昨日トランプ関税問題の内容に決着がつき、日本は15%の関税となりました。それまで25%とか言われていたので、昨日今日の日本株式市場は安堵感からか、自動作会社を中心にエグい上昇を見せています。日経平均も年初来高値を更新し勢いづく日本企業。
その一方で、トランプの要求に対して日本は80兆円にも上る投資を約束してしまいました。
その中に日本にとってももしかしたら悪くないかもしれない話の一つとして、アラスカ油田開発の案件があります。
この記事ではその部分にフォーカスしてまとめてみました。
背景と対象プロジェクトの概要
トランプ前大統領が日本に参画を求めているとされるアラスカ油田開発プロジェクトは、主にアラスカ北部の巨大エネルギー開発計画です。
その代表例が、コノコフィリップス社が主導する「ウィロー石油開発計画」と、アラスカ州政府が推進する「アラスカLNG(液化天然ガス)プロジェクト」です。
ウィロー計画はアラスカ北極圏の国有石油保留地(NPRA)内で進められている大規模油田開発で、トランプ政権下の2020年10月に米内務省土地管理局(BLM)が承認しました。
BLMの発表によれば、このウィロー油田はピーク時に日量16万バレルの原油を生産し、30年以上にわたって操業する見通しです。一方、アラスカLNGプロジェクトは、アラスカ北部の巨大ガス田から南岸の港湾まで約1,300kmのパイプラインを建設し、天然ガスを液化してアジアへ輸出しようとする計画で、総事業費は約440億ドル(約6〜7兆円)にも及ぶ壮大なプロジェクトです。このパイプライン計画は、アラスカ州のエネルギー公社(AGDC)と米インフラ企業グレンファーン・グループが中心となって推進しており、2030年までの輸出開始を目標に掲げています。

要求が報じられた時期と背景
トランプ氏(2025年1月に再就任)が日本に対しこのアラスカ資源開発への協力を求めたのは、2025年前半の米日交渉の文脈で報じられました。
その背景には、トランプ政権が掲げる貿易不均衡是正策とエネルギー外交があります。トランプ氏は大統領就任直後の2025年1月20日、「アラスカの並外れた資源の潜在能力を解き放つ」との大統領令に署名し、前政権(バイデン政権)が環境保護目的で課していたアラスカでの石油・ガス開発規制を撤廃しました。これにより、北極圏国立野生生物保護区(ANWR)で停止されていた石油リース契約の復活や、NPRA内でバイデン政権が保護区域に指定していた約1,300万エーカーの新規開発解禁など、アラスカ全域での資源開発を全面推進する姿勢が鮮明になりました。
こうした政策方針のもと、トランプ政権は日本をはじめアジアの同盟国に対し、アラスカのエネルギー開発への参画を強く働きかけ始めました。2025年2月7日に行われた米日首脳会談(ホワイトハウス)では、トランプ大統領が石破茂首相に対し「日本が近く米国産LNGの歴史的な新規輸入を開始する」と述べ、「アラスカの石油・ガスに関する何らかの共同事業」に言及したと伝えられています。
実際、この会談でトランプ氏はアラスカLNGプロジェクトへの日本の支援を要請したと報じられ、翌3月4日には韓国政府も同プロジェクトについて協議に応じる意向を示したとされています。
また同日、トランプ大統領は議会演説で「日本と韓国はアラスカのパイプライン事業で米国と提携したがっている」と表明し、この案件を米国側の交渉成果としてアピールしました。つまり2025年初頭から春にかけて、日米間でアラスカの巨大エネルギー事業が外交・経済交渉のテーマとして急浮上していたことがわかります。
この要求の背景には、トランプ政権の強硬な通商戦略があります。トランプ氏は日本や韓国、台湾など主要貿易相手国に高関税を課す圧力をかけつつ、一括的な包括交渉で譲歩を引き出そうとしていました。米財務長官のスコット・ベッセント氏は2025年4月のインタビューで、「交渉が進む中で各国からどんな提案が出てくるか見極めている」とし、その例として「アラスカの大型エネルギー案件に日本や韓国、台湾が関与する可能性」を挙げています。
具体的には「日本などが資金提供や大口のオフテイク(引取)契約を行うこともあり得る。これが(高関税に代わる)代替策になるかもしれない。米国民に多くの雇用をもたらし、かつ貿易赤字の縮小にもつながるからだ」と説明しました。
