銘柄研究:2025/2/11(火)【総合解説】ドリコム株と「ディズニーステップ」の可能性を徹底分析

ドリコムは、スマートフォン向けゲームやソーシャルサービスを主力事業として展開している国内企業のひとつです。近年、ゲーム業界は既存IP(知的財産)の活用や海外展開が鍵を握る局面にあり、大手企業だけでなく中堅企業にも成長のチャンスが巡ってきているように思います。

そうした中で、2025年3月末にリリースされる予定の新規大型IPタイトル「ディズニーステップ」に注目している方も多いのではないでしょうか。ディズニーという超強力なグローバルIPを活用しているうえに、位置情報ゲーム+ウォーキング要素という、ポケモンGOやドラクエウォークで実証済みのヒット領域に参入するということで、“第二のポケモンGOになり得るのではないか”という期待も一部で見られます。

この記事では、現時点で出来る限り調べられる範囲での「ディズニーステップ」プロジェクトの全体像と、関連するドリコムの株価や収益面、リスクと可能性について、ポケモンGOの先行例を踏まえて徹底考察していきます。

目次

1. ドリコムの事業概要と株価の現状

1.1 主要事業:スマホゲーム・サービス運営

ドリコムは元々、「ソーシャルゲーム」や「SNS関連サービス」の開発・運営を手掛けており、国内スマホゲーム草創期からのプレイヤーとして一定の存在感を持っています。近年ではIPホルダーとの協業も進め、人気キャラクターや有名コンテンツを活用したゲームをリリースすることで、収益安定を図っているのが特徴です。

1.2 業績面における特徴とリスク

  • 業績の上下動が大きい
    新規タイトルがヒットすれば大きく業績を伸ばす一方で、開発費や広告費が先行してしまう場合は赤字転落のリスクもあります。
  • IPコストとロイヤリティ
    ディズニーのような世界的IPを利用する場合、ロイヤリティ料率が比較的高く設定されることが多く、売上が思ったほど伸びなければ利益を圧迫する要因となります。
  • スマホゲーム市場の競合激化
    国内では市場の成熟化により、新作タイトルの定着が困難化しています。海外展開を狙う企業も多く、成功の鍵はマーケティング戦略や差別化ポイントにかかっていると言われます。

1.3 株価の変動要因とPER水準

  • 新作タイトル発表時の株価急騰・急落
    新興ゲーム株に多い特徴として、リリース前後の期待感で株価が急騰し、実際の売上データが伴わないと急落することも珍しくありません。
  • PER(株価収益率)は振れ幅が大きい
    将来の成長期待が大きいときにはPERが50~100倍まで買われるケースもあれば、失速時には20倍以下に落ち込むこともあり、非常にボラティリティが高い分野です。

2. 「ディズニーステップ」プロジェクトとは

2.1 位置情報ゲームとウォーキング要素

ディズニーステップは、位置情報や歩数データとリンクさせるタイプのスマホゲームとみられています。ポケモンGOやドラクエウォークのように「歩くこと」と「ゲーム内コンテンツ」が密接に結び付く仕組みにより、日常生活のなかで楽しみながらキャラクターを集めたり、イベントを進行したりするスタイルが想定されます。ウォーキング系アプリとして健康志向のユーザー層を取り込む可能性もあり、幅広い年代から注目を集める展開が期待されます。

2.2 ディズニーIPを活用する強みと懸念点

  • 圧倒的知名度・ファン層
    ディズニーキャラクターは世界中で愛されており、ファミリー層、女性ユーザー、コアなディズニーファンなど、ライトからヘビーまで非常に広範な市場を持ちます。これは強力な集客力につながるでしょう。
  • ロイヤリティの負担
    一方で、大手IPのライセンス使用料や契約条件は厳格で、売上が伸びないと大きなコスト負担となるリスクがあります。
  • 運営ノウハウの重要性
    どれだけ強いIPであっても、ゲームとして面白さや継続性がなければユーザーは離れます。継続的なアップデートとイベント運営で、いかにユーザーを飽きさせないかが鍵になります。

2.3 海外展開決定のインパクト

公式サイト(https://step-official.jp/)には海外展開の予定が明確に記されています。これは売上規模を世界基準で狙えるポジティブな材料と同時に、以下の点でリスク要因にもなります。

  • マーケティングコストの増加
    グローバルでローンチするには、地域別の広告・イベント・サーバー運営など多角的な戦略が必要です。
  • 言語対応や規制対応
    地域ごとに異なる法規制や課金文化への対応が不可欠となり、開発リソースを要します。

3. ポケモンGOとドラクエウォークなどの先行事例

3.1 ポケモンGOの成功要因と巨大市場への波及

ポケモンGO(2016年リリース)は、AR技術を活用した位置情報ゲームの金字塔的存在です。わずか数週間で全世界に社会現象を巻き起こし、初年度だけで数千億円規模の売上を記録。その後も定期的なイベントやアップデートによってユーザーを引き留め、2021~2022年時点でも年間10億ドル超の売上を維持しています。

