2024年12月期の通期業績予想では、売上高が130億円(前年同期比31.7%増)、営業利益が16.5億円(同28.6%増)、経常利益が14億円(同36.2%増)、当期純利益が8.8億円(同29.2%増)と、増収増益が見込まれています。
リスク要因
- 業績進捗の遅れ: 2024年12月期第3四半期累計(1-9月)の経常利益は7億円で、通期予想の14億円に対する進捗率は50.6%と、5年平均の65.7%を下回っています。
- 競争環境の変化: 在宅医療やホスピスケア市場における競争激化により、シェアの維持・拡大が困難になる可能性があります。
- 規制の変更: 医療・介護関連の法規制や報酬制度の変更が、事業運営や収益性に影響を与えるリスクがあります。
カタリスト(成長促進要因)
高齢化社会の進行: 日本の高齢化に伴い、在宅ホスピスや終末期医療の需要が増加することが予想され、同社のサービスへの需要拡大が期待されます。
新規施設の開設: 2024年には9施設・321室のホスピス施設を新規開設する計画があり、これにより収益拡大が期待されます。
資本業務提携: 2023年にスギホールディングスと資本業務提携を締結し、スギHDネットワークの活用による事業展開が進められています。
スギホールディングスとの資本業務提携後の展開について
日本ホスピスホールディングス(以下、日本ホスピス)とスギホールディングス(以下、スギHD)は、2023年6月16日に資本業務提携を締結しました。
この提携により、スギHDは日本ホスピスの発行済株式総数の19.91%にあたる1,600,000株を取得し、両社は以下の分野で協力を進めています。
ホスピス住宅事業の展開促進
- 物件情報の提供と共同開発: スギHDが保有する全国の物件情報を活用し、新規ホスピス住宅の候補地選定や共同開発を推進しています。具体的には、スギHDのドラッグストアと同一建物内にホスピス施設を併設する方法や、既存のドラッグストア敷地内にホスピス施設を建設する方法が検討されています。
- 生活必需品の供給: 入居者に対し、生活必需品や医療・衛生材料などを安定的かつ適時に、低価格で供給する体制を構築しています。
- 質の高い緩和ケアサービスの提供: 両社のサービスを融合し、入居者に対して高品質な緩和ケアを提供することを目指しています。
患者体験の一貫サポート体制の構築
- 居宅での受け入れ体制整備: 在宅でのがん・難病患者の受け入れ体制を共同で構築し、啓蒙活動を行っています。
- シームレスな連携体制: 居宅からホスピス施設への円滑な移行を可能にする連携体制を整備しています。
- 医療機関や患者家族への啓蒙: 医療機関や患者、その家族に対する啓蒙活動を強化しています。
具体的な取り組み
2024年11月には、神奈川県海老名市に「ファミリー・ホスピスさがみ野ハウス(仮称)」を開設予定です。この施設は、スギHDのドラッグストア敷地内に建設され、訪問調剤を併設することで、薬剤管理の一元化と緩和ケアの品質向上を図ります。
さらに、スギHDの医療機関ネットワークや訪問調剤サービスを活用し、ホスピス事業の認知度向上や集患力・採用力の強化、施設展開の加速を目指しています。
これらの協力により、両社は在宅ホスピス事業の拡大と質の高い医療・介護サービスの提供を推進しています。
サンウェルズの保険金不正受給問題とその影響
サンウェルズは、パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を運営する企業で、訪問看護に関する診療報酬の不正請求疑惑が報じられています。
問題の発端と経緯
- 2024年9月2日: 共同通信社が、サンウェルズの複数の施設で、併設する訪問看護ステーションが実際とは異なる記録を作成し、診療報酬を不正に請求していた疑いがあると報じました。
- 9月3日: サンウェルズは公式に「そのような事実は一切ない」と否定し、法的措置も検討すると発表しました。
- 9月20日: 同社は、外部の専門家を含む特別調査委員会を設置し、事実関係の調査を開始しました。
- 11月13日: 特別調査委員会の途中経過として、「該当し得る行為が一定の範囲で行われていたことを窺わせる情報が得られている」と報告されました。
株価への影響
これらの報道と発表を受け、サンウェルズの株価は大きく下落しました。
- 9月3日: 前日終値の2,916円からストップ安となり、2,416円まで下落しました。
- 11月14日: 株価はさらに下落し、972円のストップ安となりました。
今後の対応
サンウェルズは、特別調査委員会の調査結果を2025年2月に公表する予定です。調査結果次第では、株主が株価下落に対する損害賠償請求を行う可能性も指摘されています。
この問題は、介護業界全体の信頼性にも影響を及ぼす可能性があり、今後の展開が注目されています。
まとめ
日本ホスピスは好業績が続く介護業界では名の通った企業です。スギホールディングス(=スギ薬局)との資本業務提携もあり、その存在感はより大きくなっています。
しかし、昨年起きたサンウェルズの保険金不正受給問題は、介護業界全体に暗い影を落とす展開になっているように思います。
不正は無かったということになれば良いのですが、2025年2月に発表するとされている調査内容が、不正受給があったことを認める内容という事になれば、業界全体に調査のメスが入ることになる可能性もあります。
そういった事態にならないことを願ってはいますが、株価的にはそこで下落する局面があれば、買い場になるのかもしれないとも思います。
ちなみに日本ホスピスの同業他社の上場企業は以下になります。
日本ホスピスと同業または関連分野のサービスを提供する上場企業に絞って紹介します。これらは主に介護、訪問看護、ホスピスケア、または終末期医療に関連する分野で活動している企業です。
ホスピスや訪問看護に関連する上場企業
- セントケア・ホールディング株式会社 (東証プライム: 2374)
- 在宅介護や訪問看護サービスを展開する大手企業。
- 終末期ケアを含む幅広い在宅サービスを提供。
- ニチイ学館 (東証プライム: 9792)
- 介護サービス業界の大手で、訪問看護やホスピスケアも提供。
- 高齢者住宅や医療関連サービスも展開。
- ツクイホールディングス株式会社 (東証プライム: 2398)
- 訪問介護、デイサービスを中心に幅広い介護サービスを提供。
- 在宅ホスピスケアも一部展開。
- メディカルネット (東証グロース: 3645)
- 医療や終末期ケアに関連する情報提供やサービスを展開。
- 在宅ホスピス支援にも携わる。
- ソラスト株式会社 (東証プライム: 6197)
- 訪問介護、訪問看護、デイサービスを提供。
- ホスピスケアにも関連する事業を運営。
- ケアネット株式会社 (東証プライム: 2150)
- 医療従事者向けの情報提供や医療関連事業を展開。
- 在宅医療やホスピスケアにも関与。
- ウチヤマホールディングス株式会社 (東証プライム: 6059)
- 有料老人ホームやデイサービスを展開。
- 一部ホスピスケアを含む施設を運営。
- エイジア株式会社 (東証スタンダード: 2352)
- 訪問介護や看護関連のIT支援を提供。
- 介護業界の運営効率化を支援。
- 株式会社ソラスト (東証プライム: 6197)
- 介護事業や医療事務アウトソーシングを提供。
- ホスピスケアや在宅療養支援も展開。
★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。