このように、米国の巨額貿易赤字削減と同盟国への関税措置緩和を取引材料に、アラスカのエネルギー開発参画が求められたのです。
報道では、トランプ政権がこうした交渉カードとしてアラスカLNG事業への出資を日本に迫っている状況が克明に伝えられています。例えばロイター通信は、「トランプ米大統領が意欲を示す440億ドル規模のアラスカ州ガス開発計画に、日本政府が支援する可能性を議論している」と2025年1月末に報じています。

これは、発足直後の新政権(トランプ政権)が対日貿易赤字を問題視していることから、摩擦回避のため日本側が対応策を検討し始めたという文脈でした。関係者によれば石破首相の初の日米首脳会談でトランプ氏がこの案件を議題にする可能性があり、日本側も「米側から正式に話があれば検討する用意がある」としていたといいます。
日本側の真意としては、米国との貿易摩擦(対日赤字は約560億ドル)の解消や、高関税リスクの回避を図る狙いがあり、米国産LNGの追加購入、防衛力強化(米製装備品購入)、対米投資拡大といった選択肢の一つとしてアラスカLNG案件が浮上したということです。
トランプ政権・トランプ氏個人の要求内容
トランプ前大統領およびその政権が日本に対して行った要求の具体的内容は、大きく分けて経済協力(投資・購入)と外交的圧力の二点に集約できます。
まず経済面では、「アラスカ州の大型石油・ガス開発事業に資金を出し、プロジェクトを共同推進してほしい」という要請です。具体的には、前述のアラスカLNGパイプライン計画への出資参画や、そこで生産されるLNGの長期購入契約(オフテイク契約)を日本政府・企業に結ばせることが求められていました。
トランプ氏はこの事業を「米国の繁栄と安全保障に重要」だと位置付け、アジアの同盟国にとっても安定エネルギー供給源となると強調しています。日本がこのプロジェクトに出資・協力すれば、結果的にアメリカの対日輸出(エネルギー分野)が拡大して貿易赤字が縮小する上、雇用創出にもつながるため、トランプ氏は「ウィンウィンの関係だ」と売り込んでいるのです。
こうした提案はしばしば高圧的な外交カードとして提示されました。報道によれば、トランプ氏は近隣諸国との通商交渉で「関税引き上げ」という威嚇とセットでエネルギー案件への協力を迫る戦術を取っていました。国際環境NGOのFoE Japanは「ここ数ヶ月、トランプ大統領はアジア・太平洋地域のLNG購入国に対しアラスカLNGをちらつかせながら関税で脅すという脅迫的な態度をとってきた」と批判しています。まさに日本や韓国に対しては、自動車などへの高関税(最大25%)を発動するぞと圧力をかけ、その代わりにエネルギー・防衛・投資面で譲歩を引き出す――その代表格がアラスカ開発案件だったのです。
要求の具体例として、トランプ氏は日米合同での事業会社(ジョイントベンチャー)設立にも言及しました。2025年7月には、ホワイトハウスで「日本とLNGに関して大きなディールを行う」と述べ、「日本が米国と共にアラスカでLNGの合弁事業を立ち上げる」と明言しています。この発言は、同月に日米間で大枠合意された通商協定(日本側が米国への大型投資を約束し、米国は自動車関税を15%に据え置く取引)の中で打ち出されたものです。トランプ氏はこの取引を支持者に対し「日本が5,500億ドル(約80兆円)規模の対米投資を約束し、米国はその利益の90%を得る史上最大の貿易ディールだ」と宣伝しました。つまり、その中核に据えられた一つがアラスカでの日米エネルギー共同事業構想だったのです。
要約すれば、トランプ政権の要求内容は「日本がアラスカの石油・ガス開発に資金・技術を提供し、得られた資源を長期購入することで米国を支援せよ」というものです。この要求には外交的圧力(関税措置の回避や安全保障上の取引)も絡んでおり、従来のエネルギー商談以上に政治色の強い“ディールとして日本側に突きつけられたと言えます。
アラスカ油田開発の規模・詳細
アラスカ油田・ガス田開発の規模は非常に大きく、米国国内のみならず国際的にも注目を集める理由となっています。以下に主要プロジェクトの規模を整理します。
以上のように、アラスカの油田・ガス田開発は埋蔵量・生産量ともに巨大であり、その事業期間も10年単位の長期にわたります。
