銘柄研究:2025/1/2(木)三井金属について

三井金属鉱業株式会社(5706)は、銅箔で世界首位級の非鉄大手です。昨今は半導体材料にも強みがあり、自動車部品にも注力しています。

2025年3月期第2四半期の決算では経常利益が383億88百万円となり、アナリスト予想の326億50百万円を17.6%上回りました。また、通期の経常利益予想も従来の480億円から550億円へと上方修正され、23.6%の増益を見込んでいます。

あまり知られてないのかもしれませんが、全個体電池の素材生産や、次世代半導体技術を持っていたりと、単なる「非鉄」から大きく様変わりしてきている会社です。

目次

業績の展望

  • モビリティセグメント: 排ガス浄化触媒の販売量増加が見込まれています。
  • 金属セグメント: 円安や金属価格の上昇が収益改善に寄与し、在庫要因の好転も期待されています。

リスク要因

  • 市場価格の変動: 非鉄金属の価格変動が業績に直接影響を与える可能性があります。
  • 為替リスク: 円相場の変動が収益に影響を及ぼす可能性があります。
  • 供給チェーンの不確実性: 原材料の調達や製品の供給におけるリスクが存在します。

カタリストとなり得る要因

  • 新製品の投入: 機能材料やモビリティ関連製品の新製品投入が業績拡大の要因となる可能性があります。
  • 市場需要の拡大: 電気自動車や再生可能エネルギー関連市場の拡大が、同社の製品需要を押し上げる可能性があります。
  • 効率化施策: 生産効率の向上やコスト削減策が利益率の改善につながる可能性があります。

三井金属が取り組む最先端半導体について

三井金属鉱業株式会社は、最先端半導体技術の分野で以下の取り組みを進めています。

1. 次世代半導体チップ実装用特殊ガラスキャリア「HRDP®」

HRDP®(High Resolution De-bondable Panel)は、配線幅と隣接する配線間隔(L/S)が2/2マイクロメートル以下の超高密度配線を可能にする特殊ガラスキャリアです。この技術により、次世代の半導体パッケージであるファンアウト・パネルレベルパッケージ(FO-PLP)の高効率な生産が実現します。

2018年の開発以降、ジオマテック株式会社と協働で量産体制を構築し、2021年1月から国内の複合チップモジュールメーカー向けに量産を開始しました。その後、海外のICチップ実装デバイスメーカー向けにも出荷を拡大しています。さらに、2025年には生産能力を倍増させる計画が進行中で、次世代半導体パッケージの開発を本格化させる大手メーカー各社への対応力を強化しています。

供給開始時期:
国内市場向け: 2021年1月より量産出荷を開始しました。
海外市場向け: 2021年12月より量産出荷を開始しています。
生産能力増強: 2025年に向けて、ジオマテック株式会社の赤穂工場内に第2ラインを導入し、生産能力を倍増させる計画です。

ジオマテックの記事もありますのでよろしければどうぞ。

市場動向:
HRDP®は、配線幅と配線間隔がそれぞれ2マイクロメートル(μm)以下の超高密度配線を可能にする特殊ガラスキャリアであり、次世代半導体パッケージの製造において高い生産効率を実現します。現在、主要な大手半導体メーカー複数社において、HRDP®を適用した次世代半導体パッケージの開発が本格的に進行中であり、5G市場や高性能コンピューティング(HPC)、モバイル分野など、多様なアプリケーションでの需要拡大が見込まれています。

2. 焼結型銅ペーストの開発

三井金属は、次世代パワー半導体の接合材料として焼結型銅ペーストを開発しています。この材料は、従来のはんだに比べて耐熱性や信頼性が高く、導電性や熱伝導性にも優れています。特に、電気自動車(EV)や発電・送配電機器、産業機器など、高出力・高信頼性が求められるパワーデバイス向けに期待されています。

供給開始時期:
量産開始: 2024年5月より、パワー半導体接合用焼結型銅ペーストの量産を拡大する計画です。

市場動向:
焼結型銅ペーストは、従来のはんだに比べて耐熱性や信頼性が高く、導電性や熱伝導性にも優れています。特に、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー設備など、高出力・高信頼性が求められる次世代パワー半導体の接合材料として期待されています。市場調査によれば、次世代パワー半導体の普及に伴い、焼結型ペーストの市場規模は2030年に向けて大きく拡大する見通しです。

これらの取り組みにより、三井金属は最先端半導体技術の分野で重要な役割を果たし、半導体デバイスの高機能化や製造効率の向上に貢献しています。

適正株価について

2024年12月30日時点での終値は4,667円でした。アナリストの目標株価は、みんかぶによれば5,072円とされています。また、株予報Proでは、2024年6月14日時点での目標株価が5,620円と報告されています。

これらの情報を総合すると、現在の株価はアナリストの目標株価に近い水準にあり、適正範囲内と考えられます。

一方、同社のPERは過去に大きく変動しており、2010年以降では赤字の年も含め、-120.17倍から37.12倍の範囲で推移しています。現在の5.58倍という数値は、過去の水準と比較しても低く、割安感があると考えられます。

現時点でのEPSは800円OVER。PER10倍が適正だと考えれば、上値余地は多分にあります。

今後の同社株価については個人的に大変期待しています。


★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。

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