成功の主因は、

  1. 世界的IP「ポケモン」× 位置情報× AR という新鮮な体験
  2. 直感的でシンプルなゲーム性
  3. 大規模な初期プロモーションとSNSでのバイラル
  4. 各地域と連動したイベント展開
    などが挙げられます。

3.2 ドラクエウォークの国内ヒットの背景

スクウェア・エニックスとコロプラが手掛けるドラクエウォークは、国内だけで大きな成功を収めています。ドラクエ自体の国民的IP力に加え、ポケモンGOを参考にした位置情報システムとRPG要素の融合で多くのファンを取り込みました。国内ヒットに特化しているため、海外展開こそ限定的ですが、国内での安定した課金層を維持しており、運営開始から数年を経てなお堅調な売上を誇ります。

3.3 他の位置情報ゲームとの比較(ハリポタWU等)

位置情報ゲームは一大ブームに乗った反面、成功例はポケモンGOやドラクエウォークなどごく一部に限られます。「ハリー・ポッター: Wizards Unite」はハリポタという強力なIPでありながら、ポケモンGOのような爆発的成功を収められず、最終的にはサービス終了しました。これはIPの強さだけではゲームユーザーを引き留められないことを示しており、運営体制・ゲーム性・タイミングのすべてが合致しないとヒットは難しいという現実があります。

4. ディズニーステップに期待されるシナリオ

4.1 初動DL数と継続率

スマホゲームにおいて最初の1~2週間のダウンロード数は極めて重要な指標です。ここで一気にユーザーを集め、その後の継続率が高ければ定常的な売上基盤を築くことができます。逆に初動が伸び悩むと、運営コストや広告費の回収に苦労しやすく、ヒットタイトルへの道が厳しくなります。

ディズニーIPはライトユーザーにも訴求しやすいため、初期DL数を確保できる可能性は高いと言えます。しかし、その後の離脱率(リテンション率)はゲーム性と運営の質に大きく左右されるでしょう。

4.2 課金率10%という仮説

位置情報ゲームでは、無課金でのプレイでも楽しめる仕組みを設計することが多いです。ポケモンGOでも、アイテム課金はゲームを有利に進める補助程度の位置付けであり、必ずしも高額課金が必須ではありません。

本記事では、総ダウンロード数のうち「10%」が課金ユーザーになるという前提でシミュレーションを行います。実際、ライトユーザー中心のタイトルでは課金率3~5%にとどまる例もあれば、コア層が多いゲームで10%を超える例もあります。ディズニーIPの強力ブランドを踏まえると、10%という数字はやや強気の仮定ではあるものの、可能性としては十分あると思います。

4.3 ARRPUを参考にした収益シミュレーション

ポケモンGOの平均年間収益(ARPUやARRPU)を参考指標としています。世界規模での推定値では、ユーザー一人当たり年間十数ドルから数十ドルといった幅があり、地域によってばらつきが大きいです。日本市場はユーザー単価が高いことが知られており、ポケモンGOの日本国内ARPUはグローバル平均よりも上振れしているという調査もあります。

5. 収益試算:初速100万DL/200万DL/300万DLの場合

ここでは、ディズニーステップが初年度に100万DL、200万DL、300万DLを獲得したシナリオを想定し、ポケモンGOに近いアイテム課金モデルを適用した際の年間売上を試算します。

  1. 課金率:10%
  2. 課金ユーザー数
    • 100万DL → 10万ユーザー
    • 200万DL → 20万ユーザー
    • 300万DL → 30万ユーザー
  3. 年間課金者一人当たり収益(ARRPU):170米ドル(約2万円)
    • これは、ポケモンGOの一般的な推定値(ARPU約17ドル、課金率10%)の応用で計算しています。
  4. 年間売上試算
    • 100万DL → 10万 × 170ドル ≒ 1,700万ドル(約18億円)
    • 200万DL → 20万 × 170ドル ≒ 3,400万ドル(約36億円)
    • 300万DL → 30万 × 170ドル ≒ 5,100万ドル(約54億円)

これらの数字は、ポケモンGOが世界的に築いている年間10億ドル規模と比較するとかなり控えめです。しかし、ディズニーステップはリリース初年度の仮定であり、さらに成功次第では海外展開でユーザー数が倍増する可能性もあります。初年度の結果を土台に年々ユーザーを伸ばし、イベント施策を充実させることで、売上が拡大していくシナリオも十分考えられます。

6. ドリコムの適正株価を考える

6.1 業績水準や発行株式数から見るレンジ

ドリコムは発行済株式数が3000万株弱。仮に年間純利益10億円ならEPS(1株当たり利益)は約36円、20億円なら約71円となります。このEPSに対し、PER30倍なら株価1,080円~2,130円、PER50倍なら1,800円~3,550円といった水準が基本的な計算で浮かびます。

