2023年から2024年にかけて、半導体銘柄の中でひときわ輝きを放った銘柄のひとつは間違いなくTOWAでした。しかし2024年は春先の株価をピークに下落の一途をたどっています。
いまなお多くのホルダーがいると推測されるTOWAですが、浮上の目はあるのでしょうか?
今後の業績展望などを含めて以下にまとめてみました。
1. 会社概要と中国市場における位置付け
- TOWA株式会社は、半導体製造装置、特にモールディング装置(半導体のパッケージングプロセスに使用)で世界的なシェアを持つ企業。
- 売上の海外依存率は約90%。そのうち、中国市場が売上全体の約31.3%を占めており、同社の主要市場の一つ。
- 中国市場では、成長著しいEV(電気自動車)産業やAI半導体需要が、TOWAの製品需要を支えています。
2. 今後の業績の展望
生成AIおよびAI半導体向け需要
- AIや生成AI技術の普及により、複雑で高性能な半導体パッケージの需要が急増中。
- TOWAは、チップレット技術(複数の半導体を一つのパッケージにまとめる技術)に対応した高度なモールディング装置を提供。この技術は生成AIや次世代のデータセンター向け半導体に不可欠。
- 高付加価値製品の投入により、収益性の向上が見込まれる。
新興国市場の成長
- 中国以外の新興市場(インドや東南アジア)での半導体製造拠点の増加が、TOWAの売上拡大を後押しする見通し。
- 中国の半導体製造装置への規制が強化された場合、新興国市場の成長がリスクヘッジとして機能する可能性あり。
ESG対応
- 環境対応型技術の開発を強化。半導体業界全体でESG投資が進む中、TOWAの持続可能性への取り組みが企業価値向上に寄与する可能性。
3. 主なリスク
中国市場への依存
- 売上の約31.3%を中国市場が占めるため、米中貿易摩擦や地政学的リスクが重大な影響を及ぼす可能性。
- 輸出規制:アメリカ政府が中国への先端半導体製造装置の輸出を制限しており、これがTOWAの受注に影響を及ぼすリスクがある。
- 経済減速リスク:中国経済の成長鈍化が同社の製品需要を減退させる可能性。
競争激化
- 半導体製造装置市場は、アプライド・マテリアルズ(米国)やASML(オランダ)などの大手企業と競争が激しい。技術革新のスピードが競争優位性を左右する。
4. カタリスト(株価上昇要因)
生成AIとデータセンター需要
- 世界的な生成AIの普及により、TOWAのモールディング装置需要が持続的に増加。
- 高性能なデータセンター向け半導体需要がTOWAの業績を後押し。
中国以外のアジア市場の拡大
- インド、ベトナム、インドネシアなどの半導体製造拠点が急増中。これらの市場でシェア拡大を図る戦略が進行中。
技術革新
- チップレット技術や次世代モールディング装置など、他社との差別化を図る技術がさらなる成長をけん引。
5. 適正株価について
現在の株価
- 2025年1月2日時点の株価:2,833円(アナリスト予想のコンセンサス価格)。
PERと成長予測
- 同業他社の平均PERは20倍前後。TOWAのPERは約17~19倍(現時点)。業績成長が加速すれば、PER20倍以上の評価も期待される。
- EPS成長率(1株当たり利益)が2023~2024年で年率15~20%の増加を維持すると仮定した場合、適正株価は3,200~3,500円と試算される。
評価ポイント
- 生成AI需要拡大がポジティブ材料である一方、中国市場リスクを織り込む必要がある。
- 米中対立が緩和されれば、株価の上振れ余地が大きい。
まとめ
TOWA株式会社は、生成AIやAI半導体の需要拡大を追い風に、業績成長が期待される一方で、中国市場への依存による地政学的リスクを抱えています。
株価の妥当性を評価する際には、以下を注視する必要があります。
- 生成AIの進展による半導体需要。
- 中国市場のリスクと新興国市場での成長機会。
- 技術革新とESG対応の進展。
中長期的な成長期待を基に、適正株価は3,200~3,500円が妥当と見られますが、リスクを考慮し、最新情報に基づく判断が求められます。
トランプの対中国関税政策が起点になり、日本の半導体関連企業は2025年以降対中国売上比率が高い企業は苦戦を強いられると目されています。TOWAの約30%という対中国比率が高いか低いかなんとも言えない(間違いなく高いほうではあります)ところではありますが、後工程という独壇場の中で特殊な製品を扱っている会社です。今後株価は適正水準を取り戻す流れにはなると思います。
為替が円高に大きく振れればまた話は変わってきますが、今の為替レートのまま(1ドル150円台)行った場合、個人的には8月の決算発表以降で動意づくのではないかと思っています。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。