例えばウィロー油田は30年以上の生産継続が想定され、アラスカLNGも一旦稼働すれば数十年に及ぶガス輸出インフラとなります。開発面積もNPRA全域で2,300万エーカー(日本の本州に匹敵)に及び、ANWR沿岸平野だけでも60万ha規模です。要するに、「国家的プロジェクト」級の事業規模であり、日本にとっても単独では経験したことのないスケールの資源開発案件となっています。
もっとも、その巨大小規模ゆえに経済性(採算性)や環境面の懸念も指摘されています。
開発への日本企業の関与・要請を受けた企業
トランプ政権がアラスカ油田・ガス田開発への参加を打診・要請した相手は、日本政府のみならず日本のエネルギー関連企業にも及びます。報道では、以下のような具体的企業名が挙げられています。
INPEX(インペックス)
日本最大の石油・ガス開発企業。政府が筆頭株主であり、海外資源投資の中核企業です。2025年3月、同社の上田隆之CEOは「問題は(このプロジェクトが)経済的に持続可能かどうかだ」と述べ、極寒の地であるアラスカでパイプラインを建設する難しさやコスト上昇リスクに言及しました。INPEX社は政府から現時点で特に何らかの指示を受けていないとも報じられています。しかし、アラスカ州当局やAGDCは東京訪問時にINPEXとも意見交換を望んだとされ、参画候補の一つと見做されています。
三菱商事・三井物産
日本の大手総合商社2社。いずれも世界各地でLNG開発・輸入事業に深く関わり、アラスカ案件でも有力な参加候補と目されています。三井物産はコメントを控えているものの、関係者によればAGDC側は三菱・三井両社にもアプローチしており、資本参加や資金調達への役割を期待しているようです。
JERA(ジェラ)
東京電力と中部電力の共同出資による日本最大の発電事業会社で、世界有数のLNGバイヤーです。2025年5月末、JERAが初めて具体的な関心を示したことが明らかになりました。関係者によれば、JERAは開発主導企業である米グレンファーン社に対し、法的拘束力のない関心表明書(EOI)を5月に送付したとのことです。これはトランプ政権が日本などに参画を求め始めて以降、日本企業として初の具体的行動でした。JERA広報はこの件にコメントを控えましたが、経産省も6月上旬の関連会議に担当審議官を派遣するなど、政府・企業間で情報共有が進められました。JERAの動きは、今後実際にLNG購入につながる約束ではないものの、「選択肢として検討に入れた」段階であり、日本側の前向き姿勢を象徴する出来事です。
JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)
資源エネルギー安全保障のため海外プロジェクトへの出資・債務保証を行う日本政府系機関です。AGDCの関係者は、日本のエネルギー業界関係者とプロジェクトについて議論したと述べていますが、具体的な内容は明らかにされていません。ただし、匿名筋の情報としてJOGMECや国際協力銀行(JBIC)がプロジェクトへの融資に関与する可能性も示唆されています。JOGMECは海外資源開発投資にしばしば共同出資しており、民間企業単独では負担の大きい案件に政府支援を与える窓口となります。
JBIC(国際協力銀行)
日本政府系の金融機関で、エネルギー安全保障関連の海外投融資支援を行います。2025年7月、林信光JBIC総裁は定例会見で「日本企業がアラスカ州のLNG開発事業への参画やLNG輸入を検討する場合、他の案件と同様サポートしていきたい」と表明しました。現時点で企業の具体的関与は未定としつつも、「同事業は日米関税交渉の中で日本の関与に注目が集まっている」との認識を示しています。JBICとしても、政治交渉カードになり得る案件で日本企業が不利とならぬよう交渉を支援する考えであり、韓国・台湾など他国の動向も見極めつつ「しっかりサポートしていく」構えです。
以上のように、商社・エネルギー開発・電力会社・政府系金融機関と幅広い日本側関係者がアラスカ案件に絡んで名前を挙げられています。これらの企業・機関はいずれも、国家的にも重要な資源調達に関わる主体です。トランプ政権はこれらに対し直接・間接に働きかけを行い、「日米官民連携」でプロジェクトを推進したい意向を示しました。
なお2025年3月にアラスカ州代表団(AGDCとグレンファーン幹部)が来日した際には、東京で産業界リーダーに対し経済性や戦略的優位性の説明会を開き、参加の機会を話し合う場を設けています。その場にも上述の企業関係者が招かれたと見られ、日米間で実務的な対話が始まっている状況です。