6.2 新興ゲーム株としてのボラティリティ

実際には、ドリコムのような中堅ゲーム会社は新作タイトルの成功と失敗の影響が大きく、株価は大きく上下にブレやすいです。特に「ディズニーステップ」に関するニュースフロー(配信開始日、事前登録数、初日の売上ランキングなど)が出るたびに、株価が大幅に変動することが予想されます。

  • ヒット期待が高まる → 株価急騰
  • 期待を下回る初動 → 失望売りで急落

こうした流れは新興ゲーム株に典型的です。

7. 今後の展開予想と投資リスク

7.1 短期材料:ディズニーステップの初動成功

最も注目されるのは、やはり「ディズニーステップ」のリリース後1~2週間の動向です。

  • 事前登録数App Store / Google Playの無料ランキングで上位を獲得できるか。
  • 初動ダウンロード数が100万~300万規模に達するか。
  • ユーザーのSNS上の評価口コミ
  • 課金アイテムの受容度(ランキングや売上データ)。

これらの指標がポジティブに推移すれば株式市場の期待がさらに高まり、短期的に株価が大きく上昇する可能性があります。逆に伸び悩んだ場合、失望売りで株価が下落する恐れも否定できません。

7.2 中長期的視点:IP活用の拡大と海外展開

ディズニーステップは海外展開も視野に入れられているため、リリース初期は国内中心だとしても、数ヶ月~1年後にグローバル版の提供が拡大していく可能性があります。例えば北米、欧州、アジアへのローカライズ展開。これが実現すればユーザー数はさらに拡大し、収益ポテンシャルも膨らみます。ただし、同時に海外マーケティング費用・サーバー費用等もかかるため、利益率が圧迫されるリスクを織り込む必要があります。

7.3 投資判断のポイントと留意点

  1. 投資リスクが非常に高いセクター
    新興ゲーム株はハイリスク・ハイリターンの代表格です。短期間で株価が数倍になる可能性もあれば、失速すると半年以内に半値以下になることも。
  2. ニュースフローを逐次チェック
    新作タイトルの事前登録数、リリース日、売上ランキングなど、常に最新情報を追う必要があります。
  3. 期待バブルと業績貢献のギャップ
    リリース直後の売上が好調でも、ロイヤリティや宣伝費で実際の利益に反映されるまでタイムラグがあるケースも多いです。
  4. 競合タイトルの状況
    似た時期に他社の強力IPタイトルやアップデートが重なると、ユーザーが分散しやすいため影響を受ける可能性があります。

まとめ:エンターテインメント業界を変えるか、ディズニーステップの可能性

ドリコムとディズニーが協力し生み出す新作「ディズニーステップ」は、位置情報ゲーム×世界的IPというポケモンGOを連想させる魅力を秘めています。一方で、過去の事例が示すように、強いIPをもってしてもゲーム性や運営力が伴わないと大ヒットには繋がりません。以下のポイントが成功のカギを握るでしょう。

  • 魅力的なゲームデザインと継続的なアップデート
    ウォーキングや位置情報を“飽きない形”でコンテンツ化できるか。アップデートの頻度やイベント企画によって、ユーザー離脱を抑える仕掛けが必要になります。
  • グローバルを見据えたマーケティング戦略
    ディズニーは世界規模で人気ですが、それを活かすには各国・地域へのきめ細かなプロモーションが不可欠。現地のユーザー体験を考慮し、文化や規制面にも柔軟に対応することが重要です。
  • 運営コストと収益バランス
    いくら売上が伸びてもロイヤリティや広告費が増大すれば利益が圧迫されます。投資家は財務諸表を注意深くチェックし、利益成長の持続可能性を見極める必要があります。
  • 投資家が意識すべきボラティリティ
    新興ゲーム株にありがちな“期待バブル”と“実需”の差が株価に大きな揺らぎをもたらします。ポジティブニュースで急騰、思惑外れで急落というパターンを繰り返す可能性があり、短期投資と長期投資ではアプローチが大きく異なります。

最終的には、実際にリリースされてみないとわからない部分が多く、事前登録数・リリース直後のダウンロードランキング・ユーザーコミュニティの盛り上がりなどが成功を占ううえで非常に重要です。ポケモンGOほどの世界的大ヒットとなるか、ドラクエウォーク程度の安定ヒットを狙うのか、あるいはハリポタWUのように伸び悩むのか――。その結果次第では、ドリコムの業績と株価に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

いずれにせよ、3末までの株価上昇~リリースでの出尽くし下げ~DL初動が良ければ株価急騰~4月か5月の決算発表ではDSの数値は入っていませんが、経営計画書などの副資料が出ればそこには必ず展望の記載があるはずですから、そこでの内容も株価に大きな影響を与えると思います。

それと、個人的に注目しているのはディズニーリゾートとの連動があるのか無いのか?

あればそれは最大の宣伝効果やDL数爆増が期待できると思っています。

さて、事前登録が1/27に始まって約2週間。事前登録数はいつ発表されるのか?楽しみが募ります。

★この記事は個人の株取引のメモであり、登場する銘柄は売買を推奨するものではありません。


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