ投資ブームの波に乗り、個人が少額からベンチャー株に投資できる同サービスの
  需要が急伸したためです。エアトリとの提携で顧客基盤共有や新規案件発掘のシナジーも期待されます。
  また規制緩和(特定投資家制度やJ-Ship制度創設)により1社数億~数十億円規模の調達も可能となり、
  プラットフォームの取扱高拡大につながっています。以上から業績は堅調に右肩上がりです。
4)エアトリ出資比率

  非公表(資本業務提携のため数%程度と推測)。経営への関与度合いは限定的で、
  主に事業提携を目的とした出資です。

2. 上場準備中または上場予定とされるグループ企業・出資先

株式会社かんざし
  宿泊・観光向けクラウドサービス企業(エアトリ経済圏「クラウド事業」の中核)
1)上場予定時期
  未公表だが上場準備中。エアトリの決算説明資料において「株式会社かんざし ※上場準備中」
  明記されており、早ければ2025年前後の東証グロース市場上場を目指しているとみられます。
2)想定時価総額

  数十億円規模と予想されます。宿泊業界向けSaaS企業として、同業態の上場企業や直近IPO事例と
  比較すると時価総額100~150億円程度を目標にしている可能性があります(成長性を加味した
  バリュエーション)。実際にエアトリは2023年にかんざし社をエヌズ・エンタープライズと経営統合して
  事業規模を拡大しており、上場時に一定の企業価値を実現する戦略と考えられます。
3)エアトリ出資比率

  およそ70~100%相当(経営統合前は持分約30%でしたが、統合によりエアトリ連結子会社化
  されている)。上場時にはエアトリが筆頭株主として過半数保有も視野に入れつつ、
  一部放出して流動性確保する可能性があります。

株式会社エアトリエージェント
  スタートアップ向けHRコンサルティング事業(エアトリの新規17事業目)
1)上場予定時期
  未公表だが上場準備中。2023年にエアトリが完全子会社化して事業開始した人材ソリューション企業で、
  資料上「エアトリエージェント ※上場準備中」と記載されています。
  今後数年内(2025~2026年以降)の株式公開を視野に入れている状況です。
2)想定時価総額

  数十億円未満規模と推定されます。事業開始から間もないため上場時は小型案件になる見込みですが、
  スタートアップの採用支援という成長分野であり、黒字化達成や顧客基盤拡大次第では
  時価総額数十億円(20~50億円程度)を目指す可能性があります。
  エアトリグループのIPOノウハウを活かし、まずは着実に利益計上できる体制構築を進めている段階です。
3)エアトリ出資比率
  100%(完全子会社)。上場時にはエアトリ親会社として一定割合を保有継続しつつ、
  一部売出しを行うことが想定されます。

株式会社GROWTH
  マーケティング人材マッチングプラットフォーム事業
1)上場予定時期
  中期的に予定(具体的時期未定)。2024年4月にエアトリが子会社化し「マッチングプラット
  フォーム事業」を新設しました。エアトリとの提携リリースで「エアトリ子会社として上場を目指す」
  と明言されており、数年内(2025~2027年頃)のIPOを視野に入れています。
2)想定時価総額

  同社は創業2020年と若く、まずは事業拡大フェーズのため、IPO時は数十億円規模(おそらく
  時価総額50億円以下の小~中型)になると推測されます。マーケティング特化の人材マッチング
  サービス『JOB DESIGN』等を展開し成長余地は大きいものの、業績トラックレコードを
  積んでからの上場となる見込みです。エアトリは豊富な上場支援ノウハウを提供するとしており、
  適切なタイミングでのIPO実現に向けて伴走するとしています。
3)エアトリ出資比率
  100%(完全子会社)。上場時にはエアトリが大株主として50%弱を保有し、段階的に資本政策を
  進める形が想定されます。

bravesoft株式会社
  イベントテック(イベント運営プラットフォーム「eventos」等)開発企業
1)上場予定時期
  将来的に計画(具体時期未公表)。エアトリは2023年1月に資本業務提携し、「将来的な上場を
  視野に入れ、効率的な準備を進められるよう支援する」と表明しています。
  今後数年以内(目安として2025~2026年以降)のIPOを目指す方向です。
2)想定時価総額

  数十億円規模になる可能性があります。bravesoft社はイベント支援SaaS「eventos」のほか、
  有名アプリ(TVerやbokete等)の開発実績を持ち受託開発収益もあるため、売上規模は
  比較的大きいと推察されます。イベント市場の本格回復を背景に成長が見込まれ、
  上場時には時価総額100億円前後を狙えるポテンシャルもあります。
  ただし市場環境に左右されるため、同社とエアトリは慎重にタイミングを図っていると思われます。
3)エアトリ出資比率
  非公開(少数株主)。提携時のリリースでは出資額・比率の開示はなく、おそらく数%程度
  出資とみられます。エアトリは経営には深く関与せず、主に上場ノウハウ提供や事業シナジー創出を
  サポートする立場です。

ICS-net株式会社
  食品原料のオンライン取引プラットフォーム運営
1)上場予定時期
  将来的に視野。2023年1月にエアトリが資本提携し、bravesoft社とともに「将来的な上場を視野に入れる」
  とされています。具体的なIPO予定時期は未定ですが、同社もエアトリの支援により上場準備を進める
  方針です。
2)想定時価総額

  小規模スタートアップのため、IPO時も数十億円未満(数億~十数億円台)の時価総額になる可能性が
  あります。ニッチ領域ながら着実に取引実績を伸ばせればIPOは可能とみられますが、市場への具体的
  アプローチはこれから本格化する段階です。
3)エアトリ出資比率
  非公開(少数出資)。bravesoft同様、数%規模の持分取得と思われます。エアトリは
  上場ノウハウ・バックオフィス面の助言など間接支援を提供します。

以上のように、エアトリは近年グループ会社・投資先のIPO輩出に積極的であり、かんざし社やエアトリエージェントといった子会社の上場準備を公式に進めています。

また、bravesoft社やICS-net社のような提携先スタートアップにも上場支援を行い、将来的なエグジット(IPO)を見据えた投資戦略を取っています。エアトリ自身が公表するデータによれば、2024年末時点でIPO済またはIPOを目指している子会社・関連会社は4社あり、上述の企業がそれに該当すると考えられます。

エアトリの出資比率は各社で異なりますが、上場準備中の主要グループ会社については高い持分(50~100%)を保持し、上場後に適切な水準まで放出する戦略を取る見込みです。




★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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