出資規模・経済的インパクトと日本側の対応
出資額や経済的影響については、先述のようにアラスカLNGプロジェクト全体で約440億ドル(6兆円超)もの投資が必要と見積もられており、日本が関与する場合でも数千億〜数兆円規模の負担が想定されます。
報道では、2025年時点で具体的な日本からの出資額は決まっていないものの、「日本が対米投資強化カードの一つとして検討」しているとされています。日本側の狙いは、巨額の対米投資を通じて貿易交渉上の懸念材料(関税引き上げなど)を減らすことにあり、エネルギー案件は防衛装備購入やハイテク投資と並んで「数兆円規模の対米投資メニュー」の一つとなっています。
日本政府内では、この投資に見合う経済的利点について慎重な検討がなされています。一つはエネルギー安全保障上の効果です。アラスカからのLNG調達が実現すれば、日本のLNG輸入先の多角化につながる可能性があります。
現在日本はLNGの約1割をロシアから輸入していますが(2022年度実績)、アラスカからの供給が得られれば、中東依存と合わせてロシア依存も低減できると指摘されています。またアラスカは地理的に日本に近く、地政学リスクも低い安定供給源となり得ます。JBIC総裁も「日本に近く地政学的リスクもないアラスカでガスが開発される意義は大きい」と述べています。さらに日本企業にとって、パイプライン建設・液化プラント建設といったプラント受注や、将来的なカーボンニュートラル技術(CCSやクリーン燃料への転用)などビジネス機会も見込まれます。このため、関係企業の株式市場で思惑的な動きも出ました。例えば日揮ホールディングス(プラント建設大手)の株価が「日米協力の可能性」を材料に急騰する場面も報じられています。
しかし同時に、採算性への懸念は依然強く存在します。アラスカLNGの事業採算ラインについて、日本側のエネルギー専門家から「相当厳しい」との声が上がっています。実際、アラスカから長大なパイプラインを建設し、高コストで産出されるLNGは、中東やアジア他地域からの調達に比べ割高になる可能性があります。日本はすでに必要量以上のLNGを調達しており、2023年度には国内消費の半分以上(約3,800万トン)を余剰として海外転売していました。これは国内需要減や電力会社の在庫過多を示すもので、「日本にとってアラスカLNGは明らかに不必要」とする指摘もあります。FoE Japanは、日本企業が既に調達するLNGの37%を転売している事実を挙げ、「この状況で新規LNG事業を始めるのは極めて不適切」と強く批判しています。
経済産業省や関係当局も、トランプ政権との交渉において「価格が妥当であること」「日本側に転売を認める柔軟性が含まれること」などを絶対条件に挙げており、採算の取れないディールには応じない姿勢です。
日本政府の公式対応としては、石破首相が国会で「日本は化石燃料依存を減らす必要があるが、安定的エネルギー供給について米国に要請すべきことはあると思っている」と答弁するに留め、具体的な案件には言及を避けるという慎重な立場を示しました。
政府高官らも「どんな取引であれ日本側にメリットがなければ応じられない」と強調しており、首脳会談においてもアラスカ投資を含むLNG協力について確約はできないとの見通しを示しています。実際、2025年2月の首脳会談後に発表された共同声明などには直接この件は盛り込まれず、水面下の協議が続いている状況と考えられます。日本側としては、「関税問題の火消し」と「経済合理性」のバランスを取りつつ、最終判断を慎重に見極めている段階といえるでしょう。
政治・経済的波紋とメディアの反応
トランプ前大統領によるこの要求は、日本国内および国際社会で様々な波紋と反応を呼んでいます。
日本国内の政治的反応
自民党内では石破政権に対し「米国の過度な要求に応じるべきではない」とする慎重論も根強いと報じられています。石破首相自身、トランプ氏との個人的な太いパイプを持たないため、周囲には在米上院議員(ハガティ氏)やシンクタンク専門家(ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン氏)らに意見を仰ぎつつ対応を模索しているとも言われます。日本はトランプ政権1期目にも在日米軍駐留経費や鉄鋼関税などで揺さぶられた経緯があり、今回も同様の圧力外交に警戒する空気があります。一方で、日本が対米関係を重視するあまり巨額投資を安易に約束すれば国民の反発を招くリスクもあります。実際、野党や一部メディアは「80兆円もの対米朝貢」などと批判的な論調を張っており、政府としては国内説明にも腐心しています。
経済界・市場の反応
上述のように、一部日本企業(特にエネルギー・プラント関連)はこのニュースに敏感に反応しました。日米関税交渉で一定の合意が見えた7月には、日経平均株価が一時800円以上急騰し史上最高値圏(42,000円超)に達する場面もありました。これは自動車株を中心に買いが入ったことや、投資マネーが日本市場に流入するとの期待感が背景です。トランプ氏が「日本からの投資で米国に数十万の雇用が生まれる」と強調すると、日本企業側も対米ビジネス拡大のチャンスと捉え、関連プロジェクトへの関与に前向きな姿勢を示しつつあります。ただし、同時に企業からは「採算が取れなければ株主を説得できない」との声も出ており、ビジネスとして筋が通る条件を引き出すことが求められています。
メディア・世論の反応
日本の主要メディアはこの問題を大きく取り上げ、賛否両論の論調が見られます。経済専門紙などは「エネルギー協力を通じ同盟強化を図るチャンス」と前向きに評価する一方、全国紙やテレビでは「6兆円超の巨費を投じても採算が合わない可能性」を指摘する解説も多く出ています。TBSテレビの経済報道(Bizスクエア)は「現地では期待が膨らむ一方で採算を疑問視する声も」と伝え、北極圏という特殊環境ゆえのハードルを紹介しました。
またNHKや朝日新聞は、環境保護団体の反発に言及し「バイデン前政権が慎重だった案件をトランプ氏が推し進めることへの国際的批判」を報じています。とりわけ気候変動問題の観点からは、このプロジェクトはパリ協定にも逆行しかねないとして欧米の環境NGOが強く反発しています。前述のFoEや米国の生物多様性センター、グリーンピース等は連携し、2025年6月2日に予定される国家エネルギー優位性会議(トランプ政権が設置)での同プロジェクト推進に抗議する公開書簡を石破首相宛てに送付しました。150以上の団体が署名したこの書簡では、「本事業は莫大なコストがかかる上、気候変動を危機的水準まで悪化させ、アラスカ先住民の生活や生態系を破壊する。貴重な公的資金を、決して満足することのない大統領を満足させるためだけに投入すべきでない」と痛烈に批判しています。日本の大手損害保険3社も既に北極圏でのガス採掘事業に対する保険引受を行わない方針を打ち出しており(環境リスクへの対応)、民間からの協力拒否も広がりを見せています。
国際的な影響
この要求問題は、米国の同盟国政策やエネルギー地政学にも影を落としています。韓国や台湾も巻き込んだ形で「対中包囲網の一環としてのエネルギー協力」と見る向きもあり、実際トランプ政権は中国からの輸入を減らす代替としてアラスカLNGを位置づけている節があります。
韓国政府はトランプ氏との交渉でアラスカ案件について協議入りを表明しましたが、韓国内でも賛否が割れています。台湾に至っては、2025年2月に経済部が「アラスカ産天然ガスの購入可能性を検討」と発表し、トランプ関税の回避策として真剣に受け止めている様子です。つまり国際的には、アジア太平洋の複数国が同時にトランプ政権のエネルギー外交圧力に晒されている状況とも言え、各国の足並みや交渉力が問われています。
総じて、トランプ前大統領が日本に要求しているとされるアラスカ油田・ガス田開発参画問題は、エネルギー・経済・外交・環境が交錯する複雑なテーマです。
信頼できる報道や政府資料を総合すれば、日本側はその戦略的意義を認めつつも、採算性や国内理解を得るため慎重に対応していることが浮かび上がります。
一方、トランプ氏は自らの政治的成果として大々的に喧伝しており、2025年7月の時点で「ミッション達成(Mission accomplished)」といった声も聞こえる状況です。
今後、日本企業・政府がどの程度このプロジェクトにコミットするのか、そしてそれが日米関係やエネルギー市場にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注意深く見守る必要があるでしょう。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。




